皮膚
目次
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皮膚について
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皮膚が病気になると…
皮膚について
正面
五感のうちのひとつ「触(ふ)れて感じる」しごとをする、触覚(しょっかく)の器官です。

皮膚はからだをスッポリと覆(おお)っています。
皮膚(ひふ)とは
皮膚(ひふ)は暑さ、寒さ、太陽光線、摩擦(まさつ)や毒物などからからだを守るはたらきをしています。また、表皮(ひょうひ)の内側にある真皮(しんぴ)には触覚、圧覚、痛覚、温覚、冷覚の5つを感じる受容器(じゅようき)〈センサー〉が備わっているといわれています。
皮膚はどうなっているの?
皮膚は大きくわけて3つの層からできています。

まるで地層のようです。
皮膚のしくみ
皮膚は大きく分けて表皮(ひょうひ)・真皮(しんぴ)・皮下組織(ひかそしき)の3層からできています。
表皮
皮膚の一番外側にあり、手のひら・足の裏以外は0.2mm以下の厚さです。表皮の一番外側にある角質層(かくしつそう)では古くなった細胞が垢(あか)となってはがれ落ち、新しい細胞と入れ替(か)わっています。
真皮
毛細血管、リンパ管、神経などが通っています。 皮脂(ひし)を分泌(ぶんぴつ)する脂腺(しせん)や汗を出す汗腺(かんせん)なども真皮の中にあります。外部からのさまざまな刺激(しげき)を敏感(びんかん)に感じとる5種類のセンサーのはたらきがあるのもこの部分です。
皮下組織
太い血管も通っていますが、主に脂肪細胞(しぼう・さいぼう)でできていて、外からの刺激(しげき)に対するクッションのような役割をしています。栄養を貯えておくはたらきもあります。
暑いとなんで皮膚から汗が出るの?
体温を下げるためです。汗は体温の調整をするうえでとても重要です。

運動すると汗をたくさんかくのも、体温を調整するためです。
皮膚が体温を調整するしくみ
暑い時
汗腺(かんせん)で作られた汗が皮膚の表面に出ます。汗が蒸発(じょうはつ)するときに熱がうばわれるため、体温がさがります。また、皮膚の血管を広げ、温度があがった血液をたくさん流すことによって熱を逃がします。 暑いと皮膚が赤くなるのは、たくさん血液が流れている血管がすけて見えているためです。
寒い時
立毛筋(りつもうきん)のはたらきにより、毛穴や汗腺がふさがって熱が逃げることを防ぎます。寒いととりはだが立つのはこのためです。皮膚の血管が縮んで血液の流れる量を減らすため、血管がすけて見えることがなくなり、皮膚は青白く見えます。
皮膚は、なんで日焼けするの?
太陽の紫外線からからだを守るために、皮膚の表面にメラニンという黒い粒が増えるからです。

日焼けには、からだを守るはたらきがあります。
日焼けするしくみ
日光にあたると、皮膚の表面にあるメラニンという黒い色素が増え、皮膚は黒くなります。日光にふくまれる紫外線(しがいせん)をたくさん浴びると、皮膚がんの原因になります。 メラニンは紫外線がからだの中に入りすぎるのを防いでいます。
皮膚が病気になると…
じんま疹(しん)って何?
一種のアレルギーです。皮膚(ひふ)が痒(かゆ)くなったり赤くなったりします。

