目標と取り組み
中長期的な視点をもって環境目標および健康経営目標を設定し、環境保全活動および安全衛生活動を継続的に推進しています。
中期環境目標2030
中外製薬グループは、地球環境保全をすべての事業活動を支える重要な基盤と捉え、2030年をゴールとした目指す姿の実現に向けて、マテリアリティとして特定した気候変動対策、循環型資源利用、生物多様性保全の3つの課題について、世界的な環境コンセンサスを踏まえた挑戦的な中期環境目標2030を設定し、積極的に取り組んでいます。
中期環境目標2030は、経営会議での承認、取締役会への報告を経て制定されました。その活動計画・進捗については、サステナビリティ委員会において十分な審議を行い、重要なものについては経営会議に付議し、取締役会に報告しています。
■中期環境目標2030の目指す姿
わたしたちは、地球環境保全をすべての事業活動を支える重要な基盤と捉え、世界的な環境コンセンサスを踏まえた挑戦的な中期環境目標2030を掲げ、ロシュや外部パートナーとの連携による革新的な地球環境保全活動とエビデンスに基づく能動的な情報開示により、環境課題の解決をリードする世界のロールモデルを目指していきます。
■3つの重点課題の活動方針
- 気候変動対策
国際協定等を踏まえた挑戦的な目標を掲げ、温室効果ガスの排出量の削減とエネルギーの効率的使用の実現に向けて、取引先やアカデミアとの連携による新たな環境対策の創出および推進に取り組みます。 - 循環型資源利用
廃棄物全体の削減目標だけでなく、主な海洋汚染源であるプラスチック廃棄物や水の使用量の削減についても目標を設定し、環境に配慮した事業活動の推進や再資源化技術の共同開発を通じ、サーキュラーエコノミーの実現に向けて取り組みます。 - 生物多様性保全
かけがえのない地球を次世代につなぐため、自然資本の保全・回復への取り組みに加え、研究開発型の製薬企業として、有害化学物質に対し独自の削減目標を設定し、製品のライフサイクル全体で化学物質リスクの最小化に取り組みます。
■3つの重点課題の指標と目標
重点課題 | KPI | 目標(基準年2019年) |
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気候変動対策 (地球温暖化防止) |
Scope 1+2*1 CO2排出量 |
2025年:40%削減 2030年:60~75%削減 2050年:排出ゼロ |
Scope 1+2*1 エネルギー消費量 |
2025年:5%削減*2 2030年:15%削減*2 |
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サステナブル電力比率 | 2025年:100% | |
営業車両総燃料使用量 | 2025年:35%削減 2030年:75%削減 |
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フロン類使用量 | 2025年:25%削減 2030年:100%削減 (基準年2020年) |
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Scope 3*1 CO2排出量 |
2030年:30%削減 | |
循環型資源利用 (省資源・廃棄物対策) |
廃棄物排出量 | 2025年:5%削減*2 2030年:10%削減*2 |
プラスチック廃棄物 | 2025年:5%削減*2 2030年:10%削減*2 |
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水消費量(取水量) | 2030年:15%削減*2 | |
生物多様性保全 (環境負荷低減) |
有害化学物質使用量 (SVHC*3) |
2021年以降、開発候補となる全ての自社品は、商用生産までにSVHCリスト化合物を使用しない製造プロセスを構築する |
有害廃棄物排出量 | 2025年:5%削減*2 2030年:10%削減*2 |
- *1 Scope 1:エネルギー起源直接排出量、Scope 2:エネルギー起源間接排出量、Scope 3:Scope1・2以外の間接排出量、2021年に目標を追加
- *2 延床面積あたり(賃貸物件を除く)
- *3 高懸念物質(Substances of Very High Concern)
環境保全活動目標/計画
中期環境目標達成に向け、年次の活動目標/計画を定め、その結果を評価し、翌年に反映することにより環境保全活動を継続的に推進しています。
業界活動
