デジタルバイオマーカーへの取り組み
CHUGAI DIGITAL VISION 2030の3つの基本戦略の1つである「デジタルを活用した革新的な新薬創出」について、各取り組みを紹介します。
中外製薬は、ウェアラブルデバイスなどを用いて患者さんのデータを収集・分析し、新たな健康指標を創出することで、患者さんに新しい価値を提供します。
デジタルバイオマーカー(Digital Biomarker;dBM)とは
「デジタルバイオマーカー」とは、ウェアラブルデバイスやスマートフォンなどのデジタルデバイスから得られるデータを用いて、病気の有無や治療による変化を客観的に可視化する指標です。デジタル技術により従来のバイオマーカー*では得られなかったデータを取得・解析し、日常診療および医薬品の研究開発に活用することが期待されています。
*バイオマーカー:バイタルサイン、生化学検査、血液検査、腫瘍マーカーなど臨床検査値や、MRIやCTなどの画像診断データ。病気の診断や治療予測に用いられる。
中外製薬のデジタルバイオマーカーへの取り組み
中外製薬では複数の医薬品プロジェクトにおいてウェアラブルデバイスを活用し、患者さんの客観的、継続的な生理学的データを収集し、解析しています。これまで取得できなかったリアムタイム性の高いバイタルデータを解析することで、当社が開発する薬剤の治療に対する早期の価値証明(臨床試験におけるデジタルエンドポイント、適切な患者選択、安全性管理等)に取り組んでいます。また、デジタルバイオマーカーの開発を通じて疾患をより深く理解し、疾患の予防、超早期診断、予後のQOL向上に対しても新しい価値を提供することを目指しています。
デジタルバイオマーカーへの取り組み
子宮内膜症の痛みの評価方法の確立
- Biofourmis社との共同開発で、ウェラブルデバイスとAIプラットフォームを用いて、客観的かつ持続的に痛みを評価する可能性を検証しています。
- Biofourmis社の持つAIプラットフォームは、医師が遠隔でアクセスできるダッシュボードと、患者さんが装着するウェラブルデバイス、アプリから構成されます。患者さんのバイタルデータの取得・収集と分析、症状の記録、収集したデータを用いた痛みの定量化、デバイス利用継続を支援するゲーミフィケーションなどの機能を備えます。
- デバイス:E4®
ニュースリリース「中外製薬とBiofourmis、子宮内膜症における痛みのデータを活用した バーチャルケアに向けた新たなパートナーシップを締結」(2023/3/2)[PDF 693KB]
ニュースリリース「中外製薬とBiofourmis、デジタル技術による子宮内膜症に伴う痛みの評価法の確立を目指す」(2020/7/22)[PDF 527KB]
血友病での取り組み
- 患者報告に基づく運動の実施状況と出血の関連性、及びウェアラブル活度量計による運動時の身体活動データの評価を行っています。
- デバイス:ActiGraph社 Insightwatch
- ePRO:Welby社専用アプリ