患者中心の高度で持続可能な
医療

関連するマテリアリティ
  • 独自の技術とサイエンスによる革新的な医薬品とサービスの創出
  • 個々に最適で、全人的な医療ソリューション提供
  • 保健医療へのアクセス
  • 製品とサービスの品質保証と安定供給
  • 患者および臨床試験被験者の安全
  • 社会・コミュニティとの医療エコシステムの共創

独自の技術とサイエンスによる
革新的な医薬品とサービスの創出

高度で持続可能な医療の実現に向けて、アンメットメディカルニーズを満たす革新的かつ高品質な医薬品とサービスを連続的に創出する。そのために、創薬を中心に独自の技術を生み出し、サイエンスと疾患バイオロジーの理解を深耕していく。
患者中心の価値観を礎として、ケアギバーや医療従事者等の周囲の人々にとっても負担軽減やQOL向上に繋がる医薬品とサービスの提供を目指す。デジタル等の先進技術を積極的に取り入れ、価値創造に向けたビジネスプロセスの高度化・高速化、アカデミアとの連携、オープンイノベーション、知的財産の高度な活用等、世界中の人々と手を取り合い、継続的に革新に取り組む。

製品とサービスの品質保証と安定供給

治験段階からの製品ライフサイクルにおいて一貫して安定した製品・サービスと情報のクオリティを確保し、サプライチェーンにおけるトレーサビリティを高めるなど、医薬品の偽造及び低品質化の防止にも努めることで、顧客が安心して使用できる信頼性の高い製品・サービスを提供する。また、クオリティに関する基本的な考え方に基づき、バリューチェーン上のステークホルダーと共に有事においても堅牢なサプライチェーンを構築する。

個々の患者への最適なソリューション提供

患者さんにとっての価値を高めるエビデンスの創出と、個々の患者さんや医療現場の多様なニーズに応えるソリューションの提供に継続的に取り組み、これを強化・高度化させる。
患者さんやご家族、医療関係者など、医療に関わるステークホルダーと共に、一人ひとりに最適で真の価値向上をもたらす医療の提供に貢献する。

患者および臨床試験被験者の安全

製品ライフサイクルを通じて安全性の管理を徹底し、患者さんと臨床試験被験者への健康被害等の負の影響を最小限にする。規制当局と協働し、適切なファーマコビジランス活動を実施することに加え、医療従事者への情報提供も徹底し、医薬品とサービスの適正使用を推進する。
特に製品の安全性の確保や開発品における臨床試験の実施においては、高い倫理性とサイエンスの見地から、適切にリスクと有効性を評価すると共にわかりやすく適切な情報提供を行う。

保健医療へのアクセス

アンメットメディカルニーズを満たす革新的な医薬品とサービスを主として、高度な専門医療を、それを必要とする世界の人々へ届けられるよう、地域医療連携の支援や医療のアクセス向上に貢献する。
新規技術の積極的な活用によるコスト削減や、患者さんにとって負担の少ない治療法デザインの推進等に取り組みながら、真に価値ある革新的な医薬品・サービスの提供に対する適切な評価を得て、連続的且つ持続的な医薬品とサービスの創出を実現する。

社会・コミュニティとの医療エコシステムの共創

患者中心の持続可能な医療の基盤を支えると共に、健康な社会を広げていくための取り組みを進めるべく、自社だけでは解決できない医療に関する社会課題に対して、患者団体・社会・コミュニティや政府・行政など様々な主体と協働しながらコレクティブ・インパクトを生み出す。
それらを通じて、医療・ヘルスケアを支える堅牢な基盤・エコシステムの裾野を広げ、維持発展へ向けて、業界の旗振り役として貢献する。

中分子が患者さんにもたらす価値

患者さんへの提供価値を高めるためには、いまだ治療法が確立されていない疾患に対して、新たな薬剤を生み出すことが何より重要です。

当社が抗体、低分子に次ぐ第3の柱とした中分子医薬品は、これまで抗体や低分子では到達できなかった標的分子(タフターゲット)に対するアプローチが可能となることが期待されます。

