地球環境に配慮した製品包装資材の導入
中外製薬グループの成長戦略「TOP I 2030」の5つの改革の一つである「成長基盤改革」、その中の重要課題として「地球環境対策の実行」があります。気候変動やプラスチックごみによる海洋汚染の問題が深刻化する中で、当社は、地球環境に配慮したプラスチック素材を導入する取り組みを進めています。
環境配慮型プラスチック素材の導入
中外製薬グループではこれまで、包装材料の薄肉化、個装箱や段ボール箱などの紙製容器包装への再生紙の利用、廃棄の際のリサイクルを促す材質表示などに取り組んできました。
近年は、環境に配慮した新たな素材が開発され、医薬品においても有効活用できる状況になってきたことから、従来の石油由来のバージンプラスチック(再生素材ではないプラスチック)から、環境配慮包材への切り替えを開始しています。
製品の包装にはさまざまな種類がありますが、当社では、特に使用量が多い固形剤を包装するPTP(Press Through Pack)、プラスチックボトル、アルミピローおよび注射用包装のシリンジブリスターの4種を中心に、切り替えを行っています。

再生プラスチックの採用
アルミピローとシリンジブリスターについては、2022年から再生材を含有する再生プラスチックへの切り替え生産を開始しました。再生プラスチックの使用により、新たな資源の消費が抑えられ、使用済みのプラスチックを再利用するため、ゴミの削減にもつながります。これらの包装には、PETボトルリサイクル推奨マーク認証を取得した、PETボトル再生樹脂を含有する素材を使用しています。
バイオマスプラスチックの採用
PTPやプラスチックボトルについては、2023年から再生可能な植物由来の素材を原料とするバイオマスプラスチックを含有する包材への切り替え生産を開始しました。バイオマス素材は植物が成長過程で二酸化炭素を吸収して生成されるため、焼却時にバイオマスの持つカーボンニュートラル性から、大気中の二酸化炭素濃度の上昇を抑制し、地球温暖化の防止や化石燃料の依存度低減にも貢献することが期待されています。これらの包装にはバイオマスプラマーク認証を取得した植物由来成分を含有するプラスチック素材を採用しています。
実績は以下のリンクよりご確認いただけます。
環境負荷低減に対する当社製品対策への取り組みについて
今後は製品を発売する段階から環境配慮包材を使用することを目指し、さらに、2030年には全製品において、環境配慮包材を使えるよう、技術検討を進めています。
この先、プラ代替素材やリサイクルに適した単一素材など新たな環境配慮包材が登場してくることも予想されます。そのため、技術動向を注視し、より環境に優しい包装を開発し、中外グループ製品の更なる環境負荷軽減を推進していきます。
担当者の声

写真左:河原 孝一 写真中央:尾家 弘昭 写真右:酒井 憲一
製剤研究部 企画・包装グループマネジャー 酒井 憲一
環境配慮型包材の使用は容易ではありません。従来の包材とは性質が大きく異なり、包装加工が非常に難しくなるためです。私たちは新たな加工技術を開発し、環境配慮型包材を用いた製品化に成功してきました。今後も研究開発を継続し技術革新を通じて、さらなる環境負荷の軽減に貢献してまいります。
製剤研究部 企画・包装グループ 尾家 弘昭
私たちは、高品質な医薬品を提供しながら、その包装が環境に与える影響にも責任を持って取り組んでいます。患者さん一人ひとりを中心に考え、医薬品の品質と安全性を確保しつつ、環境負荷を最小限に抑える包装の開発を進めています。医薬品包装における高い要件と環境配慮の両立は技術的挑戦ですが、私たちはフロンティア精神でこの難題をイノベーションの機会と捉えています。これからも新たな発想で革新的な解決策を追求し、関連企業とも連携しながら業界全体の環境対応を加速させる技術革新に取り組んでまいります。
サステナビリティ推進部 環境グループマネジャー 河原 孝一
医薬品の包装や容器の設計は、安全性や品質に加えて、患者さんの服薬アドヒアランス*向上と医療業務効率化に寄与し、医薬品にとって重要な要素となります。また、気候変動やプラスチックごみによる海洋汚染の問題は人々の健康な暮らしに大きな影響を及ぼすだけでなく、当社の事業活動にも影響を与えることが想定されるため、環境配慮包装資材の使用による環境負荷低減に取り組むことも重要です。「当社と社会の共有価値創造」という経営の基本方針のもと、患者中心の高度で持続可能な医療の実現と地球環境保全活動に両輪で取り組んでいきます。
- *服薬アドヒアランス
患者さんが自身の病気を受け入れて、医師の指示に従って積極的に薬を用いた治療を受けること
2025年9月1日時点