個別化医療のための検査とは?

コンパニオン診断薬とは

個別化医療では、患者さんの病変の遺伝子変異などを調べて、その遺伝子変異に対応する治療薬が使われます。
ある治療薬が患者さんに効果があるかどうか、治療の前にあらかじめ検査することを、コンパニオン診断といいます。その診断のために使う薬が、コンパニオン診断薬です。コンパニオンとは「ともなう」という意味で、コンパニオン診断薬と治療薬は原則として1: 1で対応しています。

個別化医療の治療薬の有効性を高め、より安全に使うためには、患者さんがその治療薬を使う対象であるかどうかを正しく見極める必要があります。例えば、ある治療薬が特定の遺伝子Aに変異がある病気に有効とします。遺伝子Aに変異のない患者さんには効果が期待できないので、あらかじめ患者さんの遺伝子変異の有無を調べておきます。このとき使われるのがコンパニオン診断薬です。
<例>で遺伝子Aに変異がない患者さんの場合、ほかの遺伝子の変異を調べるために別のコンパニオン診断を行う必要があります。

遺伝子パネル検査とは?

病気の発生に関わる複数の遺伝子のセットを一度に調べられる検査方法が遺伝子パネル検査です。

「遺伝子検査パネルのしくみ」の解説図

技術の進歩により、次世代シークエンサーとよばれる高速の解析装置を用いて、病気の原因となる多数の遺伝子を一度にまとめて調べることができるようになりました。この遺伝子パネル検査によって、これまでわからなかった遺伝子変異が発見されることもあります。また、患者さんの遺伝子変異の組み合わせから、より適切な治療を選ぶのにも役立つと期待されています。

なお、遺伝子検査を行っても、患者さんの遺伝子変異に対応する治療薬がまだ開発されていない場合など、特定の治療が見つからないことも多くあります。その場合は分子標的薬ではなく、一般的な治療を続けるなど、別の方法が検討されます。

これからの遺伝子検査とは

血液で検査が可能な「リキッドバイオプシー」
遺伝子パネル検査の解析には、基本的にはがん組織が必要で、組織生検という患者さんにとっての負担があります。そこで、より簡便かつ低侵襲である血漿検体(血液)を使って検査ができるリキッドバイオプシー(血液検査)も開発が進んでいます。