中外製薬が取り組む「患者中心」
中外製薬は、あらゆる企業活動の根幹に患者さんを置き、患者さんにもたらす価値を追求しています。ここでは、中外製薬が取り組む「患者中心」の全体像と、主な取り組みについて紹介します。
中外製薬が「患者中心」を最優先の価値観とする理由
中外製薬は、関東大震災における薬不足を憂いて創業した会社です。事業内容は時代とともに変遷してきましたが、「世の中に役立つ薬をつくる」という創業の精神は今も脈々と受け継がれています。
2019年にミッションステートメント(=企業理念)を再定義した際には、最優先の「価値観(コア・バリュー)」として「患者中心」を掲げ、患者さん一人ひとりの健康と幸せを最優先に考えて事業に取り組む姿勢を明確にしました。
中外製薬が目指すのは「患者中心の高度で持続可能な医療の実現」です。革新的な医薬品を創出することで患者さんを中心とした医療の発展に貢献すると同時に、自らも企業として成長していきます。
価値観(Core Values)
- 1. 患者中心
患者さん一人ひとりの健康と幸せを最優先に考えます - 2. フロンティア精神
自らを磨き、新たな発想で、イノベーションを追求します - 3. 誠実
常に誠実な行動で、社会の期待に応えます
「患者中心」の取り組みの全体像
中外製薬の「患者中心」の取り組みは、その活動範囲やスコープによって3つに分類することができます。
「患者中心」の価値観のもと中核となるのは、製品・サービスを通じて、患者さんにもたらす価値向上を目指す活動です。これは中外製薬のコアビジネスであり、患者さんの声を取り入れながら、継続的な進化を図ってきました。
この活動に加え、患者さんをパートナーとして位置づけ、患者団体との協働を基軸とした活動にも取り組んでいます。ダイアログ(対話)を通じ、創薬や開発において、患者団体との協働を事業プロセスに組み込んだ、新たなアプローチも進めています。
そしてこれらの取り組みを通じて、患者さんや社会に対して直接働きかける、啓発などの活動があります。
注力している取り組み
中外製薬の「患者中心」の活動について、特に注力している取り組みを、創薬、開発、生産、ソリューション※といった一連の事業プロセスごとにまとめると以下のようになります。
括弧内のリンクから詳細情報や事例をご確認いただけます。
※マーケティング、メディカルアフェアーズ、医薬安全性など
創薬 |
●「患者中心」の事業活動
■患者さん・患者団体をパートナーとした取り組み
◆患者さん・医療・社会への働きかけ
社員の声 中分子が患者さんにもたらす価値 患者さんへの提供価値を高めるためには、いまだ治療法が確立されていない疾患に対して、新たな薬剤を生み出すことが何より重要です。 当社が抗体、低分子に次ぐ第3の柱とした中分子医薬品は、これまで抗体や低分子では到達できなかった標的分子(タフターゲット)に対するアプローチが可能となることが期待されます。 当社は、長い年月をかけて中分子技術に取り組んできました。ここに至るまでには、気の遠くなるような実験・検証を繰り返してきましたが、現在、ようやく技術プラットフォームを確立することができました。多くのプロジェクトが研究段階にあるほか、第1弾の薬剤候補が臨床開発段階に進んでいます。 中分子医薬品は、患者さんにとって価値のあるものとなるはずです。研究・開発段階にあるプロジェクトを前に進め、一日でも早く、患者さんのもとに届けていきたいと思います。 創薬化学研究部 統括マネジャー(中分子創薬化学) 棚田 幹將 |
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開発 |
●「患者中心」の事業活動
■患者さん・患者団体をパートナーとした取り組み
◆患者さん・医療・社会への働きかけ