当社は、長い年月をかけて中分子技術に取り組んできました。ここに至るまでには、気の遠くなるような実験・検証を繰り返してきましたが、現在、ようやく技術プラットフォームを確立することができました。多くのプロジェクトが研究段階にあるほか、第1弾の薬剤候補が臨床開発段階に進んでいます。

中分子医薬品は、患者さんにとって価値のあるものとなるはずです。研究・開発段階にあるプロジェクトを前に進め、一日でも早く、患者さんのもとに届けていきたいと思います。

創薬化学研究部 統括マネジャー(中分子創薬化学) 棚田 幹將

ヒト予測研究が患者さんにもたらす価値

当社では、さまざまな観測データの取得・AI解析を通じ、薬物動態や生体反応を表現する数式(モデル)を構築することで、バイオマーカーや最適投与量を見極める、ヒト予測研究に取り組んでいます。これにより、患者さんの負担を軽減し、開発成功確率を高め、革新的な新薬を早期に患者さんに届けられるようになります。

こうした予測精度向上のためのデータ取得に向け、私は「オルガノイド」とよばれる、試験管内で培養したヒトの「ミニ臓器」を活用し、病態や薬物動態の解明に取り組んでいます。先端的な培養技術を用いて、生体内の複雑な現象を分子レベルで紐解くことで、患者さんへの提供価値を高めることが狙いです。オルガノイド技術は、すでにいくつかの創薬プロジェクトで実用化され、目に見える成果が上がるようになってきました。今後は、スクリーニングや安全性評価など、この技術の活用の幅を広げることで、さらなる患者さんへの貢献につなげていきたいと思います。

医科学薬理部 ヒト予測基盤研究グループ グループマネジャー 中野 清孝

安定供給が患者さんにもたらす価値

COVID-19に対する治療薬として当社製品が国内外で承認されたことで、世界的に需要が急増しました。

当社では、その可能性を察知した2020年2月から増産計画と課題対策の立案をスタートさせました。しかし当時、この製品は世界でも宇都宮工場のみで製造していることに加え、もとより需要が増加傾向にあり、増産は容易ではありませんでした。新規要員確保、他製品の生産ラインとの調整、目前のメンテナンス計画の見直しなど、同時並行で多様な対応を進めました。

非常に困難な施策の連続でしたが、「患者さんがいる限り必ず届ける」という強い意志のもと、取引先、社員などが一丸となって取り組みを進め、供給を維持することができました。

今後も、安定供給を続けるため、需要の急変だけでなく、材料や部品の調達なども含め、継続的にリスクと対策の見直しを実施していきます。

中外製薬工業 宇都宮工場 製造7グループ グループマネジャー 滝川 徹

コンサルティング活動が患者さんにもたらす価値

2020年3月、COVID-19の拡大により、私が担当する施設への訪問が全面的に停止となりました。

こうした中、情報が滞ることで影響を受けるのは患者さんです。私たちは、当社の医薬品を処方された患者さんに安心して薬をご使用いただけるよう、コロナ禍での新たなコンサルティング活動の確立に向け、試行し続けました。

調剤薬局などへのヒアリングを行い、患者さんの実態把握に努めるとともに、当社メディカル部門や安全性部門とも協働し、病院の医薬品情報室が「生きた情報」を取り扱うための取り組みを進めました。

その結果、訪問規制から3カ月後には、医薬品情報室が基点となり、病棟薬剤師や医師が求める情報にアクセスできる体制を整えることができました。さらにその後は、副作用データベースの活用やオンラインでの副作用マネジメント研修を展開し、副作用の早期発見・早期対応にも努めています。

今後も患者中心の医療の一員として、チーム中外として取り組んでいきたいと思います。

営業本部 茨城支店 医薬情報担当者(MR) 原田 晋太郎