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肘と⼿指のコンディショニングで、
⽣活の不便を解消!

監修:有吉与志恵先生

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風邪をひいてしばらく寝込んだあとなど、物がうまく握れない、ペットボトルのふたが開けられないなどで、生活の不便を感じたことはありませんか。握力は筋力の1つであり、加齢だけでなく、体力低下の影響もとても敏感に受けるとされています。できるだけ快適に暮らすために、こうした手先の筋力低下を防ぐ方法を知っておきましょう。トレーナーの有吉 与志恵(ありよし よしえ)先生が教えるコンディショニング記事第3弾では、腕や指先のコリやこわばりを和らげ、血行をよくして日常の動きをスムーズにする動作を紹介します。

コンディショニングとは?

体を「鍛える」のではなく「整える」という考え方。姿勢や動きのクセによる筋肉の疲れや緊張(コリ)を整えることで体のバランスを調整し、筋肉が正しく動くようにして、その人のもともと持つ筋力を発揮しやすくします。
疲れた筋肉のクセを整える「リセットコンディショニング」、使えていない筋肉を動くようにする「アクティブコンディショニング」のセットで行うのが基本です。

筋肉や関節のアンバランスをリセットして、手指を動かしやすく!

筋力の低下とともに、手指の関節痛も出やすいのがシニア世代。コンディショニングは、支えている方の手で気になる部位を「揺らす」「回す」という「他動的」で「脱力系」の動きが基本なので、負担がかかりにくいのが特徴です。

取り⼊れる⽬安の回数
「リセットコンディショニング」
体感で「よくなった」と感じるようになるまで
「アクティブコンディショニング」
20回(10回2セットでもOK)を目安に
1肘のコンディショニング
リセットコンディショニング
【 エルボーローテーション 】

日常の生活の中ではどうしても肘を内側に回す動作が多く、肘を外側に向ける筋肉が硬くなりがち。この筋肉のアンバランスにより、腕や肩の痛み、コリも起こるのです。いつもとは違う肘の筋肉の動きを行うことで、生活のクセをリセットしましょう。肘の外回しエクササイズを行うことで肘関節の筋肉バランスを整えます。

  1. 1.手のひらを上にしてテーブルに乗せ、反対の手を下側から肘の筋肉に当てます。
    <ポイント>

    肘を支えるほうの手は、親指を肘の内側の筋肉に当て、あとの4本は外側の筋肉に当てます。

  2. 2.肘を反対の手で支えたまま、内側から外に向かって(外回し)回します。
    反対の手も同様に。

外回しで手のひらを上に向けようとしても、肘関節の動きが悪くてうまく開かない場合があります。テレビを見ながらなど、こまめにエルボーローテーションを繰り返しやってみましょう。

【有吉先生の⾖知識】
肘関節の筋肉のバランスをチェック!

手のひらを上にして開きにくいのは、肘関節の筋肉のアンバランスによるものかもしれません。力を入れずに、手のひらを上にして、肘から先をテーブルの上に置いてみてください。下の「×」の写真のように肘や手が内側に入っている場合は、アンバランスを起こしている証拠。「○」の写真を目指して、エルボーローテーションを毎日行って、内回し、外回しどちらにも動くバランスのよい肘関節の筋肉を取り戻しましょう。

アクティブコンディショニング
【 エルボーエクステンション 伸展 】

「エルボーローテーション」でリセットした肘の関節の可動域をさらに広げ、動かしやすくするコンディショニングです。

  1. 1.イスに浅く腰を掛けて背筋を伸ばします。肩の力を抜き、腕はまっすぐ降ろします。
  2. 2. 体は正面を向いたまま、肘を後ろに上げて伸ばします。
    手は軽くグーを握ります。反対側の手はももの上に置きます。
  3. 3.肘を上げて後ろに伸ばし、肘を伸ばす上腕三頭筋(腕の後ろの筋肉)が使われているのを実感します。20回程度を目安に。反対の腕も同様に。
2⼿のコンディショニング
リセットコンディショニング
【 ⼿⾸リセット 】

