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メカニズムはわかる。でも治せない疾患がある。

大学進学時には、理系のどの分野を究めたいかを選びきれず、何気なく薬学部を選んだという山口。大学の研究室で彼はたまたまアルツハイマー病の研究に携わることになり、それが創薬の世界を志すきっかけとなった。「アルツハイマー病の基礎的なメカニズムを探索する研究を行っていたのですが、メカニズム自体はいろいろと明らかになってきたものの、ではこの疾患を完治させることができるかと言えば、またそれは別の次元でした。研究室で医師の方々と接する機会もあり、みなさんそこに非常にもどかしさを感じられていて、研究を重ねるうちに私もこうした状況を打破する力になりたいと強く思い、実際に患者さんを救う薬をつくることに貢献したいと考えるようになりました」。

なかでも中外製薬を就職先に選んだのは、この会社から受けた印象が自分のスタンスにあっていると感じたからだ。「面接で創薬部門の部長クラスの方々とお会いしたのですが、中外製薬の人たちは本当に研究を楽しんでいる様子がうかがえて、私もぜひここで働きたいと」。山口のモットーは研究を「楽しむ」ことだ。「新しい薬を生み出して患者さんに届けるまでには、10年20年という非常に長い年月がかかる。歓喜の瞬間というのは早々に訪れるものではない。だからこそ日々の研究を楽しみながら取り組むということが、とても大切なんじゃないかと思っています」。そして山口は入社後、薬理研究を担う部門へと配属され、中外製薬での研究者としてのキャリアをスタートさせた。

膨大な選択肢のなかから、熱い議論で最適解を。

薬理研究は、新薬の種となる化合物や抗体の薬効を、細胞や動物のレベルで評価し、最適な候補を絞り込んで臨床開発に進めていくことが大きなミッションだ。プロジェクトごとにチームを組み、化合物合成や抗体作製を担うチームや生体による薬物動態を評価するチームと協業しながら創薬活動を推進している。「薬理研究は、新薬につながる化合物や抗体の効果が真っ先にわかるポジション。『これは効きそうだぞ』という候補に出会った時はテンションが上がりますね」。すでに山口のチームが関わったプロジェクトにおいて、血液系の疾患の治療が期待される新薬の候補が導き出され、いま臨床開発に移行している。「2年目から4年ほどかけて地道に評価を続けてきましたが、こうして自分が薬理の評価に関わった抗体が新薬実現に向けて動き出したのはとても嬉しいです」。

このプロジェクトにおいて山口をはじめとする薬理研究者は、新薬候補として作製された多数の抗体と格闘し、その薬効を見極めていった。それはまさに、絶対的な正解のない問題に対して、膨大な選択肢のなかから最適解を見つけ出していくような、途方もない取り組みだ。「たとえば、薬効を期待できるものの体内での安定性に問題があるとか、抗体は一つひとつすべて特徴が異なります。何を重視するのか、研究者によってそれぞれ考え方が異なり、意見がぶつかることもある。そんななかで候補を絞り込み、最終的にはひとつを選ばなければならない。議論を重ね、メンバー全員の思いを込めて『この抗体でいこう』と決断した時の高揚感は、いまでも忘れられません」。

中外製薬ならば、新人でも創薬をリードできる。

創薬研究は茨の道だ。予期せぬ問題に次々と直面する。期待した成果がなかなか現れず、頭を抱えることもたびたびある。しかし、そうした状況がむしろ楽しいと山口は言う。「評価していてネガティブなデータが出ると、むしろワクワクするんです(笑)。『なぜこうなるのか?』と原因を究明していくのは楽しい。チームのメンバーもみな議論好きなので、問題を持ちかけるとどんどん意見を出してくれます。プロジェクト内の他の研究チームのみなさんも熱い方ばかりで、廊下でばったりと会って何気に相談したら、そこからいきなりミーティングが始まるといったケースもよくあります」。こうした議論好きな風土は山口自身も大いに気に入っており、中外製薬の大きな魅力のひとつだと言う。

山口は現在、新たに立ち上がった創薬プロジェクトにおいて、若手ながらも薬理のテーマリーダーを任されている。中外製薬は本当にチャンスの多い会社だと彼は言う。「『こんな疾患をターゲットにこんな創薬を実現できないか?』という根本のアイデアは、1年目の社員でも提案できます。そうした場が社内に設けられていて、キャリアに関わらず機会は平等に与えられているのです。そこで革新的なアイデアを出して認められれば、若くても自分でプロジェクトを率いることができます」。ゆくゆくはぜひ、ゼロから自分でプロジェクトを立ち上げ、画期的な新薬を世の中に送り出したい。そんなビジョンを描きながら、山口は今日も中外製薬での創薬研究を大いに楽しんでいる。

※本記事の内容は取材当時のものです。
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