くすりと副作用

目次

薬は必要なところで効果的に働くだけでなく、他のところにも影響をあたえることがあります。かぜ薬を飲んで鼻水は止まったけれど、とても眠くなってしまったという場合のように、目的以外の好ましくない作用は「副作用」と呼ばれています。副作用が現れる原因はさまざまです。

◆くすりの性質によるもの

治療する目的と違う部位で効いてしまったり、目的以外の効果がでてしまったりすることがある。

◆くすりの使い方によるもの

飲む時間、間隔、量などの間違いや他の薬、食品などとの飲みあわせで起こることがある。

◆患者さんの体質と生活習慣によるもの

年齢、性別、体重、嗜好品や、腎臓や肝臓の機能の違いなどの影響で起こることがある。

◆患者さんのその時の病状によるもの

体調がよくない時は薬の影響を受けやすい。

一般的に使われている薬の主な副作用です。

鎮痛剤

胃腸障害、腎障害、肝障害、アレルギーなど

胃腸薬

眠気、のどの渇きなど

精神安定薬

眠気、ふらつき、めまいなど

抗ヒスタミン薬

眠気、口の渇きなど

抗生物質

胃腸障害、腎障害、アレルギーなど

副作用には個人差があります。いつもと様子が違うときは医師・薬剤師に相談しましょう。

副作用について正しく理解しておけば、必要以上に不安に思うことはありません。では、何をしたらよいでしょうか。

◆くすりの作用、病気に対するくすりの必要性を理解する

医師は、薬の効果と、副作用の可能性の双方を考えて薬を処方していますので、場合によっては副作用よりも、治療効果を優先して処方することもあります。あらかじめ自分の病気や副作用について、医師・薬剤師から説明を受け、理解しておきましょう。

◆くすりの副作用について良く理解する

どんな副作用が現れる可能性があるかを知っておきましょう。少し様子をみても大丈夫な副作用か、緊急の対応が必要な副作用か、などの対処法についても事前に知っておくと安心です。

◆正しいくすりの飲み方を理解する

飲む時間、間隔、量や飲みあわせ、生活上の注意点などについてもよく理解しておきましょう。

◆普段と異なる症状がないか、冷静に自己観察する

不安になって自分の判断で薬を飲むのを止めてしまったり、量を加減したりすると、かえって病気を悪化させることもあります。気になる時は必ず医師・薬剤師に相談しましょう。

アレルギーのある人、腎臓、肝臓など薬の分解や排泄に直接関係する臓器に疾患がある人、子ども、お年寄りなど、薬を分解・排泄する力が弱い人は副作用がでやすくなっています。

特にお年寄りは、数種類の薬を同時に飲んでいることが多く、副作用がでやすくなるということも分かっています。

医薬品副作用被害救済制度とは、医薬品を適正に使用したにもかかわらず、発生した副作用による疾病、障害または死亡に関して、医療費、障害年金、遺族年金などの給付を行うことにより、健康被害の迅速な救済を図ることを目的とした公的な制度です。独立行政法人医薬品医療機器総合機構が給付を行っています。


監修: 慶應義塾大学名誉教授 望月 眞弓先生