サプライヤーの包括的な評価体系の構築

評価体系見直しの背景

各企業が貧困や格差の拡大、環境問題、労働環境の悪化といった社会課題の解決に取り組むうえでは、サプライヤーとの協働が不可欠になってきています。
こうした中、中外製薬においても、社会の変化や要望に対応すべく、再度、サプライヤーとの協働のあり方を見直し、サプライヤーの包括的な評価体系の構築に取り組んでいます。

評価項目としても、これまで実施してきた財務、供給、品質、契約、知財・セキュリティの5つの視点に加えて、「EHS(環境、健康・衛生、安全)」や企業倫理・人権を含む「コンプライアンス」の視点を加えた、包括的な評価体系を目指しています。中外製薬は製薬企業として科学的・専門的な活動が多く、人体への影響の観点から取扱いを注意しなければいけない物質を取り扱うといった特徴があり、環境保全や安全衛生のマネジメントの範囲は、バリューチェーン全体に及ぶこと、さらには児童労働、強制労働といった労働者の人権問題は世界的に重要課題となっていることなどを踏まえたものです。

5つの視点(財務、供給、品質、契約、知財・セキュリティ)にEHS・コンプライアンスが加わった6つの視点から、包括的に評価する仕組みを構築し、サプライヤーの取引可否を決定することを示したフロー図。

EHS・コンプライアンスリスク評価

中外製薬では、当社と取引するサプライヤー(委託事業者を含む)に期待する行動基準として「中外製薬グループ サプライヤー・コード・オブ・コンダクト」を策定し、その行動基準の遵守を要請しています。

その行動基準は、グローバル製薬企業で構成される非営利団体PSCI(Pharmaceutical Supply Chain Initiative)が策定した「責任あるサプライチェーンマネジメントのための製薬業界の原則Pharmaceutical Industry Principles for Responsible Supply Chain Management、以下「PSCI原則」といいます)」に基づく、倫理、労働慣行、EHSならびに関連するマネジメントシステムに関して、サプライヤーの皆さまに遵守いただきたい事項を示しています。

PSCI(Pharmaceutical Supply Chain Initiative)
https://pscinitiative.org/home

  • *「責任あるサプライチェーンマネジメントのための製薬業界の原則」はPSCIのサイトにてご覧いただけます。

また、EHS・コンプライアンスリスク評価するためのガイドラインを策定し、医薬品製造に欠かせない化学物質や生物試料による労働者、地域住民そして周辺環境へのリスク分析によってサプライヤーを分類し、サプライヤーのリスクに応じて以下の評価を実施しています。

  • インターネットを活用したサプライヤーの信用調査
  • サプライヤー・コード・オブ・コンダクトの遵守状況に関するサプライヤーのセルフアセスメント結果の評価
  • 重要サプライヤーについては、サプライヤー・コード・オブ・コンダクトの遵守状況に関する実査(社員インタビューも含む)
  • 改善計画の策定とモニタリング

なお、EHS・コンプライアンスリスク評価は、少なくとも3年に1回の頻度で実施しています。

サプライヤー*1のEHS・コンプライアンスリスク評価の結果

2019 2020
SCC同意書を取得したサプライヤーの数 45 143
EHS・コンプライアンスリスク評価したサプライヤーの数 13 31
サプライヤーのセルフアセスメント結果を評価したサプライヤーの数 13 31
サプライヤー・コード・オブ・コンダクトの遵守状況を実査*2にて評価したサプライヤーの数 3 9
監査結果により取引中止となったサプライヤーの数 0 0
  • *1:医薬品製造受託機関(Contract Manufacturing Organization:CMO)等の委託先事業者も含む
  • *2:COVID-19パンデミックの影響で、数施設はリモート監査を実施

サプライヤー*3のEHS・コンプライアンスリスク評価での所見と是正措置

評価項目 所見数(2019) 所見数(2020) 是正措置
倫理 0 0 該当なし
人権と労働 8 0 100%*4
安全衛生 38 11 100%*4
環境 12 5 100%*4
マネジメントシステム 7 6 100%*4
  • *3:CMO等の委託先事業者も含む
  • *4:所見にはすべて是正措置を求め対応中

PSCIとの協働

2018年11月、PSCIに加盟しました。
PSCIの特徴の一つに、加盟会社が協働でサプライヤー評価に取り組む基盤を構築していることがあげられます。製薬企業にとって、サプライヤーのEHS・コンプライアンスリスク評価を各社個別で対応していくには膨大なコストと時間がかかります。そのため、PSCIでは加盟各社の評価結果を活用できる環境を整え、製薬企業とサプライヤーの双方に効率かつ効果的な評価を実施できる体制が整備されています。

サプライヤーの倫理、労働、安全衛生、環境、それらのマネジメントシステムに対する取り組みを評価し、社会とサプライヤーそして調達元である製薬企業のトリプルWinの関係を構築していくことを示した図。

EHS・コンプライアンスリスク評価の成果と今後の目標

2019年から2021年の3年間、EHS・コンプライアンスリスクが発生した場合の影響および代替先の選定困難度から、製造委託先を「重要サプライヤー」としてEHS・コンプライアンスリスク評価を重点的に実施してきました。2022年中には全ての製造委託先の評価を完了する予定です。2030年までには二次サプライヤーも含めた重要サプライヤーの評価を完了させる計画です。

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