固形剤の製造工程

錠剤やカプセル剤など、固形剤ができるまでの工程を紹介します。

自動秤量機
自動秤量機の画面

ここからは、患者さんが飲みやすいように錠剤やカプセル剤にするための固形剤製造工程です。

まずは秤量です。原薬や添加物などの各原料をふるいにかけ、粉砕するなど事前に処理を行い、決められた量を正確に量ります。
コンピュータで管理されていて、間違いがおきないようにしています。

自動秤量機
自動秤量機の画面
高速攪拌造粒機
原料+結合剤→高速で混ぜる→顆粒

秤量した原料を扱いやすくするため、粉末の状態から顆粒の状態に加工します。これを造粒といいます。原料に精製水などの結合剤を加え、高速で混ぜ合わせて顆粒にしています。

高速攪拌造粒機
原料+結合剤→高速で混ぜる→顆粒
流動層乾燥機
流動層乾燥機内部

その後、流動層乾燥機で乾燥させ、乾燥した顆粒をコンテナに収納します。

流動層乾燥機
流動層乾燥機内部

粉末のままの原料は小麦粉のような状態なので、細かな粒が舞い上がってしまったり、正確に量ったりすることがなかなか難しいのです。これを顆粒の状態にすることで正確に量りやすくなり、作業効率も上がります。

造粒した顆粒は、混合室でコンテナごと回転して均一に混ぜ合わせます。

秤量工程で正確に計りとった原料を、1錠・1カプセルごとに均等に配分できるようにするためです。

ここで行われて
いるのは・・・

ここで行われているのは・・・ 原薬+添加物→均一に混ぜる

1錠1錠全く同じ成分に

粉取り機

均一に混ぜ合わせた顆粒を打錠機に入れ、高速で回転する「うす」と「きね」で成型します。

粉取り機
自動サンプリングの様子

成型した錠剤は定期的に自動サンプリングを行い、質量、厚み、硬度を測定し、打錠機が正確に稼動していることを確認します。

金属検知機で金属の混入がないことも確認します。

自動サンプリングの様子

崩れやすいものや苦みのあるくすり

打錠した錠剤にフィルムコーティング機で表面に薄い高分子の膜を造ります。
これは苦味を包み込んだり、錠剤の表面が削れて薬の成分が飛散することを防ぐためです。

カプセル剤の場合は…

ハードカプセル充填機
ハードカプセル充填の手順

高速で回転する充填機で、空のカプセルに顆粒を一定量充填し、キャップを閉めて完成します。

完成後は錠剤と同じように金属検知機で確認し、次の工程に進みます。

ハードカプセル充填機
ハードカプセル充填の手順
自動外観検査機
検査の様子

すべての錠剤やカプセル剤は、複数のカメラを搭載した自動外観検査機で検査します。

ターンテーブルで整列し、ひとつずつを6台のカメラで表面、裏面、側面を検査し、異物や汚れ、欠け、割れなどがあるものを取り除きます。

検査に合格した錠剤やカプセル剤は包装工程に送られます。

自動外観検査機
検査の様子
PTPシートへの封入
ポケットを作る→錠剤・カプセル剤を入れる→ふたをする

まず、プラスチックのPTPシートに熱をかけ、錠剤やカプセル剤を入れるポケットを成型します。成型したシートに異物が混入していないか検査した後、錠剤・カプセル剤を詰め、アルミ箔をかぶせてシールします。

PTPシートへの封入
ポケットを作る→錠剤・カプセル剤を入れる→ふたをする
PTPシートの切り離し

異物の混入がないか、すべてのポケットに錠剤・カプセル剤が入っているかを検査し、1シートごとに切り離します。

PTPシートの切り離し
PTPシートの梱包

PTPシートは決められた枚数で積み重ねられ、アルミ剤の袋に梱包、またはプラスチックのバンドで留められます。重量チェックにより、PTPシートが規定枚数入っていることを確認し、箱詰めします。

PTPシートの梱包
ダンボールへの梱包

最後に段ボールに梱包し、出荷するために製品倉庫に搬送します。

ダンボールへの梱包

人の命に関わる重要なものだから、何度も検査をしたり、慎重に作業をすることが必要です。

一般活性と高活性の話

高活性物質を使った薬の製造風景
高活性物質を使った薬

薬の製造工程はその種類によってさまざまです。今まで紹介してきた工程は、一番わかりやすくて短いものなのです。人体への効き目が比較的おだやかな一般活性の薬で、原薬の製造工程にかかる期間は7日から10日程度です。

この工場では、100万分の1g程のほんのわずかな量でも治療効果のある、高活性物質を使った薬も製造しています。こちらは原薬の製造だけで半年かかります。

ガラス器具位の小さなスケールで製造するため、手作業で行っています。

高活性物質を使った薬の製造風景
高活性物質を使った薬