PNHの治療中も
定期的に検査します。

PNHの治療中も定期的に検査します。

総合監修:

筑波大学医学医療系 
医療科学・血液内科 
教授  小原 直 先生

発作性夜間ヘモグロビン
尿症(PNH)
治療中の
検査値の変化について

治療により検査値が改善した後、
血清LDH値上昇やヘモグロビン値
低下などが認められた場合には
追加の治療などの検討が
必要となります。

PNHは、あらわれた症状だけで病気の状態を確認することはできません。定期的に検査を行うことで体の変化を確認しながら、治療を続けていきましょう。

発作性夜間ヘモグロビン尿症
(PNH)の治療中に確認したい
検査項目

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❶受診時に行う検査
検査項目
血清LDH値 溶血の程度を確認し、合併症の発症リスクを評価するために検査します。
ヘモグロビン値 貧血の程度を確認するために検査します。
ヘマトクリット値 貧血を診断する指標の1つです。数値が低い場合には貧血の可能性があります。
白血球数 感染症や白血病、再生不良性貧血などの病気の可能性を示す指標となります。
PNH患者さんのなかには、まれに白血病や再生不良性貧血を合併する方もいます。
血小板数 PNH患者さんのなかには、血小板が少なくなっている方もいます。
血小板の減少により出血しやすい状態になっていたり血小板数が少なくなったりした場合に、血小板輸血が検討されることもあります1)
Dダイマー値 血栓のできやすさを調べるために検査します。
血栓症が疑われる場合には、CTやMRI、超音波検査などによる検査が行われます。
間接ビリルビン値 ビリルビンは、ヘモグロビンが肝臓で代謝された黄色い色素です。
ビリルビン値の上昇は、溶血による赤血球破壊の可能性を示す指標の1つです。
腎機能検査 PNH患者さんは、溶血によって腎臓に障害を起こしやすくなります (→溶血により血液中の一酸化窒素(NO)の消費量が増えて起こる症状)。
そのため、定期的な腎機能検査を行う必要があります。
尿検査 PNHに特徴的な症状であるヘモグロビン尿のほか、腎機能の確認のためにタンパク尿がみられないかを確認するために検査を行います。

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❷血清LDH値によって行う頻度が異なる検査1)
検査項目 検査頻度
PNHタイプ赤血球の割合 血清LDH値上昇が
  • みられた場合
    その時点で検査
  • みられない場合
    半年~1年に1回程度
PNHタイプ赤血球の量を調べるため、定期的な検査が必要です。
血清LDH値が上昇した場合は、その原因がPNHタイプ赤血球の増加であるかどうかを確認します。
1)
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の診断基準と診療の参照ガイド改訂版作成のためのワーキンググループ. 発作性夜間ヘモグロビン尿症診療の参照ガイド 令和4年度改訂版. 2023年3月.
総合監修
筑波大学医学医療系 
医療科学・血液内科 
教授  小原 直 先生

2024年5月作成