中外製薬の価値創造モデル

中外製薬は、事業を通じて社会課題を解決し、さまざまなステークホルダーとともに発展していくという考えのもと、「共有価値の創造」を経営の基本方針としています。この共有価値の目標となるのは、ミッションステートメント(=企業理念)の目指す姿でも掲げている「患者中心の高度で持続可能な医療の実現」です。
当社と社会の双方が持続的に発展しながら循環する仕組みを以下の価値創造モデルで説明します。

「患者中心の高度で持続可能な医療の実現」 に向けた経営資源とマテリアリティ

医療を取り巻く環境は、人口増加と高齢化の世界的な進展、新たな感染症の流行リスク、技術の進化や社会構造の変化、医療財政問題などを背景に、構造的な変化が想定され、持続可能な医療の実現が世界共通の課題となっています。限られた資源のもとで、真に価値あるソリューションだけが選ばれる時代の流れはますます加速しています。

こうした環境展望を踏まえ、中外製薬は、価値創造の源泉である人財、技術・知的財産、ロシュや外部との協働、製薬・設備、環境・エネルギー、財務・経営関連といった経営資源を投下する方向性を定め、「共有価値の創造」に向けたマテリアリティ(重要課題)のもと、中長期視点の価値創造に向けた取り組み(価値創造戦略)を進めます。
中外製薬のマテリアリティについて詳しくはこちらをご覧ください。

価値創造の源泉

カテゴリ重点テーマ価値創造の源泉課題認識と対策
人財
(人的資本)
  • 社員の働きがい・生きがいの向上
  • イノベーション創出に資する人財の獲得・育成
  • DE&Iの継続的な推進
  • 社員
  • 組織風土(エンゲージメント、社員が活きる環境)
  • 高度専門人財の獲得・育成
  • 一人ひとりが主体性を発揮し、活躍できる環境構築
  • イノベーション創出への環境・仕組み構築と企業文化の維持向上
技術・知的財産
(知的資本)
  • マルチモダリティの進展
  • 世界最高水準の創薬技術・基盤特許の拡充
  • デジタルによる創薬基盤強化
  • バイオロジーの深化
  • 抗体エンジニアリング技術、低分子・中分子創薬技術
  • 研究プロセス・ライブラリー
  • 研究・製薬に関わる知的財産
  • 研究開発投資への集中
  • マルチモダリティ技術補完と知財戦略充実
  • 疾患バイオロジーの理解深耕、外部との協働
ロシュや外部との協働
(社会関係資本)
  • ロシュ・グループ等を通じた自社品のグローバル展開
  • 技術、サイエンスおよびDXにおける外部協働
  • ステークホルダーとの対話
  • ロシュ品の独占販売権・インフラ
  • アカデミアとのネットワーク、スタートアップへの投資
  • 患者団体・患者・投資家等との対話
  • ロシュとの協働における継続的かつ高い貢献
  • アカデミアやスタートアップ等との協働
  • 患者団体等との共有価値創造に向けた活動
製薬・設備
(製造資本)
  • モダリティや技術進化、DXに対応した研究・生産の先鋭化
  • 柔軟かつスピーディーな開発・次世代生産体制
  • 安定供給・品質確保の徹底
  • 研究拠点(横浜、浮間、シンガポール)
  • 生産拠点(浮間、藤枝、宇都宮)
  • 品質マネジメントシステム
  • R&Dアウトプット増大に対応する体制構築
  • 品質・供給リスクへの継続的対応、リスク低減
環境・エネルギー
(自然資本)
  • 気候変動対策や生物多様性保全への貢献
  • サーキュラーエコノミーに対応した資源循環
  • 脱炭素・水資源管理に向けた技術・運用知見
  • 環境マネジメントシステム
  • 外部とのネットワーク
  • 環境負荷とコストのベストミックスの推進
  • EHSリスクの低い製造プロセスの開発
  • 外部パートナーとの連携
財務・経営関連
(財務資本)
  • 収益構造の継続進化
  • 戦略投資を確保するキャッシュ・フロー拡大
  • 収益構造
  • 継続的な再投資
  • 資本市場での継続的な評価向上

「共有価値の創造」に向けた「ヘルスケア産業のトップイノベーター」

価値創造戦略の推進にあたっては、イノベーションへの集中が鍵となります。アンメットメディカルニーズ*に応える革新的新薬を連続的に創出するには、新たな治療ターゲットの探索や創薬技術のさらなる革新、バイオロジーの深い理解が不可欠です。そのためには独自のサイエンス・技術力と、ロシュ社との戦略的アライアンスに基づく「独自のビジネスモデル」を最大活用することが重要になります。

価値創造戦略の設計においては、まず、2030年に目指す「ヘルスケア産業のトップイノベーター像」を定義しました。世界の患者さんに期待され、ヘルスケアに関わる人財とプレーヤーを惹きつけ、社会課題解決の世界のロールモデルとなる会社です。この実現に向け、当社は成長戦略「TOP I 2030」を掲げ、成長とその基盤の強化の道筋を描いています。提供価値を高めていくため、「世界最高水準の創薬実現」と「先進的事業モデルの構築」を2つの柱として、高い生産性と再投資を可能とする事業体となり、「R&Dアウトプット 倍増」と「自社グローバル品 毎年上市」を目指します。
成長基盤を強化するためには、人・組織、デジタル・クオリティ、環境保全などの重要なテーマへの取り組みも実践していきます。コンプライアンスやガバナンス・リスクマネジメント、健康・安全な事業基盤構築、社会とのエンゲージといった分野については、「TOP I 2030」の変革項目としてではなく、全社・各事業部門で継続的な整備・進化に取り組みます。

価値創造戦略の推進を通じ、中外製薬は、革新的で真に価値のある医薬品を生み出し、世界の患者さんに届け続けていきます。さらに、一人ひとりの患者さんが最適な治療を受けられる医療体制および社会の実現を目指します。同時に、当社の財務面の成長を図り、中長期にわたって研究開発成果を上げ続けるべく、強靭な収益構造とリスク低減を図った資本効率向上を果たします。そして、経営基盤の質的強化を実現することで、気候変動や資源エネルギー問題に対応した循環型社会の実現にも貢献していきます。

* いまだに有効な治療方法が無く、十分に満たされていない医療ニーズのこと

経営戦略