中外製薬グループ人権への取り組み

人権方針の策定

中外製薬は、これまで人権尊重の取り組みとして、職場における差別やハラスメントの禁止、従業員の多様性尊重や安全衛生など、主に従業員の人権尊重を中心に行ってきました。しかし、グローバル企業として世界のさまざまな地域で事業活動を進めていくためには、事業活動にかかわるステークホルダーやサプライチェーン全体における労働に関する権利も含めた人権課題への取り組みが求められていることを認識し、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいて、2019年1月に人権方針を策定しました。

中外製薬グループ 人権方針 [PDF 218KB]

推進体制

中外製薬では、人権は当社と社会の持続可能な発展(サステナビリティ)に向けた事業活動の重要な課題(マテリアリティ)と捉え、コンプライアンス課題の一つと位置付けています。人権に関する取り組み方針や活動進捗はコンプライアンス委員会に報告・審議され、経営会議および取締役会に報告されます。

人権に関する諸課題には以下に記載した関連部門が連携して対応していくとともに、新たに発生した課題に対しては、適切な関連部門と相談しながら、体制を構築していきます。

人権推進体制

コンプライアンス委員会 人権方針の監督
人事部 従業員の労働慣行、ダイバーシティ推進、労働組合
研究倫理委員会 生命倫理
リスク・コンプライアンス部 差別、ハラスメント、従業員の相談・通報窓口、サプライチェーンの人権、プライバシー(個人情報保護を含む)

人権課題の特定

2021年4~5月において、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく人権デューデリジェンスの取り組み内容に関する関連部署のヒアリングを行いました。その結果を踏まえ、 2つの評価軸(深刻度、発生可能性)からリスクを再評価し、中外製薬グループとして重要な人権課題を5つの領域に特定しました。中外製薬は、自社、グループ会社およびサプライヤー等における人権への負の影響を特定し、防止・軽減し、取組みの実効性を評価していきます。

人権課題の領域 関連する人権テーマ
患者さんの安全 臨床試験の管理
品質安全の確保
偽造医薬品の流通撲滅
使用・廃棄段階での事故防止と対応
個人情報とプライバシー 個人情報とプライバシーの保護
サプライチェーンにおける人権 取引先拠点での有害物質の流出
取引先拠点での生物学的海賊行為
強制労働、児童労働
労働安全衛生、雇用・労働条件
従業員の職場における人権 従業員へのパワーハラスメント
取引先従業員への優越的行為
従業員へのカスタマーハラスメント
差別・長時間労働
ヘルスケアへのアクセス 緊急時の医薬品の安定供給
グローバルヘルスの向上
その他(地方地域・独居高齢者など)

人権尊重に関する教育と啓発

人権尊重に関する教育

中外製薬グループでは、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」でうたわれている“人権を尊重する企業の責任”に基づいて人権方針を策定しました。また、「子どもの権利とビジネス原則」の10原則等を踏まえ、「児童労働の禁止」「若年労働者の保護」に対する理解と協力を社内外に求めています。職場における差別やハラスメントの禁止、多様性尊重や安全衛生などの社員に対する人権尊重に加えて、事業活動にかかわるステークホルダーやサプライチェーン全体における労働に関する権利も含めた人権課題への取り組みの重要性について社員研修を実施しています。

人権尊重に関する教育

人権啓発標語募集

中外製薬グループでは、人権啓発の取り組みの一環として、従業員とその家族から人権啓発標語を募集し、人権について考える機会としております。2023年は、956作品(職場の部 816作品、家族の部 140作品)の応募がありました。12月4日~10日の「人権週間」には、最優秀作品(職場の部、家族の部)を社内イントラに公開しています。

東京人権啓発企業連絡会への参画

中外製薬は、東京人権啓発企業連絡会に加盟しています。同会は、「人権はCSR(企業の社会的責任)の基盤」との認識のもと、会員各社が社内の研修啓発に取り組み、人権の尊重が企業文化として定着することを目指し、1979年に発足しました。東京に本社を置く企業を主体に122社(2023年4月現在)で組織されています。同会での活動は、当社における人権尊重文化構築の一助となっており、2022年度は、上野特別顧問が、加盟会社を代表して、同会の会長を務めました。

