バイオの原薬製造工程
種細胞培養


バイオのくすりの原薬製造工程を紹介します。
種細胞はワーキングセルバンクと呼ばれ、厳重な管理のもとに凍結保管されています。
バイオの薬は、種細胞を使って細胞を増やしていくことから始まります。
種細胞を細胞培養用の培地(育てるところ)に融解し、スピナーフラスコと呼ばれる細胞培養機中で培養を開始します。
段階的に容器やタンクの大きさを大きくして細胞の数を増やしていきます。無菌的に取り扱わなければならず、細心の注意が必要です。



生産培養

1万リットルの大型培養槽でさらに培養を行い、増殖した細胞が原薬の生産を行います。種細胞の培養開始から、ここまでで1カ月程度かかります。
細胞を増殖させるためには、細胞の栄養源となる培地が重要な役割を果たしています。


大型の培養槽用の培地調製には専用のコンテナを用い、秤量された培地をタンク内に投入します。
その後無菌ろ過フィルターでろ過された培地は培養槽に送られます。

細胞分離

細胞分離装置により、培養液から細胞を取り除きます。そして原薬を含む培養液は精製工程へ送られます。


フィルターなどで細胞のみを取り除きます。

細胞分離装置により、培養液から細胞を取り除きます。そして原薬を含む培養液は精製工程へ送られます。
フィルターなどで細胞のみを取り除きます。
精製

カラムクロマトグラフィー(必要な成分だけを取り出すための装置)により培地成分などの不純物を取り除き、原薬の純度を段階的に高めていきます。

濃縮


次に、限外ろ過装置で濃縮されます。
精製工程の最初の段階では1万リットルあった培養液が、最終的におよそ数十リットルまで濃縮されます。
その後無菌フィルターによりろ過され、分注室に送られます。


分注

原薬は、分注室のクリーンブース内で自動的にボトルに分注されます。
今までの工程はすべてタンクの中で行っていましたが、この工程は空気に触れるので、空気清浄度が極めて高い部屋の中で行うことが決められているんですよ。この後、品質試験に合格したものだけが製剤工程に送られます。

バイオのくすり工場【コラム】
バイオのくすりはデリケート

バイオの薬は非常にデリケートでストレスに弱いので、各工程の作業は細心の注意を払い丁寧に行うことが必要です。
また、少しでも雑菌が入ってしまうと全部だめになってしまいます。雑菌が入る一番の原因は、人間が持ち込んでしまうことです。そのため、人が直接触れることのないようにタンク内で作業が行われ、コンピュータで外から操作しています。