長年の使いすぎでコリや痛みが出るのは、肩こりだけでなく指の関節も同じです。リセットコンディショニングで筋肉を元の状態に戻していくと血行もよくなり、手首や手のひらが柔らかくなります。すると腕全体が柔らかく使えるようになるのです。
指先の冷えを感じる人も試してみてください。動きは各20回で1セット、またはラクに感じるまで続けます。「ブラブラブラ…」と動かして血行をよくし、筋肉も目覚めさせていきましょう。

  1. 1.片方の手で反対側の手首を持ち、前後にブラブラと動かしましょう。
  2. 2.手首はすっかり力を抜いて、反対側の手で動かすのがポイントです。
    20回ほど振っていると指先の血流がよくなり、人によってはポカポカと温まるのがわかります。
リセットコンディショニング
【 指のリセット 】

指は、体の中でも特に繊細な場所なので、無理に動かすのは禁物。反対側の手で関節を押さえ、やさしくリセットしていきましょう。

  1. 1.指の第一関節を2本の指で持ちます。
  2. 2.関節の外側を押さえながら、指の腹側から「グッ、グッ、グッ」とリズミカルに押していきます。
    第1関節が終わったら、人差し指を第2関節に移動して、同様に。
  3. 3.第2関節もリセットしたら、指の付け根の第3関節に人差し指を移動してリセット。
    関節の外側を押さえながら、グーーーッと深く押していきます。
    すべての指で同様に(親指は第2関節まで)。
【有吉先生の豆知識】

手指がしっかりと使えている人は、手を握ってみると手のひらがふかふかとして柔らかいものです。あなたの手は、どうですか? 硬いと感じたら、手首と指のコンディショニングをして、柔らかいふかふかの手を目指してくださいね。

    
アクティブコンディショニング
【 フィンガーエクステンション 】
※ここで紹介するコンディショニングは、立って行います。立つことに不安がある方は、控えるようにしてください。

親指以外の4本指を動かしている「総指伸筋」は、肘の内側から指先につながっています。加齢とともに硬くなりがちなこの筋肉を整えていきましょう。

  1. 1.テーブルに手をつき、指を伸ばします。
  2. 2. 肘の内側から指につながる筋肉を意識しながら、体を軽く前後に動かします。
    20回程度、前後にゆっくり動かしてみましょう。
肘や手指がラクになるのを実感しながらやってみましょう

座る姿勢や、横になることの多い生活が続くと、肩や肘、そして手指も関節が硬くなり、可動域が狭くなります。そうすると、動かすのがおっくうになり、さらに動きにくくなってしまう。年齢を重ねると、そんな経験が増えてくるかもしれません。日々の家事や、趣味の活動などをいつまでも自分で楽しめるように、まずは、手首リセットのように簡単にできるものから取り入れて、暮らしで感じる変化を味わってみませんか。
シリーズ記事「①姿勢すっきり編」「②⾜腰しっかり編」のコンディショニングにも、ぜひチャレンジしてください。

コンディショニングトレーナー
有吉 与志恵(ありよし よしえ)先⽣

一般社団法人日本コンディショニング協会(NCA)会長。株式会社ハースコーポレーション最高技術責任者(CTO)。
福岡県出身、日本体育大学卒業。健康な肉体づくりのプロとして30年以上のキャリアを生かし、“筋肉を鍛えるよりも整える”ことで姿勢と体調を改善できる「コンディショニングメソッド」を確立。陸上、クライミング、テニスをはじめとする日本代表アスリートのトレーニングからシニアの運動指導まで延べ1万人以上のトレーニング、美容、健康づくりを指導。学校や企業向けの講演、高齢者の運動指導、指導者の育成にも情熱を注いでいる。「疲れをとる40歳からの回復筋トレ」「“頑張らない運動”で若返る! シニアのクルクルトントン体操」等著書多数。

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