Step 2
くすりのタネを「育てる」

Step1で見つかったタネを、薬として効果を発揮できるように改良していきます。 薬効薬理、安全性、物性薬物動態など、さまざまな試験の結果をもとに少しずつ改良を重ね、バランスの取れた最適なものに育てていきます。それぞれの分野の専門家と相談しながら、チームワークで進めていきます。 薬のタネを育て、薬として効果を発揮する物質をつくり出します。安全性などの厳しいチェックも行われます。

患者さんに安心して使っていただくために

薬効薬理試験とは、薬としての効果を確かめる試験です。どれくらいの量で効果がでるのか、どのような方法で使用するかなどを研究します。

また、どのような試験をすれば効果を確かめることができるか、試験の方法も検討します。

ひとつの結果が良くても、それだけで判断することはできません。患者さんに確かな薬を届けるためには、あらゆる可能性を考えて、環境や条件を変えながら何度も試験を行います。

研究所では患者さんに効果ある薬を届けるために、あらゆる可能性を考えて何度も試験を行っています。

患者さんに安心して使っていただくために

安全性を検証します。患者さんが使用した時に問題がないか、副作用を起こさないかなどの判断をします。

安全性薬理(主な生理機能への作用)、毒性、細胞への作用、DNAや染色体などへの作用、生殖器への作用、がん原性(発がん性)などさまざまな面から徹底的に調べて、安全であることを確認します。

ほんの小さな問題でも、解決するための改良が行われます。薬の発売までのスケジュールが遅れてしまうこともありますが、患者さんが安全に使用できる薬をつくることを優先し、厳しいチェックを行っています。

安全性試験では非常に重要な結果が出るので、チーム内だけでなく、すべての関係者と連絡を迅速にとれるようにすることも大切です。

さまざまな角度から厳しく検証して、安全が確認されたものだけを患者さんにお届けしています。

効果的で使いやすい薬にするために

物性試験では、溶解性、吸収、代謝、安定性などを分析します。

【溶解性】

薬が体の中に入って効果を発揮するためには、水にも脂にも溶ける必要があります。より多く溶かすことができれば、より多く体の中に吸収されるので、より効果の高い薬になります。吸収や代謝を分析することで、どのくらいの量を使用すれば良いかということも検証していきます。

【安定性】

薬をつくる間に壊れたり変質したりしないか、薬として安定した状態を長く保てるかどうかを確認します。どんなに優れた効果があっても、すぐに変質して使えなくなるようでは患者さんにとって良い薬とはいえません。温度、湿度、光などの環境を少しずつ変えて、詳しく状態を調べます。

溶けないと、薬効や安全性などの他の試験もできなくなってしまいます。「溶ける」ということは、研究を円滑に進めるためにも大切なことです。

体の中の薬の動きを検証します

薬物動態試験では、体の中での薬の動きを検証します。 消化管から吸収され、血液を通して組織全体にまわり、肝臓で代謝され、腎臓から尿に排出されるまでの様子を調べます。

優れた成分の薬でも、消化管での吸収が悪いと効果が現れにくくなります。また、肝臓での代謝が良すぎると、すぐに体の中からなくなってしまうので、短い時間しか効かないということになってしまいます。このように、体内での吸収や代謝のされ方は、薬の効き方に大きく影響があります。

また、同時にくすりの飲み合わせ(薬物間相互作用)のチェックも行い、他の薬による影響を考えながら、最も効果的で安全なものに改良していきます。

薬効でよい結果が出ても、吸収や代謝のされ方によって、その効果が生かせないということもあります。薬物動態試験も非常に大切です。