総合
監修

国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター
トランスレーショナル・メディカルセンター長小牧 宏文 先生

よくある質問・用語集用語集

あ行

アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ
(Aspartate aminotransferase:AST)

一般にASTと略され、肝臓や筋肉、心臓に多く含まれる物質です。肝臓や筋肉、心臓の細胞が壊れると高値を示します。血液検査でのASTの高値をきっかけに、まだ症状が出ないうちにデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)が発見されることがあります。

アラニンアミノトランスフェラーゼ
(Alanine aminotransferase:ALT)

一般にALTと略され、肝臓や筋肉に多く含まれる物質です。肝臓や筋肉の細胞が壊れると高値を示します。血液検査でのALTの高値をきっかけに、まだ症状が出ないうちにデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)が発見されることがあります。

遺伝カウンセリング

遺伝にまつわる疑問や悩み、不安を解消するために、医療機関に相談し、さまざまな専門家から情報を得たり、理解を深めたりすることです。遺伝学的検査、着床前診断、出生前診断を受ける場合には、検査前から診断後まで、心理面や社会面も含めたサポートを受けることができます。詳しくは「遺伝カウンセリング」のページをご覧ください。

遺伝学的検査

遺伝子の異常が原因の病気が疑われる方やその血縁者の方を対象として、病気の診断や発症前診断を目的に、遺伝子の異常の有無を調べる検査です。検査を受けるにあたって遺伝カウンセリングが必要です。デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の診断を目的とする遺伝学的検査では、血液を採取してジストロフィン遺伝子に異常があるかどうかを調べます。詳しくは「遺伝学的検査」のページをご覧ください。

遺伝子

親から子どもへ伝わる外見や性質の特徴などの詳しい情報を持つ、体をつくるための設計図のようなものです。体はさまざまな細胞からできており、体のどこの、どのような細胞をつくるのかという詳しい情報を遺伝子が持っています。

遺伝子補充療法

「遺伝子の異常により、はたらくべき遺伝子がうまくはたらかなくなってしまったこと」が原因で発症する病気において、うまくはたらかなくなった遺伝子を補う治療法です。はたらかなくなった遺伝子を補う遺伝子(導入遺伝子)をベクターと呼ばれる入れ物に入れて、患者さんの体の細胞の中へと運び、必要なタンパク質をつくります。デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)患者さんで一定の条件を満たす場合に、遺伝子補充療法が検討されます。

エクソン

遺伝子の中には、タンパク質をつくるための情報を持つ部分と、そうでない部分があり、情報を持つ部分を「エクソン」と呼びます。
たとえば、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の発症に関わるジストロフィン遺伝子は79個の「エクソン」からなる巨大な遺伝子で、「エクソン」がつながるとジストロフィンをつくることができます。

エクソンスキッピング療法

デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)患者さんはジストロフィン遺伝子のエクソンに欠損や変化が生じ、エクソンがうまくつながらないためにジストロフィンをつくれない状態になっています。エクソンスキッピング療法は薬を使って一部のエクソンを読み飛ばす(スキップさせる)ことでエクソンをつなげ、不完全ながらもジストロフィンをつくり出す治療法です。DMD患者さんで一定の条件を満たす場合に、使用が検討されます。

か行

家事援助

居宅介護で受けられるサービスのうち、調理や洗濯、掃除、生活必需品の買い物など身体介護以外のサービスのことです。これらのサービスを受けるには障害支援区分の認定が必要となっています。詳しくは「居宅介護」のページをご覧ください。

仮性肥大

デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)患者さんでは、筋肉が脂肪に置き換わったり線維化が起こったりすることで、歩行可能期にふくらはぎが太く固くなることがあり、これを仮性肥大と呼びます。

合併症

もともとある病気が原因となって起こる別の病気のことです。デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)では、心筋症や側弯症(そくわんしょう)、呼吸不全、嚥下機能障害などの合併症がみられます。

