医薬安全性 重点テーマと取り組み

「適正使⽤の徹底を通じた成⻑ドライバー製品の価値最⼤化」、「個別化医療に資する独⾃のエビデンス創出と⾰新的な顧客エンゲージメントモデル構築」、「臨床開発段階からの安全対策強化による製品価値の最⼤化」の3つを戦略のポイントとして、医薬安全性向上に向けた取り組みを進めています。

ビジネスモデルと重点テーマ

中外製薬は、抗体医薬品や分⼦標的治療薬など、⾰新的な作⽤機序を持つ医薬品を国内外で多数取り扱っています。グローバルで医薬品の適正使⽤を推進し、医療現場で安⼼して使⽤いただくために、ロシュ社やほかのパートナーとの間で医薬品安全性監視(PV)に関する取り決めを締結し、グローバルレベルでの安全性情報収集を⾏っています。

また、タイムリーな安全性情報の提供および安全確保措置実⾏のために、製品ライフサイクルを通じた専⾨性の⾼い安全性評価と迅速な意思決定が重要と考えています。そのため、医薬安全性本部を独⽴した組織として設置し、経営に直結した安全確保体制を構築しています。中外製薬では、PV活動を製薬企業の「使命」としてとらえ、安全性情報の収集からリスクアセスメントおよび提供まで一貫した活動として実施しています。これらの活動を確実に実施するために、全従業員に対して、当社製品に関する副作用を入手した場合の対応手順、および信頼性の確保に関する事項について定期的に研修を実施しています。

患者さん中⼼の活動を続けることで信頼される企業となり、真に価値ある安全性情報を届け、世界の患者さん、医療に貢献していくことを⽬指しています。

戦略と進捗

安全性情報の収集・管理、リスクアセスメント

治験では得られない実際の診療下での安全性情報の把握を主な⽬的として、医療機関からの報告や⽂献・学会情報を介した安全性情報の収集とともに、全例調査やデータベース調査を含む製造販売後調査による能動的な収集を実施しています。また、医療機関から収集した安全性情報を、疫学を含む多⾓的な⼿法で解析し、リスクアセスメントを実施して安全性プロファイルを継続的に検討し、市販後の医薬品安全性監視活動を実施しています。得られた結果は医療機関に情報提供するとともに、学会や論⽂などで公表しています。これに加え、多くの抗がん剤や⾰新的なバイオ医薬品などでは、流通管理や使⽤状況の確認などの、さらに広範囲かつ厳格な管理⼿法を導⼊し、安全性評価やその対策に活かしています。

医薬品リスク管理計画(RMP)に基づくリスクマネジメント

中外製薬では、リスクアセスメントの結果を「医薬品リスク管理計画(RMP:Risk Management Plan)」に反映し、他社に先駆け策定・運⽤するとともに、ウェブサイトで公開してきました。中外製薬ではRMPを患者さんや医療関係者へのコミットメントと認識しています。RMPの運⽤においては、疫学的観点に基づくデータ分析能⼒の強化が不可⽋と考えています。そのため、疫学機能を担う専⾨グループが、⽇本の疫学データベースの充実に貢献すべく、専⾨企業などと連携し、データベース研究に関する規制当局への提⾔やガイダンス策定にも積極的に取り組むなど、業界を牽引しています。データベース研究を実際に⾃社製品の安全監視に適⽤し、迅速かつ効果的に安全性情報を把握する取り組みも開始し、RMP運⽤の改善・強化に注⼒しています。また、リスクアセスメントにおいて、安全性上の懸念が生じた場合の製品回収を含めた緊急時対応の手順を定め、定期的にプロセスの確認をしています。

安全性コミュニケーション

製品ごとに注意すべき副作⽤情報を医療機関や学会に提供するとともに、患者さん向けの冊⼦配布や、ウェブサイトでの情報公開、さまざまな講演などを⾏い、医薬品の安全性に関連する理解の向上と適正使用推進に努めています。なかでも、2016年から運⽤を開始した「調査・副作⽤データベース(DB)ツール」による患者さんの特性に応じた迅速な情報提供は、医療関係者より⾼い評価を得ています。国内・市販後の副作⽤データ(約30万件 2021年11月時点)などが網羅された同システムにより、緊急性の⾼い安全性情報のニーズに対して、よりタイムリーな情報提供ができるようになりました。さらに2018年から、承認審査申請に供されたグローバル臨床試験の安全性情報を提供する治験DBツールも展開し、新製品の発売直後から医療関係者に安⼼して製品を使⽤していただけるようになりました。また2020年5⽉には副作⽤データベースツールを医療関係者向けウェブサイト上で公開しました。これにより、医療関係者が必要な時にいつでも中外製薬の製品に関する副作⽤情報を直接調べることができる体制が構築され、患者さんの治療への貢献の幅を拡⼤し続けています。

中外製薬では、患者さんと医療関係者とのコミュニケーションを円滑にし、患者さんにより安⼼して治療を受けていただくための取り組みも実施しています。2020年10⽉には、株式会社Welbyと共同で、同社が運営する無料のPHR(Personal Health Record)サービス 「WelbyマイカルテONC」に基づく患者サポートプログラムの提供を開始しました。免疫チェックポイント阻害剤での治療を受けているがんの患者さんを対象とするこのプログラムは、⽇常の症状や治療状況に関する情報を簡単に⼀元管理でき、がん種・症状に応じ最適化された情報提供が⾏われます。これらの機能を通じ、患者さんが治療に対する正しい理解を深められるよう⽀援するとともに、医療関係者による患者さんの状態(副作⽤や症状悪化)の早期検知を図ることで、より良い治療アウトカムの実現を⽬指します。

また、安全性情報を専⾨に扱う当社独⾃の職種「セイフティエキスパート」を全国で約30名配置し、医療現場のニーズに応じた安全性コンサルテーションや、医師・薬剤師とのネットワークの構築強化についても継続して実施し、患者さんに寄り添った安全対策の実現を⽬指しています。

中外製薬における安全性情報の収集・蓄積分析・提供サイクル

使用成績調査票、副作用報告等から安全性情報を収集し、蓄積します。それらを添付文書等の情報に反映するとともに、各種データベースツールを活用し患者さんの特性に応じた安全性情報の提供を行っています。
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患者さん中心の持続可能な医療

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