環境安全衛生の推進体制
環境保全と安全衛生の一体的なマネジメント体制を構築し、EHS(環境、安全衛生)活動を効果的に推進しています。リスクを特定、優先順位をつけ、活動計画を策定し、実行、評価するというPDCAサイクルによって実効性を高めています。
環境保全活動、安全衛生活動の推進体制

上記のEHSマネジメント体制の下、労使協力してEHS活動を推進し、従業員に対する教育・研修、従業員の安全衛生確保、地球環境保全の取り組みを行っています。
環境マネジメントシステム(ISO14001)
中外製薬グループの生産機能は、中外製薬工業株式会社が担っており、独自性のある3つの工場を有しています。3つの工場とはすなわち、治験薬製造を担当する開発型工場である浮間工場、バイオ医薬品(抗体医薬品)の原薬から製剤、包装までを担う宇都宮工場、合成原薬及び経口固形製剤に加え、中分子医薬の開拓を目指す藤枝工場です。これら3工場とも環境マネジメントシステム(EMS)の国際規格である 「ISO14001」 の認証を取得し、毎年外部審査を受審することで認証を維持および更新しています。エネルギーや資源の消費等の環境への負荷が大きい生産拠点では、適切な資源の利用等の環境負荷の低減により環境リスクを最小限に抑えることが、同時に経営上のリスクを軽減することにもつながることを認識し、EMSの継続的改善に取り組んでいます。
<環境マネジメントシステム(ISO14001:2015)登録情報>
組織名 | 登録番号 | 初回登録日 | 更新日 | 有効期限日 |
---|---|---|---|---|
浮間工場 | JSAE 1626 | 2000年2月21日 | 2023年10月24日 | 2026年10月23日 |
宇都宮工場 | JSAE 1621 | 1999年7月26日 | 2023年7月26日 | 2026年7月25日 |
藤枝工場 | JSAE 1619 | 1998年6月8日 | 2022年6月8日 | 2025年6月7日 |
環境安全衛生(EHS)監査
2017年から、環境保全と安全衛生の統合的なマネジメント体制に移行し、環境安全衛生(EHS)活動を推進しています。事業所においてEHS運用体制が機能していることを確認するために、定期的にEHS内部監査を実施しています。この監査では、事業所におけるEHS推進体制とその活動状況、環境汚染や労働災害発生時のリスク低減状況や残存リスクの確認等を行っています。
一方、企業には、自社の活動だけでなく、サプライヤーと協働して貧困や格差の拡大、環境問題、労働環境の悪化といった社会課題を解決することが期待されています。こうした期待に対応すべく、サプライヤーの包括的な評価体系構築の一環として、2018年11月にPSCI*1に加盟しました。そして、翌2019年にPSCI原則*2に基づき、サプライヤーに求める行動基準として中外製薬グループ サプライヤー・コード・オブ・コンダクト(SCC)を策定しました。SCCに基づいてサプライヤーや委託業者の環境や人権への配慮について、倫理、労働、健康、安全ならびに関連するマネジメントシステムに関する遵守状況を包括的に評価し、協働による継続的な改善を実践していく中で、中外製薬グループはサプライチェーン全体で社会課題の解決を目指します。
- *1 PSCI(製薬業界サプライチェーンイニシアティブ)は、持続可能な社会の実現向上を目指し、サプライヤー評価基準の標準化や調達元の情報共有プラットホーム化を推進する、グローバル製薬企業約30社が加盟する米国の非営利団体です。
- *2 PSCI原則は、医薬品製造業者が倫理、労働、安全衛生、環境そしてマネジメントシステムに関する適切なサプライチェーンマネジメントを行う上での行動規範です。サプライヤー評価基準はPSCI原則に加え、国連の「グローバル・コンパクト」や「ビジネスと人権に関する指導原則」、国際労働機関の「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」やISO14001(環境マネジメントシステム)などの国際基準も取り入れています。
気候関連の問題に取り組む業界団体、外部イニシアティブへの署名・参加
中外製薬グループは以下の業界団体や外部イニシアティブに署名・参加し、気候関連問題の解決に向けた取り組みに貢献しています。
国連グローバル・コンパクト
国連グローバル・コンパクトは、企業が人権、労働、環境、腐敗防止の4分野10原則に基づき、責任ある経営を実践する国連主導のイニシアティブです。持続可能な社会実現のため、世界中の企業・団体が自主的に参加しています。
気候変動イニシアティブ
