総合
監修

国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター
トランスレーショナル・メディカルセンター長小牧 宏文 先生

デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)のことを知りたい方DMDの症状どのような症状が出るの?

運動機能の低下がみられはじめ、
進行すると呼吸や心臓の機能の低下もみられます。

デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、幼児期ごろに走れない、転びやすいなどの症状からみられはじめます。医療機関で受けた血液検査で偶然に高クレアチンキナーゼ(CK)血症が見つかり、発症前に診断される場合もあります。進行すると呼吸や心臓の機能の低下がみられるようになりますが、症状の種類や程度、進行度は患者さんの状態・治療の状況により異なります。

※:筋肉が壊れたときに数値が上がる酵素

DMDの症状の例

DMDの症状の進行を示すフロー図

出典1)より作成

ガワーズ徴候

床から立ち上がる際に、まず四つばいの姿勢になり、腰を上げながら両手を床、膝、大腿部に移動させつつ体を起こす動作のことです。登攀性起立(とうはんせいきりつ)ともいいます。

ガワーズ徴候を示すイメージ
出典2)より作成

あひる歩行(動揺性歩行)

両足を広げ、それぞれの足に重心をかけて上半身を左右に揺らす歩き方のことです。

あひる歩行(動揺性歩行)を示すイメージ

出典2)より作成

DMDと似ている病気

その他の筋ジストロフィー(福山型先天性、肢帯型、顔面肩甲上腕型など)、脊髄性筋萎縮症(せきずいせいきんいしゅくしょう)、ポンぺ病、若年性皮膚筋炎などがありますが、臨床的特徴に相違点があり、遺伝学的検査で区別することができます。
DMDと同じジストロフィン遺伝子の異常が原因で起こるベッカー型筋ジストロフィーは、遺伝子の異常パターンで多くは予測可能とされていますが、発症年齢やみられる症状なども踏まえて総合的に判断されます。

・ベッカー型筋ジストロフィー3)

主な症状はDMDに似ていますが、発症時期や進行がより遅く、歩行できなくなる時期は少なくとも15歳以降です。早期に発症してDMDと区別することが難しい場合から、成人後期に発症する場合まで、発症時期や重症度に幅があります。

・その他の筋ジストロフィー4)-6)

いずれも運動機能の低下が主な症状ですが、種類によって発症時期や症状、進行速度に多様性があります。福山型先天性は新生児~乳児期早期より顔面を含む全身での筋力低下や筋緊張低下がみられます。肢帯型はDMDと似た症状がみられることがありますが、DMDより程度は軽く進行が遅い傾向があります。顔面肩甲上腕型は顔面や腕の筋力低下がみられやすいです。

・脊髄性筋萎縮症7)

進行性の筋力低下を特徴とした病気で、遺伝子の異常が原因です。発症時期が幅広く、発症が早いほど重症になりやすい傾向があります。生後6カ月までに発症するⅠ型では、フロッピーインファントと呼ばれる筋肉の張りがなくなり体が柔らかくなった状態や、呼吸の異常などがみられます。生後18カ月までに発症するⅡ型では、座ることはできるようになりますが、歩くことができません。成人までに発症するⅢ型では歩けるようになりますが、次第に転びやすい、歩けない、立てないといった症状がみられるようになります。成人以降に発症するⅣ型もあります。

・ポンぺ病8)

ゆっくり進行する筋肉の病気で、症状発現時期によって、乳児型、遅発型(小児型・成人型)に分類されます。乳児型は、フロッピーインファントや、心臓の機能低下などがみられます。遅発型は、筋力低下が徐々に進行しますが、心臓の機能低下はあまりみられません。

・若年性皮膚筋炎9)

16歳未満で発症し、特徴的な皮膚の変化と左右対称の筋力低下が主な症状です。つまずきやすい、階段で転ぶようになった、今までできていた運動や動作ができなくなったなどから、起き上がったり寝返りをうったりできなくなるなど重症度はさまざまです。

DMDをはじめとした進行性の病気は、可能な限り早く診断し、適切な治療を受けることが望まれます。これらの病気が疑われる症状があれば、早めに専門病院を受診することが重要です。症状から判断が難しい場合は、お近くの小児科(小児神経)や神経内科などにご相談ください。

総合監修

小牧 宏文先生

国立研究開発法人
国立精神・神経医療研究センター
トランスレーショナル・メディカルセンター長

2026年7月作成