気候変動対策

中外製薬グループは、気候変動を地球環境保全のための重大な課題の一つと考え、GHG*1排出量の削減に取り組んでいます。2020年までの前中期環境目標の取り組みを継承し、さらに加速させるべく、2021年に2030年を最終年とする次期中期環境目標を策定しました。この中期環境目標2030のうちGHG排出量削減目標はパリ協定*2に整合した目標として2021年11月にSBT*3に認定されました。

気候変動対策は、ますます世界的に重視される重要課題であり、フロン規制の強化も想定される中、従来の取り組みの延長線上では限界があり、より高い水準での取り組みが不可欠となります。中外ライフサイエンスパーク横浜の新稼働・研究拠点整理、エネルギー削減・効率化と使用電力のサステナブル電力への変換を推進し、2025年にはサステナブル電力使用率100%を目指します。同時に、燃料使用に伴うCO2直接排出(スコープ1)の削減も必要となることから、既存設備の転換や設備統廃合・再設計なども検討していきます。
長期的かつ大規模な対策が必要となる気候変動対策について、2050年を最終年とした長期目標として、CO2排出量ゼロを目指します。
また、気候変動がもたらす影響は年々その深刻さを増しており、それに伴い、投資家を含むステークホルダーは、企業の事業活動における影響を適切に開示することを求めています。中外製薬では、こうしたステークホルダーの要請に応えるべく、「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言」*4のフレームワークに基づき、シナリオ分析を行いました。それを通じた気候変動リスクと機会への対応とさらなる情報開示の充実に取り組んでいきます。

TCFDに関する詳細は以下のページをご覧ください。
気候変動リスクにおけるシナリオ分析

このような目標設定、取り組み、情報開示が評価され、国際的な環境調査・情報開示を行う非営利組織であるCDP*5から、2022年度のCDP気候変動に関する調査対策部門において、最高評価である「Aリスト」企業に2年連続で選定されました。

  • *1 GHG:Greenhouse Gas(温室効果ガス)
  • *2 パリ協定:世界の気温上昇を産業革命前より2℃を十分に下回る水準(Well Below 2℃)に抑え、また1.5℃に抑えることを目指す気候変動に関する法的拘束力のある国際条約
  • *3 SBT(Science Based Targets, 科学的根拠に基づく目標):パリ協定が求める水準と整合した、5年~15年先を目標年として企業が設定する、温室効果ガス排出削減目標のこと
  • *4 TCFD:自社への財務的影響のある気候関連情報を開示すること
  • *5 CDP:英国で設立された環境情報開示を推進する、国際的な非政府組織(NGO)

GHG排出量の削減

環境パフォーマンスデータの第三者保証

中外製薬グループは、透明性・信頼性の高い環境情報を開示することは重要であると考え、2016年より毎年、環境パフォーマンスデータの第三者保証を受けています。KPMGあずさサステナビリティ株式会社により保証を受けた2022年度のデータには、第三者保証マークを付しています。今後も、透明性・信頼性の高い情報を開示していくとともに、第三者保証を有効に活用し、環境マネジメントの継続的な改善を進めていきます。

独立した第三者保証報告書 [PDF 1.9MB]
サステナビリティに関する方針、データ集2022

GHG排出量

スコープ1、2およびスコープ3排出量はそれぞれ、50,265トン、11,940トンおよび2,251,205トンでした。スコープ1排出量は、自社による直接排出量を算定しており、ガソリン、軽油、重油、都市ガス、LPGの使用に伴うCO2排出量およびフロン類、炭酸ガス等の排出量が含まれています。スコープ2排出量は、他者から供給された電力等のエネルギー使用に伴うCO2排出量です。2022年は電力使用量の多い国内工場・研究所において電力会社が提供するサステナブル電力への転換を推進し、スコープ2排出量を基準年から82%削減しました。スコープ3排出量は、スコープ1、スコープ2以外の事業の活動に関連する間接的なCO2排出量です。2022年はスコープ3の74%をカテゴリ1(購入した製品・サービス)が占めていました。

なお、エネルギーおよびCO2排出量算定に用いた各種係数および各スコープ・カテゴリの算定範囲はサステナビリティに関する方針、データ集2022に掲載しています。

機能別エネルギー起源CO2排出量(スコープ1、2)

最も排出量の多い機能は工場で36,340トン、次いで研究所19,113トン、支店2,422トン、本社231トンとなっています。また海外の研究・生産・営業拠点合計で3,238トン排出しています。

機能別エネルギー起源CO2排出量(スコープ1、2)

エネルギー種別エネルギー起源CO2排出量(スコープ1、2)

最も排出量の多いエネルギー種は都市ガスで47,731トン、次いで電力10,597トン、ガソリン1,382トン、熱1,343トン、軽油182トン、LPG70トン、重油39トンとなっています。

エネルギー種別エネルギー起源CO2排出量(スコープ1、2)

