偽造医薬品対策

背景

近年の流通のグローバル化や電子取引の拡大により、医薬品のサプライチェーンには不正な取引や医薬品の偽造(以下、偽造医薬品*1)による不正品が混入するリスクが増加してきており、医薬品を狙った犯罪行為として国際的な問題*2となっています。偽造医薬品の使用によって毎年百万人以上の人々が亡くなっているとの報告*3があり、危険な製品へのアクセスを防ぐための取り組みが、近年世界レベルで重要視されてきています。

もはや高品質な製品を安定的に生産するだけでは製品品質の保証として十分とは言えなくなってきており、製薬企業は患者さんに提供される医療と人々の健康に貢献するために更なる取り組みが求められています。

さらに、これまで日本国内では、医薬品の正規流通経路は盤石であり偽造医薬品が流入しないというのが一般的な認識でしたが、2017年には国内でも偽造医薬品が発見され、それ以降、規制当局と製薬業界の連携による新たな対策が進められています。

このような背景のもとで、中外製薬はロシュとの戦略的アライアンスを締結以降、海外から製品を輸入するだけでなく、海外へもオリジナル製品を供給していることから、日本を含めたグローバル規模でサプライチェーンのセキュリティ対策に取り組んでいます。

  • *1:第70回WHO総会「Member State mechanism on substandard/spurious/falsely-labelled/falsified/ counterfeit medical products」
  • *2:G7伊勢志摩サミット2016 G7首脳宣言 附属文書「国際保健のためのG7伊勢志摩ビジョン」
  • *3:Natalie Southwick (2013). Counterfeit Drugs Kill 1 Mn People Annually: Interpol, InSight Crime

主な取り組み

中外製薬は、国際的に増大している偽造医薬品の脅威から患者さんを守ると共に、医薬品に対する信頼性を確保するため、国内外の中外製薬グループに共通の偽造医薬品対策ポリシーに基づき以下のような対策に取り組んでいます。

  1. 偽造防止技術の導入
  2. セキュリティ対策
  3. 不正流通防止
  4. 社外対策活動への参画
  5. 啓発活動
  6. 発見時対応

偽造防止技術の導入

中外製薬は、当社製品の偽造防止のため、製品や包装に偽造防止技術を導入し、セキュリティの向上を図ります。

偽造防止技術の例:VOIDラベル、ホログラム

セキュリティ対策

中外製薬は、医薬品の正規流通経路の完全性を確保するために独自のGDP基準(Good Distribution Practice)を定め、流通業者と共にサプライチェーンに対するセキュリティ対策を講じます。

独自のGDP基準

不正流通阻止

中外製薬は、偽造医薬品の多くがオンラインの薬局やウェブサイトを経由して流通されていることを鑑み、当社製品の不正な流通を把握し、防止策へつなげるため、インターネット上での当社製品の販売状況に関する調査を行っています。

不正流通阻止

社外対策活動への参画

中外製薬は、公衆衛生の保全に取り組む業界団体である製薬防護研究所(Pharmaceutical Security Institute: PSI)に所属し、偽造医薬品の撲滅に向けた活動へ協力するとともに、国内外の法執行機関、規制当局、業界団体の偽造医薬品対策活動への参加・支援を行います。

啓発活動

中外製薬は、国内外の講習会や業界の会合などの様々な機会を捉え、偽造医薬品の危険性や対策の必要性に関する啓発活動や情報発信を行い、製薬業界だけでなく、他の業界を巻き込んだ偽造医薬品対策を目指します。

発見時対応

中外製薬は、当社製品の偽造に関する情報やサンプルを入手した場合に備え、患者さんの健康被害の発生および拡大の防止のため、中外製薬グループ全体で協力して速やかに対処する体制を整備しています。

発見時対応

偽造医薬品対策の体制

中外製薬は、偽造医薬品対策ポリシーに基づき部門横断的なプロジェクトチームを設置して対策に取り組むと共に、ロシュ・グループや社外の関連機関とも連携しています。

中外製薬の偽造医薬品対策の体制図

中外製薬の偽造医薬品対策の体制図
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患者さん中心の持続可能な医療

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