革新的な医薬品とサービスで世界の人々の健康に貢献する中外製薬。その使命を果たすために欠かせないのが、社員一人ひとりの健康です。人事部エンプロイーサポートグループの山本秀一が、がん検診受診率向上、健康支援アプリ活用、メンタルヘルスケアなど、中外製薬の先進的な健康経営への取り組みについて詳しく語ります。
社員一人ひとりがイノベーションを起こしていく環境をつくる
企業の成長において、健康経営の重要性が高まっています。中外製薬では、「個人の健康」と「組織の健康」を同時に追求するという健康経営に注力し、社員が自身の力を最大限に発揮できるよう、環境の整備を推進しています。
「企業の成長には社員一人ひとりがイノベーションを起こしていく必要があります。このような環境をつくっていくには、社員ひとり一人が輝いている状態であることが大切です。その基盤となるのが心身の健康なのです。」と山本は説明します。
中外製薬の健康経営に向けた独自施策
山本は、健康経営の具体的な施策として、「がん検診の受診率向上」「健康管理アプリの活用」「メンタルヘルスケアの充実」の3つを挙げています。
1.がん検診の受診率向上:90%超の高い受診率に加え要精密検査へのフォローアップ
国の「がん対策推進基本計画(令和5年、第4期)」において60%以上の達成が個別目標の一つに掲げられている中、胃がん・大腸がん・肺がん・乳がんの検査で90%前後という受診率を達成している中外製薬。さらに2022年、がん臨床経験のある社外の看護師とオンライン相談ができる社員向けのサービスを新たに開始しました。この取り組みは、がん検診で要精密検査と判定された社員の受診率向上を目的としています。
「この取り組みは社内の産業医や看護師による既存の健康相談とは別枠で実施しており、社員の精密検査の受診に対する心理的ハードルを下げ、より安心して受診してもらうために、がんに関するより専門的なアドバイスを受けられる機会となっています(山本)」。
2021年に実施した社内アンケートでは精密検査となった社員の受診率が約67%だったのに対し、このサービス導入後の2024年には81.3%まで上昇しました。
2.健康支援アプリ『&well』:楽しみながら健康づくり
2023年末から導入した健康支援アプリ『&well』は、社員の自主的な参加を促す形で展開されています。導入から1年で約6割の社員が参加し、チームウォーキング対抗戦やダイエット企画、睡眠改善プログラムなど、様々な取り組みに参加しています。
「チームウォーキング対抗戦では、経営陣も各チームに加わり、社員と一緒に歩数を競い合いました。社内で大きな話題となり、他の参加者のモチベーション向上にもつながりました。」
このようなトップの姿勢は、健康経営への取り組みが全社的なものであることを示すとともに、社員の参加意欲を高める効果があります。山本は「トップ自らが率先して参加することで、健康経営の重要性が全社員に伝わります」と語ります。
3.メンタルヘルスケアの充実
ストレスチェックも重視しています。2024年に実施したストレスチェックの受検率は92.2%に達し、メンタルヘルス問題の早期発見・早期対応を実現しています。
さらに、アンケート回答後のフィードバックまでの期間が以前は数カ月程度あったのですが、これを1週間に短縮。フィードバックを迅速化することにより、専門家との面接を希望する社員が増加しました。社員の心の健康を守る取り組みが着実に成果を上げています。
健康経営を支える自主性重視の企業文化
山本は、中外製薬の健康経営の特徴として、社員の自主性を重視していることを挙げます。
「すべての取り組みにおいて強制はしていません。最後は社員自身の判断に委ねています。それでも高い受診率や参加率を達成できているのは、社員が自分の健康を自分ごととして捉え、真摯に取り組む姿勢があるからです。これが中外製薬らしさだと感じています。
今後の課題としては、海外関係会社との連携強化があります。グローバルでのウォーキングキャンペーンなど、健康をテーマに共通の取り組みを行うことで、グループ全体での健康経営に対する一体感を醸成していきたいです(山本)」。
中外製薬の健康経営は、単に社員の身体的な健康を維持するだけでなく、社員の自主性とキャリア開発にも深く関わっています。D&I(Diversity & Inclusion)の推進や、2025 年 1 月から導入したジョブ型雇用を拡充する新人事制度も、社員一人ひとりが自らの強みを活かし、イノベーションを生み出す環境づくりの一環です。
「中外製薬は人を大切にする温かい会社です。変化の激しい時代において、すべての人が新しい人事制度や業務状況にスムーズに適応できるわけではありません。そんな時、しっかりとしたサポート体制があることが、安心して働き続けられる環境につながります。私たちは、そのようなセーフティーネットの役割を果たし、社員一人ひとりが輝ける職場づくりに努めていきたいと思います(山本)」。
健康経営でイノベーションを生み出す土壌を育み、企業の持続的な成長につなげていく。これら健康経営の取り組みが、中外製薬の持続的な成長と革新的な医薬品開発を支える基盤となるのです。
記載内容・所属は2025年3月時点のものです。
「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。