社員の声 ヒト予測研究が患者さんにもたらす価値 当社では、さまざまな観測データの取得・AI解析を通じ、薬物動態や生体反応を表現する数式(モデル)を構築することで、バイオマーカーや最適投与量を見極める、ヒト予測研究に取り組んでいます。これにより、患者さんの負担を軽減し、開発成功確率を高め、革新的な新薬を早期に患者さんに届けられるようになります。 こうした予測精度向上のためのデータ取得に向け、私は「オルガノイド」とよばれる、試験管内で培養したヒトの「ミニ臓器」を活用し、病態や薬物動態の解明に取り組んでいます。先端的な培養技術を用いて、生体内の複雑な現象を分子レベルで紐解くことで、患者さんへの提供価値を高めることが狙いです。オルガノイド技術は、すでにいくつかの創薬プロジェクトで実用化され、目に見える成果が上がるようになってきました。今後は、スクリーニングや安全性評価など、この技術の活用の幅を広げることで、さらなる患者さんへの貢献につなげていきたいと思います。 医科学薬理部 ヒト予測基盤研究グループ グループマネジャー 中野 清孝 |
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生産 |
●「患者中心」の事業活動
■患者さん・患者団体をパートナーとした取り組み
◆患者さん・医療・社会への働きかけ
社員の声 安定供給が患者さんにもたらす価値 COVID-19に対する治療薬として当社製品が国内外で承認されたことで、世界的に需要が急増しました。 当社では、その可能性を察知した2020年2月から増産計画と課題対策の立案をスタートさせました。しかし当時、この製品は世界でも宇都宮工場のみで製造していることに加え、もとより需要が増加傾向にあり、増産は容易ではありませんでした。新規要員確保、他製品の生産ラインとの調整、目前のメンテナンス計画の見直しなど、同時並行で多様な対応を進めました。 非常に困難な施策の連続でしたが、「患者さんがいる限り必ず届ける」という強い意志のもと、取引先、社員などが一丸となって取り組みを進め、供給を維持することができました。 今後も、安定供給を続けるため、需要の急変だけでなく、材料や部品の調達なども含め、継続的にリスクと対策の見直しを実施していきます。 中外製薬工業 宇都宮工場 製造7グループ グループマネジャー 滝川 徹 |
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ソリューション |
●「患者中心」の事業活動
■患者さん・患者団体をパートナーとした取り組み
◆患者さん・医療・社会への働きかけ
コンサルティング活動が患者さんにもたらす価値 2020年3月、COVID-19の拡大により、私が担当する施設への訪問が全面的に停止となりました。 こうした中、情報が滞ることで影響を受けるのは患者さんです。私たちは、当社の医薬品を処方された患者さんに安心して薬をご使用いただけるよう、コロナ禍での新たなコンサルティング活動の確立に向け、試行し続けました。 調剤薬局などへのヒアリングを行い、患者さんの実態把握に努めるとともに、当社メディカル部門や安全性部門とも協働し、病院の医薬品情報室が「生きた情報」を取り扱うための取り組みを進めました。 その結果、訪問規制から3カ月後には、医薬品情報室が基点となり、病棟薬剤師や医師が求める情報にアクセスできる体制を整えることができました。さらにその後は、副作用データベースの活用やオンラインでの副作用マネジメント研修を展開し、副作用の早期発見・早期対応にも努めています。 今後も患者中心の医療の一員として、チーム中外として取り組んでいきたいと思います。 営業本部 茨城支店 医薬情報担当者(MR) 原田 晋太郎 |
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患者団体との協働
中外製薬では、患者中心の医療とは、患者さん自らが医療に参画し「一人ひとりが自分にとって最適な治療を選択できる医療」であると考えています。そのために、患者さんが医療リテラシーを高め、医療関係者とコミュニケーションを取りつつ疾患を自己管理できる環境、そして患者さんの声を医療や政策の現場に届けていく環境を整備していくことが必要です。
中外製薬では、こうした課題を解決していくため、患者さんの声を代表する患者団体との協働を重視しています。当社マネジメントと複数の患者団体代表の皆さまとのダイアログをはじめ、積極的な対話を進めていく中で患者団体との協働における3つの柱と8つの課題を定めるなど、患者中心の医療実現に向け、全社を挙げて取り組んでいます。