
互いに自立しながら、いたわりあえる関係性を
〜門永さんに聞く サステナブルに生きるヒント〜
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Profile

10代の多感な時期に関節リウマチを発症した門永 登志栄さん。以降、病気と付き合いながら、就職、結婚、育児、介護…とさまざまなライフイベントを経験してこられました。そんな門永さんに、家族のコミュニケーションをよくするために心がけていること、ストレスを感じたときにしている気持ちを切り替えるための工夫などをお聞きしました。病気とともに生きる大変さはそれぞれですが、少し視野を広げ気分を変えるヒントにしてみませんか?
※本記事の取材は、2022年10月20日にオンラインにて実施しました。
- 門永 登志栄さん
- 13歳で関節リウマチを発症。現在64歳で、69歳(会社員)の夫と二人暮らし。長男は結婚し、孫2人の成長を楽しみにする日々。
2008年より日本リウマチ友の会鳥取支部長、2011年より本部の理事も務めている。
1「無心になれる時間」を作る
今の楽しみ、癒しの方法はなんですか?
一番好きなのは、空を見上げることです。よく晴れた青空に高く飛んでいる鳥を見たり、青空の下、輝く庭の花や樹木、つくばい(手水鉢)にやって来て水浴びをする鳥を眺めたりして自然を楽しんでいます。甕(かめ)ではメダカを飼っていて、エサをあげると寄ってくるのもかわいい。ガーデニングや生き物のお世話をしている間は日々の雑事から解放され、無心になれるひとときです。
2節目のときの「ありがとう」を忘れずに
ご家族にしてもらったこと、かけてもらった言葉でうれしかったことはどんなことですか?
夫はもともと家事に対して理解があり、最近は料理も作ってくれます。インターネットでいろいろなレシピを探すのに興味を持っているようで、ときには私の知らない料理が出てくることもあります。夫には、本当に感謝していますね。夫も私も、ふだんは感謝の言葉をそんなに口に出して言うほうではないので、このインタビューを通して伝えられたらと思います。
息子もふだんは特に感謝の言葉を口に出しては言いませんが、大学に入って一人暮らしを始めたときに送ってくれたハガキには、感謝の気持ちが書いてありました。今でも大切に持っています。また、入院した時には毎日のように病室へ顔を出してくれましたね。やはりうれしかったです。
私は家族にもですが、幼少の頃より両親・姉たちにも守ってもらっていました。姉たちには今もなお、庇護のもとにいるような…いつも想いを馳せてくれ、感謝しています。
3自分に合った治療をするために医師とのコミュニケーションを
長年、治療を受けてこられ、医師や医療機関とのかかわり方で大切だと思うのはどんなことですか?
幸運なことに最初に診断してくださった開業医から現在通院中の大学病院の担当医、そしてかかりつけ医まで、いい先生に恵まれてきました。それでも思うのは、「自分の体を守るのは自分」ということで、先生にまかせっきりでもいけないということです。
先生を信頼しつつ、治療法などについてもある程度は自分でも調べること。たとえば、この薬はどんな効果があるのか、どんな副作用があるのかなどを調べ、先生と話をすることで、自分がどんな治療を求めているのかが先生にも伝わります。それが、自分に合った治療を受けることにもつながっていくと思うのです。
4自分の体を守るために、自分の体の声を聞き、知ること
病気を抱えながら生活するうえで、気を付けているのはどんなことですか?
自分の状態を自分で感じ取ることでしょうか。なかなか難しいですが、自分の体を守るためには生涯にわたって大切なことだと思います。関節リウマチで私が一番つらいと感じるのは、朝の起きぬけの痛みです。つらくて動けないこともあります。痛み止めを飲むと痛みが和らぎますが、だからといって動きすぎるとまた痛みが出てきます。体調がよいと思うときでも、いつも「今、無理をしていないか」「どこまで動いて大丈夫か」などいつも自分の体に問いかけ、バランスを考えながら動いています。
5健康を過信せず、情報を自分ごととして集める
これまでの闘病のご経験から、誰もが持っておきたい「心がまえ」はどのようなものだと思いますか?
私は子どもの頃に関節リウマチと診断されましたが、リウマチに限らず、誰もがいつ、どんな病気や障害を持つかはわかりません。「心がまえ」とまではいかないですが、若い世代の方や、今は元気という方も「自分は若いから大丈夫」と思うのでなく、常に自分ごととして考えておくことは大切ではないでしょうか。
たとえば、私は10年前にくも膜下出血を起こしましたが、そのとき、すぐに異変に気付き、救急車を呼ぶことができました。自分の親友や伯母がこの病気になったことがあり、症状や治療について調べたことがあったのです。また、救急車では通院している大学病院に運んでもらうよう頼めたので、脳外科とリウマチの主治医との連携のもとで、適切な治療が受けられたのは幸運でした。
病気の多くは早めに気づき、医師にかかったり対処をしたりすることで、悪化しにくくなったり、治りやすくなったりということが期待できます。もし自分や家族、身近な知人が病気になった場合は、どんな症状が起きたのか、どんな治療を受けていたか、生活上でどんな対応が必要だったかなど、正しい情報をつかんでおくと、何かあった時に役立つのではないでしょうか。
