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2024年04月19日

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アレセンサ、ALK陽性早期非小細胞肺がんに対する初めての術後補助療法として米国FDAより承認取得

  • 切除されたALK陽性早期非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、再発または死亡リスクを76%低下させることを示した第III相臨床試験ALINA試験に基づく承認
  • 術後補助化学療法が治療として存在するにもかかわらず、手術後に約半数の患者さんが再発を経験する早期NSCLCにおけるアンメットメディカルニーズへの貢献を期待

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:奥田 修)は、当社創製の抗悪性腫瘍剤/ALK阻害剤アレセンサ®[一般名:アレクチニブ塩酸塩]について、米国食品医薬品局(FDA)により承認された方法により検査されたALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)(腫瘍が4cm以上またはリンパ節転移陽性)に対する腫瘍切除後の補助療法として、FDAより承認を取得したことをお知らせいたします。アレセンサは現在、腫瘍切除手術を受けたALK陽性早期NSCLC患者さんに対して承認された唯一のALK阻害剤であり、欧州や日本、台湾など米国以外の各国では承認に向けた当局による審査が進行中です。

 代表取締役社長 CEOの奥田 修は、「当社創製のアレセンサが、ALK陽性早期NSCLCの術後補助療法として初めて、FDAにより承認されたことを大変嬉しく思います。アレセンサは再発または死亡のリスクを76%低下させることが臨床試験で確認されました。治癒に繋がり得る新たな治療機会を患者さんにもたらす今回の承認は、ALK陽性早期NSCLC治療におけるターニングポイントになるものと考えています。世界各国で待ち望む患者さんに、一日も早く本剤によるベネフィットをお届けできるよう、ロシュ社と連携し引き続き邁進して参ります」と語っています。

 今回の承認は、ALK陽性NSCLCを完全切除した患者さんの術後補助療法を対象としたグローバル第III相臨床試験であるALINA試験の良好な成績に基づいています。同試験では、IB(腫瘍が4cm以上)~IIIA期(UICC/AJCC 第7版)のALK陽性早期NSCLCを完全切除した患者さんにおいて、アレセンサはプラチナ製剤ベースの化学療法と比較して、再発または死亡のリスクを76%低下させることを示しました(ハザード比=0.24、95%信頼区間:0.13-0.43、p<0.001)1。また、探索的解析では、中枢神経系(CNS)の無病生存期間についても、アレセンサはプラチナ製剤ベースの化学療法と比較して、再発または死亡のリスクを78%低下させました(ハザード比0.22、95%信頼区間:0.08-0.58)1。アレセンサの安全性および忍容性は、ALK陽性の転移性NSCLCを対象とした過去の試験と同様であり、予期せぬ所見は認められませんでした1。これらのデータは、2023年10月の欧州臨床腫瘍学会(ESMO)のPresidential Symposiumにおいて、Late Breaking oral演題として講演発表され、2024年4月にはNew England Journal of Medicine誌にも掲載されました。

 アレセンサは、ALK陽性転移性NSCLCの一次治療および二次治療に対して承認されているALK阻害剤です。CNS転移のある患者さんを含め有効性が示されており、今回の承認により、アレセンサが早期NSCLC患者さんにもベネフィットをもたらすことが期待されます。National Comprehensive Cancer Network®(NCCN®)の腫瘍学診療ガイドライン(NCCN Guidelines ®)を含む国際的ガイドラインにおいては、臨床医の意思決定を支援するため、進行NSCLC患者さんと病期IB~IIIAと一部のIIIB患者さん(UICC/AJCC第8版)の外科切除された腫瘍組織または生検組織を、ALK、EGFR、PD-L1バイオマーカーに対して定期的に検査することが推奨されています。NSCLC患者さんの約5%がALK陽性であり、これは全世界で毎年約9万人がALK陽性と診断されていることに相当します。

ALINA試験について
 ALINA試験(NCT03456076)は、IB(腫瘍が4cm以上)~IIIA期(UICC/AJCC 第7版)のALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)を完全切除した患者さんを対象として、術後補助療法としてアレセンサとプラチナ製剤ベースの化学療法の有効性および安全性を比較する第III相、ランダム化、実薬対照、多施設共同、非盲検臨床試験です。本試験には、両群のいずれかにランダム化された257例が登録されました。主要評価項目は無病生存期間です。副次評価項目は、全生存期間、有害事象の発現状況などです。

アレセンサについて
 アレセンサは中外製薬の鎌倉研究所で創製された、ALK陽性NSCLCに対する選択性が高く、中枢神経系においても活性がある経口剤です。同剤はすでに、日本、米国、欧州、中国を含む世界100カ国以上でALK陽性の転移性NSCLCに対する一次治療および二次治療に対して承認されています。また、日本では再発又は難治性のALK融合遺伝子陽性の未分化大細胞リンパ腫に対しても承認を取得しています。

肺がんについて
 肺がんは世界におけるがんによる主要な死因の一つです5。肺がんによる死亡者数は毎年180万人であり、世界中で毎日4,900人以上が死亡していることになります5。また国内では年間12.7万人が罹患しています(2019年)6。肺がんはNSCLCと小細胞肺がん(SCLC)の二つに大別されます。NSCLCは最も患者数が多く、全肺がんの約85%を占めます7。早期肺がん患者さんの約半数(疾患のステージにより45-76%)が、術後補助化学療法の選択肢があるにもかかわらず、手術後に再発を経験します8。再発前に早期に肺がんを治療することで、再発を予防し、治癒につながる治療機会となる可能性があります9

上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。

出典:

  1. Wu Y-L et al. Alectinib in Resected ALK-Positive Non–Small-Cell Lung Cancer. N Engl J Med 2024;390:1265-1276
  2. Barlesi, et al. Routine molecular profiling of patients with advanced non-small-cell lung cancer: results of a 1-year nationwide programme of the French Cooperative Thoracic Intergroup (IFCT). Lancet 2016. 387(10026):1415-1426.
  3. Tian, et al. Clinical characteristics and sequence complexity of anaplastic lymphoma kinase gene fusions in Chinese lung cancer patients. Lung Cancer 2017. 114:90-95.
  4. Cancer.Net®. Lung Cancer - Non-Small Cell: Statistics. [Internet; cited April 2024]. Available from: https://www.cancer.net/cancer-types/lung-cancer-non-small-cell/statistics.
  5. Thandra KC, et al. Epidemiology of lung cancer. Contemp Oncol. 2021;21(1):45-52.
  6. 国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)[Internet; cited 2024 April] Available from: https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/12_lung.html
  7. American Cancer Society: What Is Lung Cancer? [Internet; cited 2024 April] Available from: https://www.cancer.org/cancer/types/lung-cancer/about/what-is.html
  8. Pignon JP et al. Lung Adjuvant Cisplatin Evaluation: A Pooled Analysis by the LACE Collaborative Group. J Clin Oncol. 2008;26:3552-3559.
  9. Hendricks LE et al. Oncogene-addicted metastatic non-small-cell lung cancer: ESMO Clinical Practice Guideline for diagnosis, treatment and follow-up. Ann Oncol. 2023;34(4): 339-357.

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

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  • mailto: pr@chugai-pharm.co.jp
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