サプライチェーン上の人権への取り組み

取引先に対する人権尊重の取り組みとしては、グローバル製薬企業で構成される非営利団体PSCI(Pharmaceutical Supply Chain Initiative)に加盟し、中外製薬グループが取引先に対して尊重し遵守していただきたい事項を行動規準として明文化した「中外製薬グループ サプライヤー・コード・オブ・コンダクト」を策定し、新たに取引先との契約を締結する際、趣旨や概要を説明したうえで、同意書を提出していただいています。

その内容は、PSCIが策定した「責任あるサプライチェーン・マネジメントのための製薬業界の原則(Pharmaceutical Industry Principles for Responsible Supply Chain Management、以下「PSCI原則」といいます)」に基づく、倫理、人権・労働、安全衛生、環境ならびに関連するマネジメントシステムに関して、尊重し遵守することを求めています。

加えて、重要な取引先については監査を実施し、確認された所見に対しては是正計画の提示を求め、定期的にモニタリングを実施する活動を行っています。

サプライチェーンマネジメント

人権に関する相談・通報と対応状況

中外製薬グループでは、中外製薬グループのすべての従業員(契約社員、派遣社員を含む)が、人権の尊重を含む行動規準に関する相談や、行動規準の違反および違反の疑いを通報できる窓口を設置しています。対応に際しては、相談者・通報者の意向を尊重しながら、秘密厳守のもとで公正な調査を行い、問題解決につなげています。また、相談者・通報者保護の観点から、報復などの不利益行為は規程により禁止しています。

なお、2022年6月に施行された改正公益通報者保護法に則り「公益通報者保護に関する規程」を制定し、社外からの問い合わせ窓口の設置や1年以内の退職者からの通報を受ける体制を整えました。

受け付けた相談・通報のうち、調査が必要と判断した案件については適切に調査を実施し、違反が認められた事例に対しては適切に対応しています。また、調査の結果、2022年度は3件の懲戒処分を科しています。

労使関係

中外製薬グループには、中外製薬株式会社および国内関係会社(中外製薬工業株式会社、株式会社中外臨床研究センター、中外ビジネスソリューション株式会社、株式会社中外医科学研究所)を対象とした中外製薬労働組合が組織されており、2022年12月末現在の組合員数は4,636名となっています。

中外製薬グループと中外製薬労働組合は、さまざまな階層で労使協議会を定期的に開催し、コミュニケーションの向上を図り、信頼をベースとした協力的で健全な労使関係を築いています。

英国現代奴隷法への対応

当社英国現地法人は、2015年に英国で施行された現代奴隷法への対応として、「Modern Slavery & Human Trafficking Statement」を以下のとおり、公表しました。

エンゲージメント

2021年10月には、前年に引き続き、経済人コー円卓会議日本委員会が主催する「ビジネスと人権に関する国際会議 in 東京【第10回】」に参加し、海外の有識者と個別のダイアログを実施しました。

人権リスクマップ作成上の留意点やステークホルダーとのエンゲージメントなどを含む重要な人権課題の特定に向けたプロセスやその進め方、特に企業がサプライチェーン上の人権リスク分析を実践していくうえでのご意見やアドバイスをいただきました。有識者からは、中外製薬のこれまでの人権リスク分析に対する取り組みについて理解・評価をいただくとともに、ライツホルダーとのダイレクトコミュニケーションの重要性やそれらを踏まえた上での重要な人権課題の特定が求められることなど、今後、デューデリジェンスを企業活動として実践していくための具体的な助言を頂きました。

ダイアログで得られた意見に基づき、人権デューデリジェンスの実施に関しては、ビジネスパートナーに対しても法令や社会規範の遵守を求めるとともに人権尊重に取り組んでいきます。

当社は、経済人コー円卓会議(CRT)日本委員会が主催するステークホルダー・エンゲージメント・プログラムに2018年から5年間参加し、マルチステークホルダーとの対話と協働を通じた「業界毎に重要な人権課題」の策定に参画するとともに、サプライチェーンを含む当社の事業活動に関連する人権課題の見直しを行い、人権デューデリジェンスを実施しています。

CRT日本委員会:ステークホルダー・エンゲージメントプログラム(SHE)

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