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一歩、一歩、着実に上に向かっていく。バツグンの信頼を誇る人。

まず、真似る。

現在は、多くのMRをまとめるマネージャーである川口。“どんなに難しいドクターでも必ず信頼を勝ち取る”とまで言われる彼にも新人時代はあった。「1年目は、とにかく会社から教えられたことを一生懸命やる。ドクターからは、『新人だからしょうがないか』と見られている感じでしたね」と謙遜する。そんな川口が心がけていたのは、「まずは真似ること」だった。「会社の先輩MRはもちろん、他社メーカーでも力のあるMRを観察して真似てみる。本人と話せないならドクターやMSさんから、その方のいいところを教えていただいたりしました」。川口はこうしてMRとしての一歩を踏み出したのだ。

中外製薬がまったく入りこめていなかった病院を担当したとき、川口は考えた。「なんとしても院長と関係をつくらなければ。考えた末、他社メーカーのMRに頼んで面会に同席させていただいたりと、まずは顔を覚えていただくところから始めたんです」。関係を築く上では繊細な心遣いも怠らなかった。「ドクターと会話するときも出しゃばりすぎず、状況を見て入り込んでいく。それを積み重ねてドクターと1対1で面会できる関係になったんです」。同時に川口は、もうひとりのキーマンである薬剤部長にもアプローチ。関係構築のため、薬剤部長の同級生という社内の全く違う部署の方にも協力を仰ぐなどして、3年かけて製品の採用というゴールにたどり着いた。

正攻法。

ドクターとの関係を築き、製品の採用というゴールに向かって努力を続けてきた川口。そんな彼が、もっとも好きな営業スタイルは、“正攻法”なのだという。「ドクターや医療機関にあわせてアプローチは変えていきますが、私自身がいちばん好きな手法は、医薬品の学術的なデータをしっかり訴求する正攻法です。たとえば、ある注射薬の情報提供の際には、エビデンスを粘り強く訴求してドクターの興味を喚起し、中外製薬が開催する医薬品のイベントに参加を促すなど製品の魅力を訴求しました。また採用いただいた後には、ドクターの感触をしっかり把握します。採用から1年後、この薬を使って治療成績が伸びたよ、と言われたときには感無量でしたね」。

多くのドクターと出会ってきた川口だが、なかでも忘れられないのが中外製薬の関節リウマチの新薬開発に共同開発で携わった大学病院のドクターだ。「MRの私は直接、新薬開発にはかかわりませんが、ドクターからよくこの薬に賭ける思いを聞かせてもらいました」。日本初の抗体医薬品でもあるこの製品は承認が下りるまで苦労の連続だった。承認が下りた日、川口はドクターと感動の握手を交わした。「患者さんへの思いの熱い先生だけに、叱られることも多かったです。少しでも理解が浅いまま、情報提供をすると、すぐに見抜かれて厳しい言葉が返ってくる。医療と本気で向き合うドクターの気迫を知り、MRとして磨かれた時間でした。

部下へのほめ言葉。

現役MR時代には数々のエピソードを持つ川口。今はマネージャーとして多くのMRたちの育成に励む。そんな彼は「私が前に出るのではなく、メンバーを押し出し、彼らの力をあげていくのが役割」としてフォロー役に徹する。そんな川口が嬉しいのはこんな瞬間だ。「同行したときに、『いつも、一生懸命やってくれます』『患者さんのことを思って話をしてくれますよ』と先生から部下のお褒めの言葉、感謝の言葉をかけられると、自分のことのように嬉しいですね。メンバーを誇らしく感じます。上司冥利に尽きますね」。メンバーに温かい眼差しを向ける川口は上司という立場としても着々と力をつけているのだ。

メンバーからの川口像を聞いてみた。「川口室長は、親しみやすくて温かな方」「とにかく仕事が丁寧。ドクターの前に立っただけで、即座に信頼を勝ち取る方」。メンバーたちは一様に尊敬の眼差しを向けているようだ。そんな川口はメンバーたちと食事や飲みに行くのが大好き。ただし、お酒はあまり強くないそうで・・・。「メンバーは、みんな若くお酒が強い。私は、みんなとワイワイするのが好きで、誘われれば必ず顔を出すんですが、メンバーが盛り上がっている横でついウトウトしちゃったりして、『室長、もうちょっとお酒強くなってください』なんて、言われちゃったりもするんですよ」。一分の隙もないように見える川口にも、意外な弱点があったのだ。

※本記事の内容は取材当時のものです。
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