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子どもの「学びたい」がモチベーションに!療養中の学習&受験の支え方

監修:株式会社キャニオン・マインド 専務取締役 西岡 真由美さん

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病気で長期入院や自宅療養が必要で思うように勉強に取りかかれなくても、目標に向けて進んでほしい。子どもの「学校に行きたい」「遅れをとりたくない」という思いを支えることは、将来への希望をつなげることでもあります。長期入院中の小学生から大学生へのオンライン無料学習支援を行う西岡真由美先生に、闘病中も学べる環境作りのポイントや、受験との向き合い方などについてうかがいました。

「病気があっても、学びたい!」 目標を持つことの大切さ

入院中の子どもの学習を支える場として、「院内学級」のある病院もあります。これは文科省の特別支援学級という制度です。ただし、義務教育ではない高校は、ほとんど設置されていないのが現状です。また、院内学級に通うには在籍校から転入の手続きが必要ですが、私立校の場合には一度転出すると元に戻りにくいため、院内学級を利用しないで自力で勉強しているお子さんもいます。

私自身も息子2人が難病指定の病気になり、そのうち1人は中学、高校時代に入退院を繰り返しました。このとき、進学や進級の壁にぶつかった経験からオンライン家庭教師業を立ちあげ、のちに長期入院中の子どもたちを応援するプロジェクトを開始しました。

長期入院を必要とする病気では、親子とも「どれだけ休んだら留年なのか」「留年したら友だちと同じタイミングで卒業できないのか」と不安を抱えます。医師と治療の話をするのと同時に、学校との話し合いもしなければいけない状態です。
また、「勉強のことは、復学したらがんばればいい」という考えの教育関係者も多く、休学をすすめられることもあります。痛みや症状があるときに無理に勉強させなくても良いという親切心であり、私も最初はそう思っていました。

しかし、我が子もそうでしたが、学生は学校生活が人生のほとんどです。友達もみんな学校にいるので人間関係も希薄になり、将来への希望も持ちにくくなってしまいます。
そんなときに、入院・療養中でも在籍校の留年対策や定期テスト対策として自分のペースで勉強することや、進学の目標を持つことは「その学校の学生である」という帰属意識を高め、治療のモチベーションにもなるのです。

体調や子どもの性格によって学習ツールを上手に選ぼう

闘病中の勉強は、まずは体調と相談しながらはじめましょう。

私たちが行っているのは、パソコンの画面越しにお互いの顔を見て、双方向で会話をしながら行う個人指導です。互いの教材やノートは、手元のカメラで映して共有します。入院が長くなるとわからないことも増えてくるので、こういったマンツーマンで質問がしやすいしくみは重要です。
授業を担当した講師との間に絆が生まれ、進路についての相談もするようになり、将来の目標につながったケースもありました。

一方、性格的に一人で調べるのが好きというタイプ、体調が不安定でオンライン授業の予約を入れにくい期間は、授業動画配信サービスを活用したり自習をしたり、工夫してみてください。

私が知るなかでも、いろいろなタイプのお子さんがいました。例えば、集中的に治療を行う間は勉強をお休みして、治療がひと段落するとすぐに「教科書を持ってきてほしい」というお子さん。最初はつらそうに見えてもオンラインで先生と勉強したり話をすることで気分転換になるのか、不思議と収まっていくお子さん。学びたい欲求、そして知ったことをほめてもらえる、認めてもらうことの喜びは、誰もが持つ本能的なものだと思います。

少し先を見据えて目標を立て、自分に合った進路を

受験を目指すとき、通常なら気になるのは偏差値でしょう。私もそうでしたが、我が子が病気になり、命がけで病気と闘っている子どもたちに出会ってからは、偏差値はどうでもよくなりました。

進路を選ぶときには、将来の夢や目標を持っているお子さんであれば、それを大切にすることはもちろん大事です。でも、実際は治療のことで頭がいっぱいになり、とにかく留年しないで友だちと同じタイミングで進級や卒業をしたいと願うお子さんも多いです。

闘病期間が長い場合は、通信制高校も一つの選択肢です。私たちの息子も、進学した私立高校では出席日数の問題で3年間での卒業は難しいと言われました。同級生と同じタイミングで卒業したい息子は、通信制高校に転校しました。この決断に、当初は戸惑いもありました。しかし、実際に転校してみたらスクーリング日数(出席日数)も少なく単位がとりやすく、心身ともにラクな状態で通えるため、本人も「通信制高校、おすすめだね」と言っていたほどです。そして、やりたいことを見出して、大学進学にもつなげていくことができたのです。

これは一例ですが、「進路はあきらめず、自分で決断することが大事」ということを皆さんにお伝えしたいです。第一志望をあきらめて別の進路を選択したとき、のちにチャレンジしなかったことを後悔することがあります。特に通信制高校に進学するか、全日制高校に進学するかは、本当に決断が難しいです。全日制高校に進学して通いきれなかったときに通信制高校に転校することはできますが、逆はできません。

後悔しない進路を選択するために、周囲の大人ができることは、まず、どんな選択肢があるかを積極的に情報収集することです。病気のせいで回り道をしたと感じることもあるかもしれませんが、本人にとってより良い道を柔軟に選択できる方法を探してみてください。

株式会社キャニオン・マインド 専務取締役
西岡 真由美(にしおか まゆみ)さん

息子たちの難病発病をきっかけに、もともと学習塾を運営していたことから療養中でも自宅で学習できる「オンライン家庭教師エイドネット」を立ち上げ、のちにエイドネットを活用した「オンライン院内学級KAYOUプロジェクト」を立ち上げる。ご寄付により長期入院中の小学生から大学生の患児に無償で授業を提供している。

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