生物多様性保全

PRTR対象物質や特別管理産業廃棄物の管理はもとより、REACH規則のSVHC(高懸念物質)リストへの対応も含めて、取り組みの強化が必要です。排水マネジメントや製品製造計画の検証も含めた有害化学物質削減への取り組みを強化するとともに、地域コミュニティとの協働も拡充していきます。

化学物質の適正管理

従業員を化学物質のばく露から守り健康被害を予防するため、化学物質管理については自主ルールを定め、取扱い物質や作業内容に関するリスクアセスメントの結果に基づいた適切な作業環境を用意し、保護具選定後に作業内容や手順を決めるようにしています。
化学物質のリスクアセスメントは、規制対象物質*1を含むすべての取扱い化学物質のリスクアセスメント体制をグループ全体にわたり整備し、化学物質による労働災害リスクの低減に努めています。
また、SDS(安全データシート)、イエローカード(緊急連絡カード)での取扱い情報の提供により、製造委託など社外関係先の安全確保にも努めています。

PRTR法*2対象物質のうち、2021年度(2021年4月~2022年3月)の年間取扱量はグラフに示したとおりです。PRTR法対象物質の取扱総量は、前年度(2020年4月~2021年3月)差27.7トン減の61.7トンでした。そのうち、43%が塩化第二鉄です。塩化第二鉄は2015年よりバイオ医薬品製造工程で発生する排水の処理に使用しています。

  • *1 2014年6月25日に公布された「労働安全衛生法の一部を改正する法律」に基づき、2016年6月1日より、640種の化学物質のリスクアセスメントが義務化されました。その後の改正により、対象物質は2018年7月1日以降、673種となっています。
  • *2 「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」の略称

PRTR法対象物質取扱量(集計期間:2021年4月~2022年3月)

大気汚染防止および対策

中外製薬グループでは大気汚染防止法や都道府県条例に基づき、窒素酸化物(NOx)・硫黄酸化物(SOx)・ばいじんの排出量を測定し、排出基準に適合していることを確認したうえで排出を行っています。

NOx排出量は2021年と同量の28トンでした。藤枝工場においてコジェネレーションシステムをNOx低排出型に更新した2021年以降、NOx濃度が約1/4減少しています。各事業所から排出される大気汚染物質はいずれの事業所においても環境基準値を大幅に下回る数値で推移しています。また、2014年下期より貫流蒸気ボイラー熱源設備の主燃料について、重油から都市ガスへの燃料転換を実施し、SOx排出量はこの燃料転換に伴い大幅に削減し、その数値を維持しています。

NOx排出量

2018年度は、NOx排出量算定に用いる濃度に誤って「酸素濃度換算値」を使用していたため「実測値」で再算定し、数値を修正しています。
2018年:誤)57トン→正)33トン

SOx・ばいじん排出量

2018年度は、SOx排出量算定に用いる濃度に誤って「酸素濃度換算値」を使用していたため「実測値」で再算定し、数値を修正しています。
2018年:誤)1.1トン→正)1.2トン

土壌汚染防止および対策

中外製薬グループでは土壌汚染対策法や都道府県条例に基づき、法令に準じた適切な土壌調査を実施しています。
土壌汚染を確認した場合は行政と協議を行い、拡散防止、浄化対策などの適切な処置を実施しています。

有害化学物質使用量の削減

2021年以降、開発候補となるすべての自社品は、商用生産までにREACH規則のSVHC(高懸念物質)リスト化合物を使用しない製造プロセスを構築することを、中期環境目標に設定しました。2021年にSVHC使用に関するガイドラインを策定し、それに基づき有害化学物質使用量の削減を進めています。

有害廃棄物の削減

2022年の有害廃棄物(特別管理産業廃棄物に該当する廃棄物)発生量は生産および研究活動の増加により、2019年差438トン増の1,129トンでした。また、延床面積あたりの発生量は、基準年の2019年2.7㎏/m2から2.6㎏/m2に減少しています。これは、2022年に竣工した中外ライフサイエンスパーク横浜と2023年閉鎖予定の鎌倉研究所・富士御殿場研究所がどちらも稼働しているので、延床面積が大きくなったことに起因しています。適切な管理・処理を行うことはもとより、中期環境目標2030で設定した2019年比2025年5%削減、2030年10%削減に向けた取り組みを進めています。

有害廃棄物発生量

自然共生・生物多様性保全

中外製薬グループでは、生物多様性保全の観点から、事業所排水の環境生物への影響を確認するため、法令による排水基準を満たすことはもとより、排水に含まれる化学物質の影響を総合的に把握・評価するために2013年よりWET*3試験の実施を開始しました。2021年についても、すべての工場・研究所において年1回のWET試験を実施し、問題がないことを確認しました。
さらに、2019年より開始した生産拠点の水源保全活動は、2022年も藤枝工場の水源地である川根本町(静岡県)の山林において、現地NPO法人協力のもと従業員とその家族が間伐作業*4を実施しました。また、2022年より新たに浮間工場の水源となる埼玉県秩父郡にも活動を広げ、現地農林公社の指導のもと従業員とその家族が間伐作業を行いました。当社の生産活動が地球環境へ及ぼす影響を最小限に抑えるだけでなく、流域に住む方々と共同で使う豊かな水資源の保全に貢献していきたいと考えています。水を大切に使い、きれいにして自然に還すことを事業活動の中で実践し、さらに水を育んでくれる森を整備する活動を今後も継続していきます。

活動の詳細は以下のページをご覧ください。
地球環境保全への貢献 〜生産拠点における森林整備を通じた水源保全活動〜

  • *3 全排水毒性(Whole Effluent Toxicity)。希釈した排水を入れた水中で、甲殻類(ミジンコ)、藻類、魚類(メダカなど)への影響を調べ、排水や環境水の安全性を総合的に評価する手法
  • *4 間伐作業:森が茂りすぎるのを防ぐために、一部の木を伐採し適正な密度の健全な森林に導く作業です。間伐することで、それぞれの樹木へ日光を届けることができ、さらに低木の育成も促すことができるため、健全な森林に導くことができます。
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地球環境

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