スコープ1、2排出量の推移

エネルギー起源のスコープ1、2排出量は、基準年比46%減の61,344トンでした。スコープ2排出量は基準年比82%減少しています。これは2021年から電力使用量の多い工場・研究所において電力会社が提供するサステナブル電力への転換を開始し、2022年は8月から新たに藤枝工場の電力を100%サステナブル電力に転換したこと、および購入済みのグリーン電力証書や非化石証書の活用によるものです。これで国内の工場は全てサステナブル電力化を達成しました。また、工場・研究所以外の拠点についても、サステナブル電力化を開始し、2022年4月より本社ビルの当社が契約するフロアにおいては、ほぼ全ての電力を実質サステナブル化しました。

エネルギー起源CO2排出量(スコープ1、2)*5

スコープ3排出量の推移

スコープ3排出量は、基準年比2.3倍の2,251,205トンでした。2022年はカテゴリ1(購入した製品・サービス)で新製品の開発等による生産量増加に伴い基準年833,110トンから1,670,420トンに増加しました。また、カテゴリ2(資本財)は2022年10月の中外ライフサイエンスパーク横浜竣工に伴い基準年69,472トンから513,271トンに増加しています。サステナブルな社会の実現のためにサプライチェーン全体でCO2排出量削減に取り組むことは重要であるととらえており、2030年までに基準年比30%削減という目標達成に向けて、CO2排出量削減目標を設定していないサプライヤーに対し、削減目標設定・推進を働きかけていきます。

CO2排出量(スコープ3)

  • * 過去データに誤りがあり、2019年~2021年の値を修正しています。
    (2019年:誤)897t-CO2→正)966 t- CO2、2020年:誤)958t- CO2→正)1,050 t- CO2、2021年:誤)1,120t- CO2→正)1,228 t- CO2

エネルギー消費量の削減

2022年のエネルギー使用量は2,301GJ、延床面積あたりのエネルギー消費量は、基準年比32%減の5.3 GJ/m2でした。これは、2022年に竣工した中外ライフサイエンスパーク横浜と2023年閉鎖予定の鎌倉研究所・富士御殿場研究所がどちらも稼働しているので、延床面積が大きくなったことに起因しています。中期環境目標2030で設定した、延床面積あたりのエネルギー消費量2019年比で2025年5%削減、2030年15%削減という目標達成に向けて、高エネルギー効率設備の導入、燃料転換、エコカーの導入や、日々の事業活動における省エネ運動等によりエネルギー消費量を削減する取り組みを進めています。

エネルギー消費量

フロン類の使用中止/転換

中外製薬グループは、中期環境目標2030で設定した、フロン類使用量2020年比で2025年25%削減、2030年100%削減という目標達成に向けて、代替技術の検証・見極めの必要性などの課題抽出を行いました。これらの課題解決に向け、新棟建設・設備更新時の自然冷媒設計等の具体的なアクションプランを定めた取り組みを進めています。2022年10月に竣工した中外ライフサイエンスパーク横浜の福利厚生棟(にじかけ保育園)では、空調設備会社と議論を重ねて、中外製薬グループでは初めて、居室空調用として自然冷媒であるCO2冷媒を使用したシステムを採用しました。また、中外ライフサイエンスパーク横浜の研究棟では、メーカーの協力を得て、自然冷媒を使用した遠心機・製氷機を導入しています。今後も、自然冷媒を使用した機器への更新、さらに建築会社・設備・機器メーカーなどとの技術開発も積極的に進め、温室効果の小さい自然冷媒への転換を推進し、気候変動対策に取り組んでいきます。

2022年のフロン保有量は、2021年差9,215トン増の53,529トンでした。これは、2022年に竣工した中外ライフサイエンスパーク横浜と2023年閉鎖予定の鎌倉研究所・富士御殿場研究所がどちらも稼働していることに起因しています。

また、機器に補てんした量(漏洩フロン量)も厳密に確認しています。2021年は設備の老朽化等で、1,824t-CO2e の漏洩がありましたが、2022年は設備の更新等により、773 t-CO2eまで減少しました。今後も、フロン類の漏えい量の把握を通じた自主的な管理の適正化を進めます。

居室空調へのCO2冷媒の採用の詳細は以下のページをご覧ください。
新研究拠点「中外ライフサイエンスパーク横浜」 福利厚生棟における自然冷媒空調システム採用(中期環境目標フロン類使用量2030年100%削減に向けて)

フロン保有量の推移および漏洩による補てん量

エコカー導入状況

中外製薬は、中期環境目標2030では、2003年から取り組んできたハイブリッドカーおよび高燃料効率化などのエコカー導入を進化させ、営業車両総燃料使用量2019年比で2025年35%削減、2030年75%削減という目標を設定しました。目標達成に向け、電気自動車の導入等を検討していきます。
2022年末のエコカー導入率は94%になり、総燃料使用量は基準年比47.6%削減の22,770GJでした。コロナ禍で制限されていた営業活動が2022年は徐々に回復したことにより、2021年から8%増加しています。

営業車両総燃料使用量の推移

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地球環境

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