じん臓
目次
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じん臓について
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じん臓が病気になると…
じん臓について
正面
尿(にょう)を作り出したりする大切な器官です。大切な器官です。腰(こし)のくびれのやや上あたりに2 つあり、尿管(にょうかん)という管で膀胱(ぼうこう)とつながっています。腰(こし)のくびれのやや上あたりに2つあり、尿管(にょうかん)という管で膀胱(ぼうこう)とつながっています。

英語では、じん臓のことを「キドニー kidney」と言い、じん臓のカタチにそっくりのいんげん豆を、キドニー・ビーンズ kidney beans(豆)と呼んでいます。
じん臓とは
じん臓は、腎臓(じんぞう)と書きます。血液をろ過し、尿をつくります。そのほかには、からだの中の水分や血圧、体液のバランスなどを調節したり、生きていくために必要なホルモンなどをつくる大切な臓器です。
尿(にょう)はどうやって作られているの?
血液をろ過したあとにできる、老廃物や余分な水分が尿になります。

からだの中に老廃物(ろうはいぶつ)を溜(た)めないようにしています。
尿(にょう)を作る
じん臓は血液をろ過し、老廃物(ろうはいぶつ)〈エネルギーの燃えカスなど〉などを取り除きます。再利用できるものはきれいになった血液と一緒(いっしょ)にからだの中にもどし、からだにとって必要のない水分・塩分・老廃物などは尿としてからだの外へ出されます。じん臓のはたらきが悪くなり、尿をつくることができなくなると、排泄(はいせつ)されるはずの老廃物や塩分などがからだの中に残ってしまいます。そうすると、さまざまな病気を引き起こします。
水分の調整ってなに?
からだに必要な水分は状況(じょうきょう)によって異なるので、じん臓はその度に水分量のバランスを調整しています。

水分を多く出したり少なくしたり、まるでダムのようです。
水分、血圧、体液のバランスなどを調節
じん臓では、体内の水分量や、血液、体液のバランスの調整もしています。 例えば、水をたくさん飲んだ場合と汗をかいて喉(のど)がカラカラの場合では、必要な水分量に違(ちが)いがあります。からだにとってちょうど良い状態になるように尿の量を調整して体内の水分量のバランスを一定に保っています。ナトリウムやカリウムなどの体液の成分のバランスも調整しています。
じん臓はどんなホルモンを作っているの?
骨髄(こつずい)で作られる赤血球(せっけっきゅう)を増やすホルモンや、血圧を調整するホルモンを作っています。

血液など、じん臓はからだの中の大切な液体を多くコントロールしています。
ホルモンを作る
じん臓ではエリスロポエチンというホルモンが作られています。
このホルモンは骨髄(こつずい)でつくられる赤血球(せっけっきゅう)を増やすはたらきがあります。赤血球は、肺で受け取った酸素を体のすみずみまで運び、二酸化炭素を運び出すはたらきをしています。
じん臓が弱ってエリスロポエチンが減少して起こる貧血を腎性貧血(じんせいひんけつ)といいます。赤血球が少なくなると必要な酸素が送られなくなり、貧血(ひんけつ)になります。ほかには、血圧を調整するホルモンも作られています。血圧を上げるレニンと、血圧を下げるプロスタグランディンです。じん臓の中を流れる血液の量を感知して、血圧を調整し適切な量の血液が流れるようにしています。
じん臓が病気になると…
じん臓が炎症(えんしょう)を起こすとどうなるの?
じん臓の機能が低下する、急性腎炎(きゅうせいじんえん)になってしまいます

からだから老廃物(ろうはいぶつ)が出にくくなると、大変です。
急性腎炎(きゅうせい・じんえん)<急性糸球体腎炎(しきゅうたいじんえん)>とは
主な症状(しょうじょう)は?
扁桃炎(へんとうえん)や風邪(かぜ)などの感染症にかかった後、じん臓に急性の炎症(えんしょう)が起こる病気です。10日から3週間たって血尿(けつにょう)やたんぱく尿、むくみ、高血圧、腎機能(じんきのう)の低下などの症状が突然にあらわれます。
原因は?
溶連菌(ようれんきん)という細菌や、ウイルスに感染することで炎症が引き起こされます。
治療(ちりょう)するには?
塩分やたんぱく質の制限を中心とした食事療法や、利尿薬(りにょうやく)、抗菌薬(こうきんやく)、血圧を抑(おさ)える薬 などを使います。一般的には3〜6カ月くらいで治りますが、急に進行したり慢性化(まんせいか)したりする場合もあるので注意が必要です。
じん臓のはたらきが落ちるとどうなるの?
じん臓のはたらきが著しくおちる病気の総称(そうしょう)を、慢性腎臓病(まんせいじんぞうびょう)
(CKD
※1・シーケーディー)と呼び、老廃物(ろうはいぶつ)や毒素のろ過ができにくくなってしまいます。
※1 CKD (Chronic Kidney Disease)

※ 2GFR:糸球体濾過量(しきゅうたい・ろかりょう)。
じん臓の糸球体で濾過されて出てくる毎分あたりの液量。 (Glomer-ular Filtration Rate)
分類表の出典:
日本腎臓学会編「CKD診療ガイド 2009」 東京医学社
「慢性腎臓病(まんせい・じんぞうびょう)<CKD>」とは
主な症状(しょうじょう)は?
じん臓のはたらきが、健康な人の60パーセント以下の状態や、じん臓のはたらきが悪くなくてもたんぱく尿(にょう)が出ている状態が3カ月以上続くことをいいます。
ほとんど自覚症状がなく、健康診断(しんだん)などで偶然(ぐうぜん)発見されることも多い病気です。貧血(ひんけつ)、疲労感(ひろうかん)、むくみなどの症状があらわれたときには、病気がかなり進行している可能性があります。 放っておくと徐々(じょじょ)にじん臓のはたらきが悪くなり、透析※(とうせき)が必要な腎不全(じんふぜん)になる場合もあります。
※透析:正常に機能しなくなったじん臓のかわりに体内に溜(た)まった老廃物や毒素、余分な水分を体外の機器によってろ過する治療法です
原因は?
糖尿病(とうにょうびょう)や高血圧、膠原病(こうげんびょう)、急性腎炎(きゅうせい・じんえん)などのさまざまな病気が原因となります。
治療(ちりょう)するには?
塩分やたんぱく質の制限を中心とした食事療法(りょうほう)が大切です。症状に応じて、血圧を下げる薬や尿(にょう)を増やす薬、免疫反応(めんえき・はんのう)を抑(おさ)える薬などが使われます。
監修:公益財団法人 日本学校保健会