ガワーズ徴候(Gowers徴候)

筋力低下のためスムーズに立ち上がれず、床や膝に手をついて腕の力も使いながら徐々に体を起こす様子のことです。自分の体をよじ登っているようにも見えることから、「登攀性起立(とうはんせいきりつ)」とも呼びます。

関節拘縮(かんせつこうしゅく)

関節を伸ばしたり、曲げたりできなくなることです。筋萎縮(きんいしゅく)を前提として、伸ばす筋肉と曲げる筋肉のバランスが悪いことと長時間同じ姿勢を取り続けることが主な原因と考えられます。デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)患者さんでは、足の関節が拘縮して、かかとを床につきにくくなり、つま先歩きのような状態になることがあります。

顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー
(Facio-scapulohumeral Muscular Dystrophy:FSMD)

筋ジストロフィーの種類のひとつです。表情が乏しい、腕を上げることができないなどの顔面や肩・上腕の症状から始まり、徐々に全身の筋力が低下していきます。発症年齢は0歳~60代まで幅広く、個人差がありますが多くは20歳までに発症するとされています。

筋萎縮(きんいしゅく)

筋肉がやせることをいい、筋ジストロフィーを含むさまざまな筋肉の病気でみられる症状です。筋萎縮が起こると筋力が低下し、転びやすい、歩けないといった運動機能の障害が出てきます。

筋細胞膜

筋肉の細胞を覆っている膜のことです。デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)では筋細胞膜を支えるジストロフィンをつくれないために、筋肉が壊れやすい状態になっています。

筋ジストロフィー
(Muscular Dystrophy:MD)

何らかの遺伝子の異常により、筋肉が壊れやすくなり、筋力低下が進んでいく病気の総称です。デュシェンヌ型のほか、ベッカー型、福山型先天性、肢帯型、顔面肩甲上腕型などさまざまな種類があります。詳しくは「DMDのことを知りたい方」のページをご覧ください。

筋生検

筋肉の一部を採取して、顕微鏡で筋肉の組織や細胞の状態を調べる検査方法です。デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の診断は、主に原因となるジストロフィン遺伝子の異常を調べる遺伝学的検査で確定しますが、遺伝学的検査では診断がつかない場合に筋生検を行います。

クレアチンキナーゼ
(Creatine Kinase:CK)

一般にCKと略され、筋肉や心臓に多く含まれる物質で、筋肉や心臓の細胞が壊れると血液中に流出します。血液中のCKが著しく増えた状態を高CK血症といい、これをきっかけに、まだ症状が出ないうちにデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)が発見されることがあります。

さ行

ジストロフィン

筋細胞膜の下に存在していて、筋細胞膜が壊れないように支えるはたらきをするタンパク質です。デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)患者さんはジストロフィン遺伝子の異常によりジストロフィンをつくれないため、筋細胞膜が弱く、筋肉が壊れやすい状態になっています。

ジストロフィン遺伝子

ジストロフィンをつくるための情報を持っている巨大な遺伝子です。デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)患者さんではジストロフィン遺伝子に何らかの異常があるために、ジストロフィンをつくることができません。

肢帯型筋ジストロフィー

筋ジストロフィーの種類のひとつです。最初に腰回りの筋力が低下し、歩行や階段の上り下りに異常がみられることが多く、原因が多岐にわたるため発症年齢や症状はさまざまです。検査を行っても患者さんの半数以上では原因が不明です。

指定難病

発症年齢によらず、(1)病気のメカニズムが明らかでない、(2)治療法が確立されていない、(3)希少な病気である、(4)長期の療養を必要とする、(5)日本において患者数が一定の人数に達していない、(6)客観的な診断基準が確立されている、の6つの条件を満たし、厚生労働大臣が指定した特定の疾病です。デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)も対象疾病に指定されています。サポートの詳細は「治療と生活のサポートを知りたい方」のページをご覧ください。

