PNH治療では溶血の
コントロールが重要です。

PNH治療では溶血のコントロールが重要です。

総合監修:

筑波大学医学医療系 
医療科学・血液内科 
教授  小原 直 先生

発作性夜間
ヘモグロビン尿症
(PNH)の治療

溶血、血栓症、骨髄機能の低下
などの症状に対して
治療を行います。

PNH治療で最も重要なことは溶血(血管内溶血)を抑えることです。
溶血によってあらわれる症状は、主に薬を用いた治療でコントロールしますが、貧血症状が強い場合には、輸血も行われます。
唯一の根治療法は造血幹細胞移植ですが、基本的には薬で症状をコントロールすることが難しい重症の患者さんの場合に検討します1)

治療によってコントロール
するPNHの病態1)
  • 溶血(ヘモグロビン尿など)
  • 血栓症
  • 骨髄機能の低下

治療をしばらく続けると、
PNHの治療は終わるのかな?

赤血球

赤血球

青い鳥

青い鳥

PNH患者さんの体のなかでは、遺伝子変異の影響によってPNHを起こすPNHタイプ赤血球がつくられ続けています。そのため、症状をコントロールするためには、治療を続けていくことが必要です。
よりよい状態を維持しながら治療を続けていくために、気になる症状があった場合にはそのままにせず、些細なことでもかかりつけの先生に相談しましょう。

PNH患者さんは、症状に合わせて、
❶溶血のコントロール、
❷血栓症の治療や予防など、
❸骨髄機能の低下を改善すること、
を目的とした治療を行います。

溶血(ヘモグロビン尿など)を
コントロールするために
用いるお薬1)

抗補体薬
異常に活性化した補体を阻害して溶血を防ぐはたらきがあります。
副腎皮質ステロイド薬
PNHによる溶血を抑えることが期待されます。

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血栓症の治療や予防などのために
用いるお薬1)

血栓溶解剤
血栓ができて血管に詰まってしまった際に、血栓を溶かすために用いられます。
血液凝固阻止剤
急性期の場合は、できてしまった血栓が大きくなるのを抑制し、症状の進行や症状があらわれる部位の拡大を抑えるために用いられます。
血栓ができないよう、予防のためにも用いられます。

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骨髄機能の低下を
改善するために用いるお薬1)

免疫抑制剤
副腎皮質ステロイド薬
免疫細胞による造血幹細胞への攻撃を抑えて、正常な造血細胞の機能回復を促す目的で用いられます。
蛋白同化ステロイド薬
赤血球産生を促すホルモンを出させるとともに、造血幹細胞の増殖を促すと考えられています。
造血刺激因子製剤
トロンボポエチン
受容体作動薬
造血幹細胞にはたらきかけて、血液細胞を増やす作用があります。
G-CSF製剤
骨髄の機能が抑制されているPNH患者さんで、白血球の一種である好中球が減少している場合に好中球を増やす目的で用いられます。

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青い鳥

青い鳥

抗補体薬による治療を行っても貧血が改善しない場合には、別の要因で溶血が起きている可能性があります。
その場合にはかかりつけの先生に相談してみましょう。

1)
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の診断基準と診療の参照ガイド改訂版作成のためのワーキンググループ. 発作性夜間ヘモグロビン尿症診療の参照ガイド 令和4年度改訂版. 2023年3月.
総合監修
筑波大学医学医療系 
医療科学・血液内科 
教授  小原 直 先生

2024年5月作成