AIを活用した新薬創出

CHUGAI DIGITAL VISION 2030の3つの基本戦略の1つである「デジタルを活用した革新的な新薬創出」について、各取り組みを紹介します。
中外製薬は、AI技術を活用して医薬品開発の成功確率向上を推進するとともに、創薬プロセスの時間やコストを大幅に短縮し、圧倒的な効率化と革新を実現します。

新薬創出におけるAI活用の可能性

医薬品開発の課題、新薬創出における中外製薬のAI活用の基本方針について解説します。

医薬品開発の課題

  • 年々増大する新薬開発の期間と費用をどのように短縮・削減するか。
  • 確度の高いターゲット遺伝子は限られ、創薬の難易度が上昇する中、どのように開発の成功確率を高められるか。

医薬品開発へのAI活用の可能性

機械学習やディープラーニング等のAI技術の発達、コンピュータの処理速度の大幅な向上は、特に創薬分野に大きな変化をもたらしつつあります。以下のようなテーマにおいてAI技術を活用することで、創薬プロセスの一部を大幅に短縮すると同時に、医薬品開発の成功確率の大幅改善が見込まれています。

  • 医薬品候補分子探索
  • 薬物動態予測
  • 病理画像解析による、薬効・安全性の評価
  • 自然言語処理を用いた論文検索

中外製薬が目指すAI創薬

創薬プロセスの革新

  • 疾患ターゲット探索や医薬品分子デザインへのAI活用による創薬プロセスの大幅な短縮・成功確率向上
  • AIを活用したリアルワールドデータ・デジタルバイオマーカー解析による臨床開発プロセスの革新
  • 早期臨床データを基にした、高精度な予測によるPoC判断の早期化

創薬の成功確率向上

  • 対象疾患の特定・拡大による成功確率の向上
  • 対象患者集団の特定による早期開発の成功確率向上
  • 高精度なヒトにおける動態予測による成功確率向上

プロセス全体の効率化

  • 創薬プロセス・データの統合によるプロセス自動化を通した開発期間の短縮
  • 各作業へのロボット導入等による自動化・省力化を通した開発期間の短縮

AI創薬における中外製薬の強み

中外製薬が強みとする疾患領域でのターゲット探索と、技術的な知見が豊富な各種モダリティでの分子設計のそれぞれにAIを活用。中外製薬が独自に保有する大量のデータ解析に基づき、革新的な新薬創出を目指します。AI技術は自社でも独自に開発しつつ、Preferred Networksをはじめとするパートナー企業と連携し、機械学習・ディープラーニング活用を推進しています。

疾患領域―がん領域・免疫疾患領域

中外製薬はがん領域で国内トップのプレゼンスを誇っており、免疫疾患領域にも注力をしています。これらの領域における自社研究、外部との共同研究等によって培われた知見と、蓄積したデータを基に、新たな疾患ターゲットの同定を目指しています。

モダリティ―抗体医薬、中分子医薬

モダリティとは、構想した治療コンセプトを実現するための創薬技術(方法・手段)の分類を指します。中外製薬はモダリティとして、抗体、中分子に大きな強みを持っています。独自の抗体エンジニアリング技術、中分子合成技術に加え、抗体と中分子の創薬プラットフォーム(対象分子を取得する仕組み)を所有しています。また、当社独自のデータに加え、ロシュ社と大規模化合物ライブラリを共有しており、抗体や中分子、低分子に関する様々なデータを保有しています。

「AI×抗体」による創薬プロセスの変革

新薬候補となる抗体の構造設計は、研究員がデータを解析し、知識と経験に基づいて組み合わせを考え、評価をするという試行錯誤の繰り返しで行われてきました。ここに機械学習を活用することで、大量のデータを解析し、最適な新規分子配列を自動で生成することが可能となります。これにより抗体の構造設計を効率的・高速に実施することが可能となり、研究員は他のプロセスに注力することができます。これらの手法は抗体にとどまらず、中分子創薬プロジェクトでも応用し始めています。

AIに関する他社連携・技術導入

中外製薬のAI活用における、他社連携・技術導入について紹介します。(2020年9月時点)

PFNとの共同研究開発でディープラーニング技術による新規価値を創出

深層学習など、AI技術の世界的リーディングカンパニーであるPreferred Networks(PFN)と包括的なパートナーシップ契約を締結。PFNの最先端の深層学習技術と中外製薬の有する知見・技術・データを融合し、新薬創出および、各バリューチェーンへの応用を推進しています。

ニュースリリース「Preferred Networksとの包括的パートナーシップ契約締結について」(2018年7月26日)[PDF 245KB]

DataRobot」導入によるバリューチェーンの各プロセスでのAI活用の促進

高精度の予測と自動化を実現する機械学習プラットフォーム「DataRobot」を全社導入し、研究、生産、営業等で活用しています。一例として、工場における最適な製造条件決定が挙げられます。機械学習を活用することで、従来の手法では困難であった最適な製造条件の抽出が可能となり、製剤の規格が不適合となるリスクが減少しています。

創薬支援AIシステムの活用

FRONTEO社の持つ自然言語解析AI「Concept Encoderconcept encoder®、コンセプト・エンコーダー)」を用いた論文探索AIシステム「Amanogawa(商標出願中)」および、疾病メカニズムをパスウェイ状に可視化することのできる新規システム「Cascade Eye」を活用しています。これにより疾患理解の深化、これまで見つからなかった病気の原因やバイオマーカーの同定を行い、革新的新薬の創出に向けて期間の短縮、成功確率の向上、プロセス全体の効率化を目指します。

ニュースリリース「中外製薬とFRONTEO、創薬支援AIシステムにかかわるライセンス契約を締結」(2020年5月29日)[PDF 255KB]

CAREERS

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