ホルモン
- 【ページ内目次】
- ホルモンについて
- ホルモンのバランスが崩(くず)れて病気になると…
ホルモンについて
クリックするとくわしい解説にジャンプします
ホルモンはからだのはたらきを調整しているんじゃな。
内分泌腺(ないぶんぴつせん)で作られているぞ。
内分泌腺(ないぶんぴつせん)はからだ中のあちこちにあって、
それぞれ違うホルモンが作られているのね〜。
脳下垂体は、
脳の奥(おく)のとても小さい部分なんだ。
脳下垂体(のうかすいたい)
脳下垂体は、頭蓋(ずがい)骨のほぼ中心にあり、額の奥(おく)約7cmのところにある小指の先ほどの小さな器官で、下垂体ともいいます。脳下垂体を大きく分けると、脳下垂体前葉(ぜんよう)と脳下垂体後葉(こうよう)の2つに分かれています。
- 【脳下垂体前葉からの刺激(しげき)で生まれる主なホルモン】
- ・成長ホルモン ⇒ 成長促進(そくしん)
- ・甲状腺刺激(こうじょうせん・しげき)ホルモン ⇒ 代謝促進
- ・副じん皮質刺激(ふくじんひしつ・しげき)ホルモン ⇒ 血糖上昇・血圧上昇
- ・性腺刺激(せいせん・しげき)ホルモン ⇒ 乳腺発達(女性)・精子形成(男性)
これらのホルモンは、ほかの内分泌腺(ないぶんぴつせん)からホルモンがでるようにコントロールするためのホルモンです。からだに異常があらわれたという信号が脳の視床下部(ししょうかぶ)に伝わり、視床下部から脳下垂体を刺激するホルモンが出されることによって作られます。からだを正常に戻すために必要なホルモンを出す器官を、それぞれに刺激し合うはたらきをしています。
- 【脳下垂体後葉で作られる
主なホルモン】 - ・抗利尿(こう・りにょう)ホルモン ⇒ 水の再吸収促進(そくしん)
- ・子宮收縮(しきゅう・しゅうしゅく)ホルモン ⇒ 分娩(ぶんべん)促進
抗利尿ホルモンは、尿の量を調節するバソプレシンを分泌します。子宮收縮ホルモンは、母親が子どもを産むときに、子宮(しきゅう)を収縮させるオキシトシンを分泌します。
甲状腺(こうじょうせん)は、
喉(のど)の下あたりにあるよ。
甲状腺(こうじょうせん)
甲状腺は、喉頭(こうとう)と気管とのさかい目の部分にある蝶(ちょう)のような形をした器官です。
甲状腺ホルモン:全身の細胞のはたらきを活発にし、成長を助けるはたらき。
※このホルモンが多すぎると「バセドウ病」になり、少なすぎるとむくみなどがあらわれたりします。
副甲状腺(ふく・こうじょうせん)は、
甲状腺の後ろ側に4つあるんだ!
副甲状腺(ふく・こうじょうせん)
甲状腺の後ろ、左右にある上下2対(つい)合計4個の麦粒(ばくりゅう=むぎつぶ)位の大きさの器官です。上皮小体(じょうひ・しょうたい)ともいいます。
副じんは、じん臓の上にひとつずつあるよ。
副じん
すい臓のなかのランゲルハンス島は、
色々な細胞(さいぼう)の集まりなんだ!
すい臓
すい臓のホルモン:すい臓にあるランゲルハンス島(とう)のなかにある細胞で作られています。腸での消化を助けるホルモンや、血液中の糖分の量を上げるグルカゴン、糖分の量を下げるインスリン※などが分泌され、さまざまにからだのバランスを調節するはたらきをしています。 ※下記【インスリンのはたらき】を参照
赤い矢印▶カーソルを合わせると絵がかわります
生殖腺の位置と形は、
女性と男性で異なるよ。
生殖腺(せいしょくせん)
性ホルモン:男らしいからだつきや機能、女らしいからだつきや機能を作り出すはたらきをしています。
ホルモンのバランスが
崩(くず)れて病気になると・・・
Q : ホルモンの分泌(ぶんぴつ)が少なくなるとどうなるの?
更年期障害(こうねんきしょうがい)という女性に多い病気があっての、
気持ちが不安定になったりするんじゃ。
ホルモンが少なくなりすぎてもいけないんだね〜。
「更年期障害(こうねんき・しょうがい)」とは
- 【どんな病気?】
- 女性に多い病気です。卵巣(らんそう)から出る女性ホルモンの分泌(ぶんぴつ)が少なくなったときに、不快な症状が心身にあらわれる病気です。
- 【主な症状(しょうじょう)は?】
- 頭痛・ほてり・のぼせ・どうき・肩こり・腰痛・大量に汗をかく・不安になる・イライラする・ゆううつになるなど、さまざまな症状があらわれます。
- 【原因は?】
- 主に女性の閉経前後に、卵巣の機能が急に低下し、ホルモンの分泌が少なくなることが原因です。精神的なストレスの影響も原因のひとつと考えられています。
- 【治療(ちりょう)するには?】
- 症状にあわせて、不足しているホルモンを補うくすりを使います。不安やうつなどの症状が強い場合には精神安定剤を使うこともあります。たばこやストレスを避(さ)けたり、軽い運動を行うことで症状が軽くなることもあります。
更年期障害にはさまざまな原因や症状があります。気になる症状があるときは、早めに医師に相談しましょう。
Q : ホルモンの分泌(ぶんぴつ)細胞が多くなると?
