筋肉
目次
筋肉について
正面
伸びたり縮んだり、からだを動かすのに必要です。
筋肉とは
筋肉は、からだのさまざまな器官を動かすはたらきをしています。
筋肉は、たくさんの筋繊維(きんせんい)という繊維(せんい)でできています。筋繊維の種類によって、筋肉は骨格筋(こっかくきん)、平かつ筋(へいかつきん)、心筋(しんきん)の3つに大きく分けられます。
いろいろな筋肉があるの?
筋肉は大きく分けると3種類あり、はたらきも機能もそれぞれ異なります。

心臓を毎日休まずに動かしているのも、筋肉のはたらきです。
筋肉の種類
骨格筋(こっかくきん)
筋繊維(きんせんい)に細かい横じまがあるので横もん筋(おうもんきん)といいます。腕や足の筋肉、腹筋(ふっきん)、背筋(はいきん)などがあります。自分の意志で自由に動かせる筋肉です。
特徴(とくちょう):急速に運動することができるが、疲れるのも早い。
平かつ筋(へいかつきん)
内臓や血管のかべにある筋肉で、胃や腸を動かしたり、血管を伸(の)び縮みさせたりしています。 自分の意思では動かしたり、止めたりすることはできません。
特徴:ゆっくりと長時間の運動ができる。
心筋(しんきん)
心臓だけにある筋肉です。心臓全体が、筋繊維の網目(あみめ)のようになっています。自分の意思とは関係なく一生の間、規則正しくはたらき続けます。
特徴:おだやかに動いたり激しく動いたりすることができる。
骨格筋はどうやってはたらいているの?
筋肉と骨の関係について、右腕(みぎうで)を曲げる動きでみてみましょう。
骨格筋のはたらき
骨格筋は、両端(りょうたん)が丈夫(じょうぶ)な腱※(けん)になっていて、骨と骨をつないでいます。筋肉が縮むと片方の骨が支えとなり、もう片方の骨が動きます。
例:伸(の)ばした腕(うで)を曲げる時
上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)が縮んで、撓骨(とうこつ)が引っぱられ、腕があがります。この時、反対側にある上腕三頭筋(じょうわんさんとうきん)は伸びます。このように、どの筋肉も反対のはたらきをする筋肉と対になっています。なお、腕を伸ばしているときは、筋肉がはたらいていない状態です。
※腱(けん):骨に筋肉を付着させる繊維性(せんいせい)のひも状の組織。アキレス腱など。

「筋肉がつく」ってどういうこと?
筋繊維(きんせんい)が強く太くなることです。運動をすると筋肉が一時傷つきますが、前よりもさらに強くなって回復します。

筋肉の線維(せんい)が切れたり傷つくため、運動したあとはからだが痛むことがあります。
筋繊維(きんせんい)のしくみ
筋繊維の細胞の数は生まれた時から決まっています。 筋肉がつく・筋肉が落ちるということは、一本一本の筋繊維が太くなったり細くなったりするということです。 筋繊維は非常に細くできていて、軽く動かしただけでもすぐに傷つき切れてしまいます。切れた筋繊維はたんぱく質などによってすぐに補修されます。切れる・補修するというはたらきを繰(く)り返すとだんだん強い筋繊維が作られ、切れにくくなっていきます。これをさらに繰り返すと筋繊維が太くなり、「筋肉がつく」という状態になります。
筋肉痛はなぜ起こるのか
ふくらはぎ※は、第二の心臓ともいわれています。筋肉を縮ませることで血管を圧迫し、血液を押し上げて心臓に血液を戻すポンプのようなはたらきもしています。
からだを動かす以外の筋肉のはたらきって?
体温を調整したり、血液の循環(じゅんかん)をたすけたり、骨を強くしたり、さまざまなはたらきがあります。

さまざまな筋肉のはたらき
筋肉はからだを動かすほかにもさまざまなはたらきをしています。
体温を調節するはたらき
寒いときにからだがブルブルとふるえるのは、脳の命令による筋肉の体温調節機能です。筋肉をふるえさせたり血管の収縮を行うことにより、熱エネルギーを作り体温をあげています。
血液の循環(じゅんかん)をたすけるはたらき
激しいスポーツのあとや、急に運動した翌日などに筋肉痛が起こることがあります。筋肉痛は、これまでの長い間、疲れを感じさせる物質である乳酸(にゅうさん)によるものと考えられていました。最近では、運動によって筋肉や関節などが傷つき、傷ついた部分を再生するために炎症(えんしょう)がおきていることが原因と考えられています。
※ふくらはぎ:腓腹筋(ひふくきん)をいいます。筋肉の全身図【後面】を参照。
骨を強くするはたらき
筋肉が動くことで骨は刺激(しげき)を受け、骨の密度が増して強くなります。筋肉を動かさないと骨も弱くなるのです。
筋肉が病気になると…
手や指を使いすぎると炎症(えんしょう)が起きるの?
腱(けん)と腱鞘(けんしょう)がこすれると、腱鞘炎(けんしょうえん)になります。手の親指を例に見てみましょう。

「腱鞘炎(けんしょうえん)」とは
主な症状(しょうじょう)は?
手や指を使いすぎたあとなどに、手や指をうまく動かせない、動かすと痛む、手首や指がはれるといった症状が起こります。
原因は?
手指を動かす腱(けん)は、腱鞘(けんしょう)という鞘(さや)〈カバーのようなもの〉に包まれています。腱鞘は、骨から離れないように靭帯性腱鞘(じんたいせいけんしょう)でところどころ覆(おお)われています。 指を使いすぎると、腱と腱鞘がこすれて炎症(えんしょう)を起こします。腱鞘炎は、すべての腱や腱鞘のある部分に起こる可能性がありますが、特に手指から手首の靭帯性腱鞘の付近にかけてよく起こります。
治療(ちりょう)するには?
痛む部分をあまり動かさないようにして、痛みや炎症を抑(おさ)える薬を使います。痛みが落ち着いてきたら次の段階で温め、指や手首を少しずつ動かすようにします。 何カ月も症状が改善しない場合は手術を行うこともあります。くわしくは、医師に相談しましょう。
肉離れってなに?
運動中などに筋肉の一部が「プツン!」と切れてしまうことです。

「肉離れ(にくばなれ)」とは
自分の筋力によって筋繊維(きんせんい)や筋膜(きんまく)の一部が切れることでおこるケガです。ふくらはぎや太ももなどに多く起こります。
主な症状(しょうじょう)は?
筋繊維が切れた部分は、はじめは凹(へこ)んでいますがしばらくすると腫(は)れてきます。だんだん固くなり、押(お)すと痛みがあります。
原因は?
スポーツをしている時に起こりやすく、急激な力が入ったことにより筋繊維や筋膜が切れてしまいます。
治療(ちりょう)するには?
まず内出血(ないしゅっけつ)を防ぐことが大切です。肉離れを起こした部分を心臓より高く上げて冷やします。ギプス【石膏(せっこう)の塗(ぬ)ってある包帯〈最近はプラスッチック製のものもある〉】での固定が必要な場合もあります。重症の場合は手術が必要になることもあります。医師の指示に従いましょう。


監修:公益財団法人 日本学校保健会