個別化医療を実現する薬や検査とは?
個別化医療の薬って、どんなものですか?
がん細胞などの特定の細胞だけを攻撃する治療薬に、分子標的薬などがあります。分子標的薬を投与するかどうかは、事前に実施する検査の結果によって判断します。
個別化医療では、患者さんの病変の遺伝子の変化などを調べて、その遺伝子変異に対応する治療薬が使われます。このような治療薬の一つが、分子標的薬です。
特定の薬剤の効果を予測するために、「コンパニオン診断薬」という検査薬が用いられます。また、2019年からは、がん治療の分野で「遺伝子パネル検査」という検査も行われるようになりました。
コンパニオン診断では、使用したい薬の効果に関連する一つの遺伝子変異の有無を調べて、患者さんにその薬の効果が見込めるかどうかを検査します。それに対し、遺伝子パネル検査では、病気に関わるたくさんの遺伝子変異を一度に調べることができます。
分子標的薬、コンパニオン診断薬…。初めて聞く言葉がたくさん出てきました。
聞きなれない言葉が多いですよね。でも大丈夫。分子標的薬、コンパニオン診断や遺伝子パネル検査については、順番に説明していきますよ。
用語解説
- 個別化医療
- 患者さんの体質や病気の特徴に合った治療を行うことです。英語では「パーソナライズド・ヘルスケア(PHC)」「パーソナライズド・メディシン」といい、「オーダーメイド医療」、「テーラーメイド医療」、「プレシジョン・メディシン(直訳すると精密医療)」などと呼ばれることもあります。
- 分子標的薬
- がん細胞などの特定の細胞だけを攻撃する治療薬のことです。主にがん領域で使われており、標的とする細胞だけで作られる異常なタンパク質(分子)などの目印を見つけて、標的の細胞を攻撃します。正常な細胞へのダメージが少なく、副作用が抑えられると考えられています。
- 遺伝子変異
- 遺伝子に起きた変化のことをいいます。遺伝情報が他の情報と入れ替わったり、別の情報が入り込んだり、欠損して情報がなくなってしまったりといった、さまざまな種類の変異があります。遺伝子が変化したために正常なタンパク質ができなくなり、病気の発症につながる場合があります。
- コンパニオン診断薬
- 分子標的薬などを使えるかどうかを調べるために、治療薬の効果に関連する一つの遺伝子の検査に使う薬です。病気を治療する治療薬とは異なります。
- 遺伝子パネル検査
- 遺伝子の検査方法の一つで、病気に関わる多くの遺伝子の変異を一度に調べることができる検査です。
- コンパニオン診断
- コンパニオン診断薬を用いて、ある治療薬が患者さんに効果があるかどうか、治療の前にあらかじめ検査することをいいます。コンパニオンとは「ともなう」という意味で、コンパニオン診断薬と治療薬は原則として1:1で対応しています。
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