いろいろな原因があるため、どれが原因なのか、見極めるのは大変です。
「じんま疹」とは
主な症状(しょうじょう)は?
皮膚が急に痒(かゆ)くなり、赤く盛り上がる状態です。時間がたつと位置が変わることもあり、普通は数時間から1日、長くても数日で消えますが、症状が繰(く)り返し起こりやすい病気です。発疹(ほっしん)のあとが残らないことも特徴(とくちょう)です。
原因は?
- 特定の食品や添加物(てんかぶつ)
- くすり〈ペニシリンなどの抗菌薬(こうきんやく)、アスピリンなどの解熱鎮痛剤(げねつ・ちんつうざい)など〉
- ダニやカビなど
- 細菌(さいきん)やウイルスへの感染
- 暑さ、寒さなど気温の変化
- 日光
- 虫さされ
- ベルトや下着などによる刺激(しげき)
- ストレスなど
治療(ちりょう)するには?
抗(こう)ヒスタミン薬〈アレルギー症状を引き起こすヒスタミン※を抑(おさ)える薬〉、抗アレルギー薬を使います。症状の重い場合は、副腎皮質(ふくじん・ひしつ)ホルモン薬〈炎症(えんしょう)を抑えたりアレルギー反応を抑えたりする薬〉、免疫抑制薬(めんえき・よくせいやく)〈過剰に起こっている免疫応答を抑える薬〉を使うこともあります。 また、再発しないように原因をつきとめ、それを避ける生活を送ることも大切です。
※ヒスタミン:外傷や毒素などで活性化され、発赤(ほっせき)・かゆみ・浮腫(ふしゅ)・痛みや気管支収縮などのアレルギー症状を起こす原因となり、体内にホルモンや神経伝達物質として存在する化合物。
注意
重症(じゅうしょう)になると、目のまわりや口の粘膜(ねんまく)が腫(は)れたり、のどが腫れて声がかすれたり、呼吸困難になったり、消化器官にも反応が起きて下痢(げり)や腹痛(ふくつう)になったりすることがあります。さらに重症になると、血圧が低下するなどのショック症状(しょうじょう)があらわれることもあるので注意が必要です。
アトピー性皮膚炎(ひふえん)って何?
アトピー性皮膚炎(ひふえん)は、免疫反応により起こります乳幼児から成人まで年齢(ねんれい)にかかわらず発症(はっしょう)します。

年齢によって発生しやすい部位が変わります。
「アトピー性皮膚炎(ひふえん)」とは
主な症状(しょうじょう)は?
皮膚(ひふ)が乾燥(かんそう)してかさついたり、強いかゆみをともなう湿疹(しっしん)が続く状態です。
原因は?
アレルギー性疾患(しっかん)の花粉症と同じく免疫(めんえき)グロブリンEとマスト細胞が原因ですが、これに免疫細胞(さいぼう)の好酸球(こうさんきゅう)がさらに加わって、刺激(しげき)物質を皮膚に放つことで起こります。
- 鼻の症状:くしゃみ、みず鼻汁、鼻づまり、鼻腔(びくう)のかゆみなど
- 眼の症状:眼・まぶたのかゆみ、異物感、まぶしさ、なみだ目、充血(じゅうけつ)、目ヤニ、浮腫(ふしゅ)=腫(は)れなど
- その他の症状:咽喉頭(いんこうとう)の違和感、かゆみ、咳(せき)、頭痛、発熱、不眠、倦怠感(けんたいかん)などです。
主なアレルゲン〈アレルギーの原因物質〉
- 特定の食品や添加物(てんかぶつ): 卵、大豆、牛乳、小麦、米、そば、落花生など
- 室内の塵(ちり): ダニやカビ、ペット、花粉、皮膚の細菌(さいきん)など
- 刺激: 発汗(はっかん)、乾燥、衣類、シャンプー、石けんなどの洗浄剤(せんじょうざい)、化粧品(けしょうひん)など
- 精神的なストレス(最近の研究では、関わりを広くいわれています
- 成人の場合は: かぜや過労、寝不足、不規則な生活など
- 女性の場合は: 生理期間に皮膚炎を悪化させることがわかっています
治療(ちりょう)するには?
まずスキンケアが大切です。
薬物療法ではステロイド<副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン>を含む軟膏(なんこう)が使われますが、最近では免疫抑制外用薬や分子標的薬など新しい薬もでてきています。
また、環境整備(原因・悪化因子を除去)も大切です。


注意しましょう
血液検査で食物アレルギーが確認された場合は、医師と相談しながら問題が起こると思われる食品を一定の期間、摂取(せっしゅ)しないことを行います。この疾患(しっかん)は慢性的(まんせいてき)に続くのが特徴(とくちょう)ですので、医師からの注意事項(じこう)を正確に守りながら、気ながに治療を続けることが大切です。

監修:公益財団法人 日本学校保健会