モノクローナル抗体の種類とは?
モノクローナル抗体ってどんな種類があるの?
抗体医薬品は、個別化医療に向けた分子標的治療の1つとして注目されています。
医薬品としてのモノクローナル抗体には、マウス抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体があります。
マウス抗体はマウスの抗体であるため、ヒトの体内に入ると異物と認識されてアレルギー反応を起こしたり、効果が弱まったりします。
そのため、ヒトの抗体に近い方がより安全性が高いと考えられ研究が進められてきました。遺伝子工学の手法を用いて、抗原に結合する先端の部分だけマウスの抗体を残して、残りはヒトの抗体に変えたキメラ抗体やヒト化抗体が開発され、抗体は医薬品として使えるようになりました。
また、ヒトの抗体を作るマウスや、多種類のヒトの抗体を人工的に作り出し、そこから目的の抗体を選択する技術が研究されてきました。
用語解説
- 分子標的治療(ぶんしひょうてきちりょう)
- 病気のメカニズムを解明し、そこに関わる特定の分子を標的として開発された治療を言います。
- マウス抗体(まうすこうたい)
- マウスから作った抗体を言います。
- キメラ抗体(きめらこうたい)
- ヒトの抗体を作る遺伝子を遺伝子工学的手法でマウスに導入して作られた抗体で、マウス抗体の部分とヒトの抗体部分が混ざってできています。
- ヒト化抗体(ひとかこうたい)
- ヒトの抗体を作る遺伝子を、遺伝子工学的手法でマウスに導入して作られた抗体で、マウス抗体の部分は最小限度にして残りをすべてヒトの抗体に置き換えた抗体で、キメラ抗体よりさらにヒトの抗体に近い抗体を言います。
- 完全ヒト抗体(かんぜんひとこうたい)
- ヒトの細胞から作られた抗体を言います。
- アレルギー反応(あれるぎーはんのう)
- 過剰な自己防衛反応によって自分自身に起こる変化、あるいは、免疫反応が生体に障害を与える不利な反応と定義されています。
- 遺伝子工学(いでんしこうがく)
- 生物の遺伝子にさまざまな改変を加え、遺伝子の働きを調べるなど、社会的に有用な物質を生産することを目的とする学問のことです。