2021年03月22日

中外製薬の人工知能(AI)を用いた抗体創薬支援技術 MALEXA-LIの成果がScientific Reportsに掲載

  • 人工知能(AI)を用いた抗体創薬支援技術MALEXA-LIの研究成果が、Nature Researchが発行する総合科学誌Scientific Reportsに採択
  • MALEXA-LIにより、既存の抗体と比較して、1800倍以上結合強度の高い抗体のアミノ酸配列が提案された
  • CHUGAI DIGITAL VISION 2030の下、AI創薬による創薬プロセスの劇的な改善を目指し引き続き注力

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役会長 CEO:小坂 達朗)は、人工知能(AI)を用いた抗体創薬支援技術MALEXA-LIに関する論文が、Scientific Reportsに掲載されたことをお知らせいたします。Scientific ReportsはNature Researchが発行するオンラインの総合科学誌であり、出版論文数において世界最大の学術雑誌に位置付けられています。

 中外製薬は、2020年に発表したデジタル戦略「CHUGAI DIGITAL VISION 2030」の最終目標として、「デジタルを活用した革新的な新薬創出」を掲げ、AIを始めとした先端技術の活用による新規医薬品候補の創出や創薬の成功確率向上といった研究プロセスの劇的な変革を目指しています。

 MALEXAは、Machine Learning x Antibodyの頭文字をとった中外製薬が独自に構築したAI技術であり、「機械学習×抗体」で創薬プロセスを変えることを期待しています。MALEXAには抗体創薬プロセスで最適化したMALEXA-LIとMALEXA-LOの二種類の技術があります。今回Scientific Reportsに掲載されたMALEXA-LIは、MALEXAを用いて抗体の「種」となるリード抗体に適した配列を見つけるAI技術です。中外製薬が長年の抗体医薬品研究から蓄積した抗体ライブラリーから次世代シークエンサーを用いて遺伝子配列情報を取得し、解析したデータを訓練データとする機械学習モデルを構築したものです。

 今回の論文では、標的抗原に結合する抗体配列を選抜するために、深層学習のアルゴリズムの一つであるLSTM(Long Short-Term Memory、長・短期記憶)に基づく配列生成法を開発し、高い結合活性を有する抗体配列を探索しました。その結果、MALEXA-LIが提案するアミノ酸配列が、既存の抗体と比較し、標的抗原に対して1800倍以上結合強度の高い抗体であることが立証されました。

“Antibody design using LSTM based deep generative model from phage display library for affinity maturation”

https://www.nature.com/articles/s41598-021-85274-7

 執行役員 デジタル・IT統轄部門長の志済 聡子は、「デジタルトランスフォーメーション(DX)の意義は、ビジネスのコアとなる部分において、デジタル技術によりどこまで新しい価値を実現できるかにあります。中外製薬の場合、それはデジタルを革新的新薬を生む原動力とすることを意味します。今回の成果は、AIをはじめとする先端技術が創薬イノベーションの可能性を大きく拓くことを示すものです。今後も、これまでの創薬研究の常識をくつがえす成果を実現すべく、DXを推進していきます」と語っています。

以上

  • Facebookのシェア(別ウィンドウで開く)
  • ポストする(別ウィンドウで開く)
  • Lineで送る(別ウィンドウで開く)
  • メールする(メールソフトを起動します)
トップに戻る