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研究よりも現場に近い場所で、薬の開発を。

薬学科で学んでいた田中が中外製薬の臨床開発を志望したのは、「研究一筋よりも、現場に近い場所で薬の開発がしたい」と思ったからだ。「『医薬品を自分の力で世の中に送り出したい』と考えたとき、開発パイプライン(薬剤の開発初期段階から販売開始までの開発品)の多さや、ロシュ社とのアライアンスによって国内・海外両方の開発ができる点が、圧倒的な魅力でした」。

「いつか、海外のメンバーと協働したい」という野望もあった。だから、入社1年目からグローバルチームに加わって、海外拠点のスタッフとミーティングをしたり、情報交換をしたりする機会が与えられたのは、うれしい驚きだった。「入社3年目には、ヨーロッパのがん学会で治験結果の発表(Publication)にも参加し、先生や社内との折衝を任されました。『中外製薬は、若手に挑戦させる会社』という評判は、本当でした」。

臨床開発企画は、部門をつなぐ社内のハブ。

田中は、前立腺がんの新薬の開発を任され、入社以来、臨床試験の第1相~第3相までに、一貫して携わっている。「当社が前立腺がんの試験をやるのは初めてだったので、『前立腺がんとは何か』というところから勉強を始めました」。学会に参加し、論文から情報収集をし、専門医師に直接話を聞きながら知識を深めていった。「前立腺がんの領域では、社内の誰よりも詳しい臨床開発担当者になろうと決意しました。当社には、知識をみんなで分かち合う風土があるので、私もデータを全部まとめておき、将来、社内の誰もが情報にアクセスしやすいようにしています」。臨床開発企画の仕事は、「さまざまな部門をつなぐ社内のハブ(hub:中継地点)のような役割」と、田中は説明する。「試験の計画段階から、試験の進行中、試験が終了し結果が出てから申請に至るまでの間に、研究本部、安全性本部、MA本部、新薬申請や審査に関わる薬事機能、データの解析に関わる生物統計や臨床薬理機能、臨床開発推進、実施施設に足を運ぶモニターなど、多くの部署と関わります。多様な機能と立場をつなぐ私たちに、高いコミュニケーション力が要求されるのです」。国内だけではない。

「日本と海外の治療体系が異なる場合や、日本人での安全性について議論が必要な場合には、ロシュ社やジェネンテック社のメンバーへも、情報発信をします」。治験によって多くの患者さんのデータが集まることで、一人ひとりの患者さんのデータからは見えなかった新たな情報が得られ、仕事の意義や手応えを感じるという。「試験の主解析とは別に、サブグループ解析という形で別の切り口から解析することもあります。解析結果によっては、その薬を投与するベネフィットが一番大きい患者さんが、わかることもあります」。結果のインパクトによって、治験の次の一手が変わっていく。「だからこそ面白く、責任の大きさも感じるのです」。

結果次第で、時代が動く。

「臨床試験の結果次第で、時代が動く」と、田中は感じている。「すごい結果が出て、『この薬を使えば患者さんがこれだけ延命できる』と分かれば、世の中の治療法が一変します」。幾度となく足を運んだ学会で、医療関係者たちの熱気を肌で感じたこともある。「『これはすごい薬剤だぞ』というものが出てきたときの、会場の医師たちの興奮と熱気を目にすると、やる気と使命感がわいてきます」。現在、複数の案件を並行して担当している。「パイプラインの多さは、会社としての強さにつながっていると思います」。忙しくとも、すべての仕事が真剣勝負。「海外で治験が先行しているケースもあるので、日本も遅滞なく国際共同試験と歩調を合わせ、同じタイミングで申請を目指す意気込みを持って臨んでいます」。将来の夢は、何か新しい治療、医療のスタイルを、生み出すことだ。

「当社は、どんどん新しいことに挑戦させてくれる風土があります。臨床試験の形もどんどん変わっていくと思うので、最近話題のIoT(Internet of Things)も活用しながら、何か面白いことができないかと考えています」。もちろん、現在担当している薬剤は、なんとしても世に出すつもりだ。「薬剤が世の中に出るということは、選択肢が世の中に一つ増えるということ。この仕事の先に患者さんがいることを、常に意識しています」。

※本記事の内容は取材当時のものです。
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