逆にホルモンの分泌が多くなっても、
バセドウ病という病気になることがあるのじゃ。
ホルモン分泌はバランスが重要なのね〜。
「バセドウ病」とは
- 【どんな病気?】
- 甲状腺(こうじょうせん)ホルモンが必要以上に分泌(ぶんぴつ)されておこる病気です。 女性では100人に一人位にみられます。大量の甲状腺ホルモンにより全身の代謝(たいしゃ)が過剰(かじょう)に活性化されるためにさまざまな症状(しょうじょう)があらわれます。
- 【主な症状(しょうじょう)は?】
- 食欲が旺盛(おうせい)になり、たくさん食べられても、体重は減少します。些細(ささい)なことにもイライラしたり、おこりっぽくなることもあります。暑がりになる人もいます。 疲(つか)れやすくなり、動悸(どうき)がながく続いたり、トイレの回数が増えます。手がふるえて文字が書きづらくなるなど、からだにふるえが出るようになります。
- 【治療(ちりょう)するには?】
- 薬物療法(やくぶつりょうほう)、手術、アイソトープ治療※をおこないます。通常は抗甲状腺薬(こうこうじょうせんやく)が使われます。治療を受ける場合、眼に疾患(しっかん)がある方などをふくめさまざまな規制がありますので、甲状腺疾患専門の医師に相談して正しい治療を受けましょう。
※アイソトープ治療:放射線ヨード療法ともいい、微量(びりょう)な放射線のちいさなカプセルを飲むことで、薬物の効果を検査確認しながら行う治療法です。
- アイソトープ治療用語解説を開く
- 放射線ヨード療法ともいい、微量(びりょう)な放射線のちいさなカプセルを飲むことで、薬物の効果を検査確認しながら行う治療法です。
Q : 糖尿病(とうにょうびょう)もホルモンの病気なの?
そうじゃ。血液中の糖の濃度(のうど)を下げるインストリンという
ホルモンが不足して起きる病気なんじゃ。
まずはインスリンのはたらきから見てみよう。
運動不足や偏(かたよ)った食事などをつづけると、インスリンが
糖を分解するしごとが間に合わなくなってしまうんじゃ。
へ〜。よく聞く名前の病気だけど、
その原因までは知らなかったな〜。
「糖尿病(とうにょうびょう)」とは
- 【どんな病気?】
- 糖尿病はすい臓から出るインスリンというホルモンのはたらきが足りないために起こる病気です。血糖値(けっとうち)〈血液中の糖の濃度(のうど)〉が異常に高くなり、糖が尿(にょう)の中に排泄(はいせつ)されます。
- 【主な症状(しょうじょう)は?】
- のどが異常にかわく、甘いものが急に欲しくなる、食欲が強くなり食べているのにやせてくるなどの症状があります。また、ほかの病気の検査で発見されることも多い病気です。
- 【原因は?】
- インスリンを作る細胞が破壊(はかい)される1型糖尿病と、肥満・食べすぎ・運動不足・ストレスなどによりインスリンの分泌(ぶんぴつ)が低下する2型糖尿病があります。すい臓・肝(かん)臓などほかの臓器の病気が原因になることもあります。
- 【治療(ちりょう)するには?】
- 1型の場合はインスリン注射を受け続けることが必要です。2型の場合は食事療法(りょうほう)や運動療法など生活習慣を改善することで、血糖値(けっとうち)を下げることも可能です。血糖値が下がらない場合は、インスリン分泌を刺激(しげき)する薬や、糖の吸収を遅らせる薬を使います。
病気が進行すると合併症(がっぺいしょう)といって全身にさまざまな症状が出ることがあります。脳梗塞(のうこうそく)や心筋梗塞(しんきんこうそく)、肺炎(はいえん)、腎炎(じんえん)など、命にかかわるような重い病気を引き起こすこともあるので、糖尿病をきちんと治療することが大切です。
ホルモンとは
ホルモンはからだのさまざまなはたらきを調節する化学物質です。からだの外側・内側で環境(かんきょう)の変化が起きても、からだのはたらきを常に同じになるように保つはたらきをしています。
ホルモンが作られる場所
ホルモンはからだの中の内分泌腺(ないぶんぴつせん)というところで作られています。
内分泌腺には、脳下垂体(のうかすいたい)、甲状腺(こうじょうせん)、副甲状腺、副じん、すい臓、生殖腺(せいしょくせん)などがあり、それぞれにちがったはたらきのホルモンが作られています。ホルモンは血液によって全身に送られ、内臓の機能やからだの調子を整えるような、さまざまなはたらきをしています。
このほかにも、じん臓では血圧を調整するホルモンや、骨髄(こつずい)では赤血球を作るように刺激(しげき)をあたえるホルモン、脂肪(しぼう)組織では体脂肪(たいしぼう)を一定に保つためのホルモンなど、からだの各器官でさまざまなホルモンが作られています。現在、ホルモンとして確かめられているものは100種類ほどあり、さらに発見され続けています。
どのホルモンもほんの少しの量で効果を発揮します。ホルモンが必要な時期に必要な量を作られることにより、からだのバランスは保たれています。多すぎたり少なすぎたりすると、さまざまな病気を引き起こします。