出生前診断

お腹の中の赤ちゃんの状態を確認する検査のことです。複数の検査方法がありますが、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)などの遺伝性の病気の可能性がある場合は遺伝学的検査が行われます。

小児慢性特定疾病(小慢)

18歳未満の病気(疾病)のうち、(1)慢性に経過する、(2)生命を長期に脅かす、(3)症状や治療が長期にわたって生活の質を低下させる、(4)長期にわたって高額な医療費の負担が続く、の4つの条件を満たし、厚生労働大臣が定める特定の疾病です。デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)も対象疾病に指定されています。
小児慢性特定疾病の患者さんは、医療費助成や日常生活用具の給付、自立支援などさまざまなサポートを受けることができます。サポートの詳細は「治療と生活のサポートを知りたい方」のページをご覧ください。

心筋症

心臓は心筋と呼ばれる筋肉でできています。この心筋に何らかの異常が起こることで心臓の動きが悪くなることを心筋症といいます。デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)では進行とともに必ずみられる合併症で、発症前から定期的に心臓の機能を検査して、必要に応じてお薬などで治療を行っていきます。

人工呼吸器

呼吸機能が低下している患者さんの呼吸をサポートする医療機器です。鼻マスクやフェイスマスクなどをつける手術の必要がないタイプと、手術で気管に穴をあけて喉の付近にチューブを装着するタイプがあります。デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)では進行すると呼吸するための筋力も低下するため、必要に応じて人工呼吸器の導入を検討します。

ステロイド治療

ステロイドは、体内の免疫のはたらきを弱めたり、炎症を抑えたりする薬です。デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)患者さんでは、ステロイドの内服により、筋力低下の進行が抑えられたり、歩行可能な期間が延長したりすることが期待されます。

脊髄性筋萎縮症
(せきずいせいきんいしゅくしょう、Spinal Muscular Atrophy:SMA)

脊髄(せきずい)の中にある、筋肉を動かすためにはたらく細胞(運動神経細胞)が変化して、手や足などの筋肉が弱くなっていく病気です。赤ちゃんから大人まで幅広い年齢層で発症します。筋ジストロフィーと同じく筋力低下を中心としたさまざまな症状があらわれます。SMA(Spinal Muscular Atrophy)ともいいます。

装具(そうぐ)

病気やケガのため、手足や腰などに障がいが生じたときに、症状の軽減などを目的として装着する器具です。デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)では、関節拘縮(かんせつこうしゅく)や側弯症(そくわんしょう)に対し、症状が進まないようにサポートする目的などで使用され、リハビリテーションとしても用いられます。

側弯症(そくわんしょう)

背骨を支える筋力が弱いために、背骨がうねるように曲がってしまった状態です。デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)では歩行不能となった患者さんのほとんどが側弯症になると考えられています。

た行

着床前診断

体外で受精させた受精卵の染色体や遺伝子に異常がないかどうかを妊娠前に検査することです。複数の検査方法がありますが、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)などの遺伝性の病気の可能性がある場合は遺伝子の異常を調べる着床前遺伝学的検査が行われます。

デュシェンヌ型筋ジストロフィー
(Duchenne Muscular Dystrophy:DMD)

幼児期に発症する筋ジストロフィーの中で最もよくみられる種類です。ジストロフィン遺伝子の異常が原因で起こり、原則男性に発症します。徐々に筋力低下が進んでいく病気で、3~5歳ごろに転びやすい、走れないなどの症状がみられ、10歳ごろには歩けなくなるとされています。

動揺性歩行

体幹や骨盤まわりの筋力低下のために、身体を左右に揺らしながら歩行することです。バランスをとるために上半身がのけぞったり、前傾姿勢になったりすることもあります。あひる歩行とも呼ばれます。

登攀性起立(とうはんせいきりつ)

ガワーズ徴候(Gowers徴候)」のことを指します。

は行

皮膚筋炎
(Dermatomyositis:DM)

