すい臓
目次
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すい臓について
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すい臓が病気になると…
すい臓について
正面
すい臓はおなかの後ろ側にある消化器官です
すい臓とは
すい臓は、膵臓(すいぞう)と書きます。食べ物を消化するすい液を作り、十二指腸(じゅうにしちょう)に送り出すはたらきをしています。また、血液中の糖分の量を調節するホルモンを作り、血液の中に送り出すはたらきもしています。 すい臓は胃の後ろにあり、長さは20cmほどの細長い形をしています。
すい液ってどんな液体なの?
すい臓で作られるたすい液は十二指腸へと送られ、栄養を分解したりしています。

すい臓と十二指腸は、とくに深い関わりがあります。
すい臓で作られるホルモンって?
すい臓の中のランゲルハンス島の中にある細胞(さいぼう)で、血液中の糖分を調整するホルモンを作っています。

糖分は甘くておいしいだけではなく、からだにとってとても大切です。
すい臓で作られるホルモン
すい臓の中にはランゲルハンス島と呼ばれる細胞(さいぼう)の集まりがあります。その中のアルファ細胞ではグルカゴンを、ベータ細胞ではインスリンという血液中の糖分を調整するホルモンがそれぞれ作られています。
グルカゴンのはたらき:血液中の糖分を増やす
- 脂肪(しぼう)組織の脂肪をブドウ糖に作り変える。
- 肝臓(かんぞう)に貯えられたグリコーゲンをブドウ糖にもどす。
インスリンのはたらき:血液中の糖分を減らす
- 血液中のブドウ糖を細胞に取り込ませる。
- 余分なブドウ糖を脂肪(しぼう)組織に貯えさせる。
- ブドウ糖をグリコーゲンという物質に作り変えて肝臓や筋肉に貯えさせる。

グルカゴンとインスリンは血液中の糖分のバランスを保つために、協力しながらはたらいています。
すい臓が病気になると…
すい臓の病気ってなに?
すい臓は、自分で出した消化酵素(こうそ)によって溶(と)けてしまうこともあります。

グラフからも分かるように、急性すい炎はおとなの男性に多い病気です。
急性すい炎(きゅうせい・すいえん)とは
どんな病気?
すい液にふくまれる消化酵素(こうそ)により、すい臓自体が消化されてしまう病気です。
主な症状(しょうじょう)は?
お腹の上の部分に激しい痛みが起こります。吐き気(はきけ)や熱が出ることもあります。
原因は?
お酒のアルコールによるものが約40パーセントを占めていますが、アルコールがすい炎を引き起こすしくみはまだよくわかっていません。 ほかには胆石(たんせき)によるものや、原因不明の場合もあります。
治療(ちりょう)するには?
入院して安静にし、輸液※(ゆえき)をします。 食べ物や飲み物をとると、すい液が分泌(ぶんぴつ)されて悪化してしまうために、飲み物をとらずに絶食することが基本です。 すい液にふくまれる酵素(こうそ)のはたらきを抑(おさ)える薬を使います。胆石が原因の場合は胆石を取り除く手術を行います。
※輸液とは:水分・電解質や栄養素などを、点滴(てんてき)や静脈(じょうみゃく)注射などにより投与すること。または、その液。
何度も炎症(えんしょう)が起きるとどうなるの?
すい臓が炎症を繰(く)り返すと、すい臓が硬(かた)くなって慢性すい炎(まんせいすいえん)になります。

- ※1 代償期とは:治療をすれば、すい臓の機能が維持(いじ)できる時期を指します。
- ※2 非代償期とは:すい臓組織の線維化(せんいか)などが進み、機能不全に基づく症状(しょうじょう)が見られる時期を指します。
慢性すい炎(まんせい・すいえん)とは
どんな病気?
すい臓に何度も炎症(えんしょう)が起きると、すい臓の細胞(さいぼう)がこわされて硬(かた)くなり、すい臓のはたらきが失われていく病気です。
主な症状(しょうじょう)は?
お腹の上の部分に痛みがつづきます。下痢(げり)になったり、腸にガスがたまったりすることもあります。また、すい臓に結石(けっせき)※ができたり、糖尿病(とうにょうびょう)を引き起こすこともあります。
※結石:体内で分泌物の成分などが固まって石状となったもの。生じる場所によって胆石(たんせき)・腎結石(じんけっせき)・尿管結石(にょうかん・けっせき)・膀胱結石(ぼうこう・けっせき)などがある。なお、胆石は、肝臓(かんぞう)で作られる胆汁(たんじゅう)の成分が濃縮されて作られたもの。
原因は?
お酒のアルコールのとりすぎが半数以上で、それ以外は原因不明のもの、胆石(たんせき)によるものといわれています。
治療(ちりょう)するには?
急激に強い症状があらわれた場合には急性すい炎と同じ治療を行います。 それ以外は、禁酒やストレスを避(さ)けるなど、生活習慣を改善することが主な治療法となります。 すい臓のはたらきが低下している場合には、消化酵素薬(しょうか・こうそやく)やインスリン注射などを使います。 すい臓に結石ができている場合には、衝撃波(しょうげきは)で砕(くだ)いたり、内視鏡で取り除いたりします。
監修:公益財団法人 日本学校保健会