母乳を与えている時は……
母乳のはたらき
母乳は、乳房の中の乳腺房と呼ばれるところで、血液を原料にして造られます。
母乳には、脂肪、糖質、タンパク質などの栄養分が豊富に含まれており、赤ちゃんの未熟な消化・吸収機能に負担をかけないような成分になっています。
また、栄養分だけでなく、病原菌から赤ちゃんを守る免疫抗体も含まれています。産後2〜3日に出る母乳は「初乳」と呼ばれ、特に免疫抗体が多く含まれています。赤ちゃんは母乳を飲むことで病気から身を守る力を自然に取り入れているのです。
母乳とくすり
母親が薬を飲むと、種類によっては、その成分が血液を通って母乳へ移行することがあります。移行する量は、薬の性質や母親の体質、母乳の状態などにより異なりますが、たとえ濃度が低くても、赤ちゃんは一日に500〜1000ml 程度の母乳を飲むので注意が必要です。特に新生児(出生後28日未満)は薬を代謝する能力が低いため、体内の薬物の濃度が高い状態になり、薬の影響を一層受けやすくなります。
授乳期間中にくすりを使いたい時
授乳期間中でも、体調の悪い時には薬が必要になることがあります。母親の体調の回復が重要ですから、無理をせずに医師・薬剤師に授乳中であることを伝えましょう。
医師は、母乳中へ移行しない薬や移行量の少ない薬、作用時間が短い薬、副作用の少ない薬といったように、できるだけ安全な薬を選んで処方します。また、花粉症の治療に、内服薬ではなく点眼薬や点鼻薬で症状を抑えるようにするなど、投与方法を選択することもあります。
薬を使うことになっても授乳を続けられる場合が多いのですが、生後間もない時期や処方される薬の種類などによっては授乳を中止しなければならない場合もあります。また、市販薬を使いたい時でも、自己判断をせずに医師・薬剤師に相談しましょう。
授乳中の服薬ポイント
授乳を続けてよい場合でも、赤ちゃんに普段と違った様子がないか、よく観察しましょう。母乳の飲み具合や睡眠、機嫌、便の状態などに注意し、何か気になることがあったら早めに医師に相談しましょう。
一般的に、薬を飲む直前に授乳をすれば赤ちゃんへの影響を極力少なくできるといわれています。しかし、すべての薬に当てはまるわけではないので必ず医師の指示に従いましょう。