気候変動対策のネットワーク組織「気候変動イニシアティブ(JCI)」に2018年7月の発足時より参加しており、非国家アクターの一員として日本社会における脱炭素化の実現に向けて貢献していくことを表明しています。
<JCIによるメッセージへの賛同例>
- 2018年10月15日 気候変動アクション日本サミット宣言
- 2020年02月04日 気候変動対策強化を求める JCI メッセージ
- 2021年01月18日 2030 年度再生可能エネルギー電力目標メッセージ
- 2021年04月21日 2030 年の温室効果ガス排出削減目標メッセージ
- 2022年06月06日 再生可能エネルギー導入加速に向けたメッセージ
- 2023年04月12日 再生可能エネルギーとカーボンプライシングで二つの危機の打開に向けたメッセージ
日本製薬団体連合会
日本の医薬品製造業者の団体で構成している日本製薬団体連合会(日薬連)の環境委員会およびカーボンニュートラル行動計画ワーキンググループに参画し、日本の医薬品製造業界のカーボンニュートラル活動を推進するとともに、日本経済団体連合会(経団連)や厚生労働省への活動報告や政策提言を通じて、日本の低炭素社会実現に向けた取り組みに貢献しています。
日本製薬工業協会
日薬連の構成団体の一つであり、研究開発志向型の製薬企業で構成される日本製薬工業協会(製薬協)の環境問題検討会に参画し、日薬連の施策に基づいた計画を策定し、サステナブルな社会実現に向けて活動しています。
TCFD
TCFDは「気候変動財務情報開示タスクフォース」(Taskforce on Climate-related Financial Disclosures)の略称です。民間主導による気候関連財務情報の開示に関するタスクフォースとして、2015年のG20における各国首脳の要請を受けて金融安定理事会が設置しました。2020年1月にTCFDの提言に対する賛同を表明し、TCFDのフレームワークに基づき、気候変動リスクと機会への対応およびさらなる情報開示の充実に取り組み、持続的な成長のための基盤強化を図っています。
https://www.chugai-pharm.co.jp/sustainability/environment/tcfd.html
TNFD
TNFDは「自然関連財務情報開示タスクフォース」(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)の略称です。企業や金融機関が自然環境に関連するリスクと機会を評価・開示するためのフレームワークを開発する国際的イニシアティブです。2025年6月にTNFDの提言に対する賛同を表明し、TCFDのフレームワークに基づき、自然関連リスクと機会への対応およびさらなる情報開示の充実に取り組み、生物多様性や生態系サービスへの依存度と影響を財務的観点から可視化することを目指しています。
SBTi
SBTi(Science Based Targets initiative)は、企業の気候変動対策における科学的根拠に基づいた目標設定を推進する国際的イニシアティブです。パリ協定の1.5℃目標に整合した温室効果ガス排出削減目標を設定・検証する枠組みを提供し、企業の脱炭素経営を支援します。世界中の多くの企業がSBTiに参加し気候変動対策を強化しています。2019年を基準として、スコープ1とスコープ2の合計排出量を2030年までに 60%削減し、スコープ3の排出量を 30%削減するものです。より長期的な目標として、2050年にはスコープ1とスコープ2の排出ゼロを目指しています。
PSCI
PSCI(Pharmaceutical Supply Chain Initiative)は、製薬業界の持続可能なサプライチェーン構築を目指す非営利団体です。環境保全、労働条件、倫理、人権などの原則を通じて、責任ある調達慣行を推進します。世界の主要製薬企業が参加し、サプライヤー評価や能力開発を共同で行い、業界全体の持続可能性向上に取り組んでいます。2018年に加盟し、サプライヤーの環境保全に対する取り組みを評価するとともに、必要に応じて自社経験に基づきサプライヤーの支援活動を実施しています。
日本政府の脱炭素目標に対する当社の考え方
日本政府は、2020年10月26日の臨時国会における菅義偉首相の所信表明演説の中で、2050年までにカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す宣言をしています。中外製薬グループは日本政府の宣言を支持するとともに、国の気候変動に関連する法規制である省エネ法や温対法を支持し、年1回、行政へエネルギー使用量、省エネルギー目標の達成状況、温室効果ガス排出量の報告書を提出しています。国も推進しているTCFD提言への対応を支持し、シナリオ分析を行い情報開示しています。