皮膚と筋肉に炎症が起こる病気です。まぶたが赤く腫れぼったくなる、手指の関節が、がさがさとして盛り上がるなどの皮膚症状に加えて、筋肉痛やデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)と同じような筋力低下といった筋肉の症状がみられます。16歳未満で発症する皮膚筋炎を若年性皮膚筋炎(Juvenile Dermatomyositis:JDM)といいます。

福山型先天性筋ジストロフィー
(Fukuyama Congenital Muscular Dystrophy:FCMD)

筋ジストロフィーの種類のひとつです。生まれてすぐから2歳までに全身の筋力低下がみられ、体重が増えない、ミルクの飲みが悪いなどの症状をきっかけに発見されます。フクチン遺伝子の異常が原因で発症することがわかっています。

ベッカー型筋ジストロフィー
(Becker Muscular Dystrophy:BMD)

筋ジストロフィーの種類のひとつです。デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)と同じジストロフィン遺伝子の異常によって起こり、原則男性に発症します。DMDと同じような症状があらわれますが、DMDに比べると発症時期が遅く、進行が緩やかな傾向があります。

保因者(ほいんしゃ)

両親から受け継ぐ遺伝の情報(遺伝子)のうち、何らかの変化(変異)がある遺伝子を持っていても病気や症状がない人のことです。詳しくは「DMDのことを知りたい方」のページをご覧ください。

補装具(ほそうぐ)

筋力低下など身体機能に障がいがある方の機能を補うための器具のうち、義肢や装具、車いすなど厚生労働大臣が定めるもののことをいいます。デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)患者さんで補装具が必要となった場合、費用の支給を受けられることがあります。

ポンぺ病

遺伝子の異常により、うまく細胞内の糖を分解できず、筋肉の細胞に糖がたまっていくことで起こる病気です。赤ちゃんから大人まで幅広い年齢で発症し、筋ジストロフィーと同じく筋力低下が進んでいきます。

ま行

ミオパチー

筋肉の病気を総称して表す言葉で、さまざまな種類の病気が含まれます。筋ジストロフィーもミオパチーに含めることがありますが、日本では筋ジストロフィー以外の筋肉の病気のことをミオパチーと呼んで、筋ジストロフィーと区別しています。

ら行

リハビリテーション(リハビリ)

医学的には、病院やクリニックなどの医療機関で行う理学療法や作業療法のことを指します。デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)患者さんでは、筋力維持のほか、関節拘縮(かんせつこうしゅく)や側弯症(そくわんしょう)の進行を抑えることなどを目的に、個々の状態に合わせたリハビリテーション(リハビリ)を行います。

英字

DM

皮膚筋炎(Dermatomyositis:DM)をご覧ください。

MLPA(Multiplex Ligation-dependent Probe Amplification)法

遺伝学的検査のひとつで、遺伝子内のエクソン単位での欠失や重複の有無を調べることができます。デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)が疑われる場合、最初に行う検査で、血液からジストロフィン遺伝子の全エクソンを調べます。DMD患者さんのうち、約70%がMLPA法で診断できます。

NPPV

非侵襲的陽圧換気療法(Noninvasive Positive Pressure Ventilation)のことです。鼻マスクやフェイスマスク、マウスピースなどをつけて、患者さんの呼吸を助けます。デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)では、進行すると呼吸機能の低下がみられるため、必要に応じてNPPVの導入を検討します。

X連鎖潜性遺伝

母親が病気の原因となる遺伝子の異常を持っている場合、その子が男児であれば1/2の確率で発症し、女児であれば1/2の確率で保因者となる遺伝形式です。デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は「X連鎖潜性遺伝」の形式で遺伝する病気です。詳しくは「DMDのことを知りたい方」のページをご覧ください。

総合監修

小牧 宏文先生

国立研究開発法人
国立精神・神経医療研究センター
トランスレーショナル・メディカルセンター長

2026年7月作成