小腸
目次
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小腸について
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小腸が病気になると…
小腸について
正面
小腸はからだの中でいちばん長い臓器です。
小腸のなか、小腸のしくみはどうなっているの?
たくさんの突起がヒダ状になっていて、栄養をムダなく吸収したり、免疫(めんえき)細胞が外敵(がいてき)とたたかったりしています。

①小腸の栄養吸収「腸絨毛(ちょうじゅうもう)」のしくみ
小腸の粘膜(ねんまく)には、腸絨毛という無数の突起(とっき)があり、ビロード〈やわかい布の一種〉の絨毯(じゅうたん)のようになっています。腸絨毛があることによって、表面積が大きくなり、より多くの栄養素を吸収できます。腸絨毛はからだの組織に必要なほぼすべての物質を吸収します。水、ミネラル、糖、アミノ酸、ビタミンなどが絨毛(じゅうもう)を通って腸のなか、小腸の中の血管に入って行きます。
②小腸の粘膜免疫(ねんまくめんえき)「パイエル板」のしくみ
外部からの抗原(こうげん)〈細菌(さいきん)やウイルスなど〉に直接さらされている腸管の内側では体内の免疫※細胞(さいぼう)の50%以上が集中しており、ユニークな免疫機能を持っています。その代表は腸管の上皮にあるパイエル板というシステムです。M細胞という特殊(とくしゅ)なかたちの細胞がいて、抗原を免疫細胞の集まっているパイエル板へ誘導(ゆうどう)し、免疫細胞の樹状(じゅじょう)細胞、リンパ球のT細胞とB細胞、形質(けいしつ)細胞などによって処理しています。
※免疫:細菌やウイルスなどから私たちを守ってくれる防御(ぼうぎょ)システム。
小腸はどうやって消化・吸収しているの?
酵素をたくさんふくんだ小腸液で消化しています。

小腸での消化
小腸では酵素(こうそ)をたくさんふくんだ小腸液(しょうちょうえき)が作られています。この酵素は、胃から運ばれてくるどろどろの粥(かゆ)状になった食べ物をほぼ完全に消化します。例えば、炭水化物を細かくして麦芽糖(ばくがとう)・ぶどう糖にしたり、脂肪(しぼう)を細かくして脂肪酸(しぼうさん)とグリセリンにします。このようにして作り変えられた栄養素は腸に吸収されます。
吸収された栄養素は血液によって肝臓(かんぞう)に運ばれ、残りのどろどろの粥(かゆ)状の物質は大腸へ運ばれます。小腸と大腸は、回盲弁(かいもうべん)で分けられています。回盲弁は、大腸の中の物質が小腸に逆流しないように開いたり閉じたりしています。
小腸が病気になると…
小腸の病気ってなに?
炎症(えんしょう)と潰瘍(かいよう)が起きるクローン病があります。

「クローン病」とは
どんな病気?
主な症状(しょうじょう)は?
原因は?
はっきりした原因はまだ分っていません。遺伝によるもの、細菌(さいきん)やウイルスによるもの、食事や生活環境が関係しているのではないかと考えられています。病名のクローンは、第1報告者の内科医ブリル・バーナード・クローンに由来するとされています。
検査方法は?
血液検査、内視鏡検査、CT検査などを行います。
治療(ちりょう)するには?
根本的な治療法はまだありませんが、炎症(えんしょう)を抑(おさ)える薬、免疫(めんえき)を抑える薬、ホルモン剤などを使用します。また、腸が狭(せま)くなったり、穴があいたりしている場合には手術をすることもあります。食事制限が必要になることも多く、この場合は脂肪(しぼう)や食物繊維(しょくもつせんい)を避(さ)けてください。くわしくは、医師に相談しましょう。
注意
長期にわたる治療が必要な病気です。病状がよくなったり悪くなったりをくりかえすので、安定させてその状態を保つことが重要になります。そのためにも治療を中断しないことが大切です。
監修:公益財団法人 日本学校保健会