髄膜炎菌感染症に
注意しましょう。
髄膜炎菌感染症に注意しましょう。
総合監修:
筑波大学医学医療系
医療科学・血液内科
教授 小原 直 先生

発作性夜間ヘモグロビン尿症
(PNH)の患者さんの
日常生活について
―治療と生活を両立するために―
PNH患者さんに気をつけてほしい
髄膜炎菌感染症

抗補体薬による治療を受けている発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH: paroxysmal nocturnal hemoglobinuria)の患者さんは、免疫機能の一つである補体のはたらきが抑えられているため、髄膜炎菌感染症に注意することが大切です。
- [目次]
- 1.髄膜炎菌感染症の
報告数 - 2.髄膜炎菌感染症の
症状 - 3.髄膜炎菌に対する
ワクチン接種
髄膜炎菌感染症の報告数
抗補体薬による治療を受けている方は、
免疫機能の一つである補体のはたらきが抑えられるため、
髄膜炎菌感染のリスクが上がるとされており1)、注意が必要です。
髄膜炎に加えて敗血症なども含めた侵襲性髄膜炎菌感染症の報告数は、2014年から2019年までは年間20~40例程度でしたが、2020年から2022年は年間1~13例と減少し、その後2023年は年間21例、2024年は6月時点で29例と増加しています2) 。髄膜炎菌ワクチンの接種状況が報告されていた86例のうち、接種歴があったのは5例のみでした2) 。全世界では年間およそ30万人に発症し、3万人が死亡するとされています3, 4)。
抗補体薬を使用すると、1,000~2,000倍髄膜炎菌感染のリスクが上がるとされています1)。
侵襲性髄膜炎菌感染症報告数の推移
(2013年4月1日〜2024年6月30日診断分、2024年8月19日時点、n=320)
横にスライドするとご覧いただけます

感染症法に基づく侵襲性髄膜炎菌感染症の届出状況のまとめ(更新)、2013年4月~2023年6月
https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/article/bac-megingitis/020/index.html
(閲覧日:2025年12月19日)
髄膜炎菌感染症の症状
初期症状は発熱、頭痛、嘔吐など、風邪の症状に似ていますが、
髄膜炎や敗血症などの命にかかわる症状があらわれることがあります。
発症時に症状が軽度であっても、病状が急激に進行することがあるため、
速やかな対応が必要です。
ナイセリア属という細菌グループのなかで、 とくに注意が必要な「髄膜炎菌」という細菌に感染することで、髄膜炎や敗血症などを引き起こす感染症です。
飛沫に含まれる髄膜炎菌が鼻、喉、気管から血液に入り、さらには髄液にまで侵入することにより、髄膜炎や敗血症を起こします3,4)。
髄膜炎菌感染症は、発症時に症状が軽度であっても、病状が急激に進行することがあるため、疑われる症状があった場合には、すぐに主治医に連絡して指示を仰ぎましょう。
髄膜炎菌感染症のイメージ
髄膜炎を起こしたときにみられる症状
- うなじがこわばり固くなって首を前に曲げにくい
(頭を前に倒したときにあごが胸につけられない) - ウトウトしてしまう
(肩をたたかれたり、声をかけられれば意識を取り戻す) - イライラしやすい
- 皮膚に赤色や紫色の点状のもの(皮下出血)が出る
- 普通の人がまぶしいと感じない光をまぶしいと感じる
- けいれん など
*髄膜炎は、頭蓋骨と脳の間に存在する髄膜に細菌やウイルスが感染して起こる炎症です。
*髄膜炎は髄膜炎菌だけでなく、肺炎球菌、インフルエンザ菌でも罹患しますが、髄膜炎菌による髄膜炎などの病気は、ほかの細菌による髄膜炎などの病気と比べて、病状が急激に進行することが特徴です。
敗血症を起こしたときにみられる症状
- 寒気がする
- 脈が速くなる
- 体がだるい など
*敗血症は、血液中に細菌が侵入して発症する、感染症によって起こる全身性の反応です。
髄膜炎菌に対するワクチン接種
髄膜炎菌に対するワクチンは、
すべての抗補体薬で治療を受ける場合には、接種が必須となっています。
また、5年ごとの定期接種が必要です。
抗補体薬による治療を⾏っている⽅は、髄膜炎菌感染のリスクが⾼まります。髄膜炎菌感染症は、発症すると命にかかわることがあります。
軽度の発熱であっても、発熱があった場合には主治医にすぐに連絡し、対処法について相談しましょう。
また感染予防のため5年に1回の髄膜炎菌に対するワクチンの定期接種は忘れずに受けるようにしましょう。
小原 直 先生(筑波大学医学医療系 医療科学・血液内科 教授)のコメント
国内の侵襲性髄膜炎菌感染症の報告数は、2020年のコロナウイルス流行開始後にいったん減少しましたが、2023年以降は流行開始前の水準に戻りつつあることが、国の感染症発生動向調査で示されています。髄膜炎菌感染症は、発症時に症状が軽度であっても急速に悪化することがあります。抗補体薬による治療を受けている患者さんは、薬の影響で免疫が抑えられているため、髄膜炎菌感染症の治療が遅れて重篤な状態になると、生命が脅かされることもあります。髄膜炎菌に対するワクチンの定期的な接種を忘れないようにしましょう。また、髄膜炎菌感染症が疑われる症状がみられた場合には、軽度の発熱であっても主治医に連絡し、対処法について相談してください。
- 1)
- McNamara L A, et al. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2017; 66(27): 734-737.
- 2)
- 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト. 感染症法に基づく侵襲性髄膜炎菌感染症の届出状況のまとめ(更新)、2013年4月~2023年6月
https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/article/bac-megingitis/020/index.html
(閲覧日:2025年12月19日) - 3)
- 一般社団法人日本感染症学会. 感染症クイック・リファレンス. 37 侵襲性髄膜炎菌感染症
https://www.kansensho.or.jp/ref/d37.html
(閲覧日:2025年12月19日) - 4)
- 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト. 侵襲性髄膜炎菌感染症
https://id-info.jihs.go.jp/diseases/sa/invasive-meningococcal-disease/index.html
(閲覧日:2025年12月19日)
- PNH患者さんが受けられる
医療費助成制度 - 難病医療費助成制度
―PNH患者さんの場合― - 高額療養費制度
- PNHの治療に医療費助成制度を
利用した場合のケース - PNH患者さんに
日常生活で気をつけてほしいこと - PNH患者さんに気をつけてほしい
髄膜炎菌感染症 - お役立ち情報
- 患者会・支援団体一覧
- 総合監修
-
筑波大学医学医療系
医療科学・血液内科
教授 小原 直 先生
2025年12月作成