医薬品業界におけるCO2排出量削減に貢献するために、日本製薬工業協会(JPMA)環境問題検討会および日本製薬団体連合会(FPMAJ)カーボンニュートラル行動計画ワーキンググループ(CN行動計画WG)に参画しています。特に、CN行動計画WGにおいては、リーダー企業として参画しており、CO2排出量削減に向けた取り組み推進に貢献しています。
中期健康経営目標2030
安全衛生活動基本姿勢に基づき、環境安全衛生(EHSマネジメント)体制下で安全衛生活動を推進していく中で、課題を特定・評価し、優先順位の高い6項目を健康経営の重点項目(がん、生活習慣病、メンタルヘルス、ヘルスリテラシー、職場の安全、組織風土)として定め、2030年を最終年とした中長期目標を設定し、その実現に向けて活動を展開しています。
重点項目 | 目標 | KPI |
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がん | 早期発見 早期治療 両立支援 |
胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮頸がんのがん検診受診率90%以上 再検査受診率95%以上 両立支援制度のマネジメント層認知度100% |
生活習慣病 | ハイリスク者対策 予備群の悪化抑制 予備群への移行抑制 |
ハイリスク者1%未満維持 予備群からハイリスク者への移行率1%未満 正常群70%以上 |
メンタルヘルス | 予防・早期発見 復職支援 |
高ストレス者の面談希望率:受検者の2%以上 安定復職率80%以上維持 |
ヘルスリテラシー | 意識改革 行動変容への勧奨 |
各事業所での講演会実施率100% 生活習慣病ハイリスク者の再検査未受診率0% |
職場の身体的安全 | 安全衛生リスク低減 意識向上 |
業務上の重大事故ゼロ EHS監査計画に対する実施率100%維持 啓発活動を全社、事業所で実施 |
職場の心理的安全 | 健全な組織の増加 働きがいのある組織風土醸成 |
ストレスチェック 健康総合リスク120以上組織5%以下 社員を活かす環境:好業績企業レベル |
健康経営活動目標/計画
中期健康経営目標達成に向け、年次の活動目標/計画を定め、その結果を評価し、翌年に反映することにより健康経営活動を継続的に推進しています。
健康経営推進活動の実績
テーマ | 2022年 | 2023年 |
---|---|---|
がん | がん検診受診率:胃がん88%、大腸がん91%、肺がん98%、乳がん91%、子宮頸がん78% がん再検査受診率:79% |
がん検診受診率:胃がん88%、大腸がん92%、肺がん99%、乳がん98%、子宮頸がん77% がん再検査受診率:81% |
生活習慣病 | 正常群:64.5% 特定保健指導参加率:80.2%(2021年実績) ハイリスク者産業医面談実施率:100% 適正体重維持率:66.0% 高血圧者の治療率:88.2% |
正常群:64.9% 特定保健指導参加率:80.3%(2022年実績) ハイリスク者産業医面談実施率:100% 適正体重維持率:66.8% 高血圧者の治療率:86.5% |
メンタルヘルス | ストレスチェック受検率:91.6% 高ストレス者率:6.2% |
ストレスチェック受検率:91.3% 高ストレス者率:6.0% |
喫煙 | 喫煙率:10.6% | 喫煙率:7.9% |
ヘルスリテラシー | 事業所講演会実施率:62% | 事業所講演会実施率:83% |
職場の身体的安全 | 監査実施率:100% | 監査実施率:100% |
健康診断・研修の実績
施策名 | 2022年 | 2023年 |
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健康診断 | 受診率:100% | 受診率:100% |
研修 | テーマ:がん 受講人数:88.3% 理解度テスト受講率:100% |
テーマ:生活習慣病 受講人数:82.0% 理解度テスト受講率:100% |
健康経営目標指標推移
測定項目 | 測定方法 | 2022年 | 2023年 |
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プレゼンティーズム(点) | SPQ | 80.2 | 79.8 |
アブセンティーズム(日) | 従業員へのアンケート | 2.2 | 2.3* |
ワークエンゲージメント(偏差値) | 新職業性ストレス簡易調査 | 53.6 | 53.8 |
*2023年度は、アブセンティーイズムの選択肢を「0日」「1日」…「5日」から「0~5日」に変更したため、前年の加重平均値を用いて算出しています。