中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。
2021年12月13日
アクテムラ、新型コロナウイルス感染症に伴う肺炎(COVID-19肺炎)に対し国内で適応拡大申請
- COVID-19入院患者に対する複数の臨床試験成績に基づく申請
中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:奥田 修)は、ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体「アクテムラ®点滴静注用80 mg、同200 mg、同400 mg」[一般名:トシリズマブ(遺伝子組換え)](以下、アクテムラ)について、新型コロナウイルス感染症に伴う肺炎(以下、COVID-19肺炎)に対する適応拡大の申請を、本日、厚生労働省に行いましたのでお知らせいたします。
代表取締役社長 CEOの奥田 修は、「COVID-19に対するワクチン接種の普及や複数の治療薬の承認は、新型コロナウイルスへの対応に大きな役割を果たしています。一方、オミクロン株をはじめ変異株の出現など、COVID-19の感染はまだまだ見通せない状況です。また、重症化する場合は症状が急速に悪化し、生命にかかわる重篤な肺炎を起こしうることが知られています。アクテムラをCOVID-19肺炎の患者さんに1日でも早くお届けできるよう、規制当局と緊密に協働してまいります」と述べています。
今回の承認申請は、COVID-19入院患者を対象とした、医師主導の海外ランダム化非盲検プラットフォーム試験(RECOVERY試験)のアクテムラコホートの成績、ロシュ社が実施した3つの海外第III相プラセボ対照ランダム化二重盲検多施設共同試験(COVACTA試験、EMPACTA試験、REMDACTA試験)、および国内第III相単群多施設共同試験(J-COVACTA試験)等の成績に基づいています。
RECOVERY試験のアクテムラコホートでは、低酸素症及び全身性の炎症を特徴とするCOVID-19入院成人患者4116例を対象に、アクテムラと標準治療の投与(アクテムラ治療群)と、標準治療のみの投与(標準治療群)の有効性・安全性が比較されました。アクテムラ治療群では標準治療群と比較し、主要評価項目である28日目までの死亡割合を有意に低下させることが示されました(アクテムラ治療群:31%、標準治療群:35%、率比:0.85、95%信頼区間:0.76ー0.94、p=0.0028)。また、28日目までに退院した患者の割合もアクテムラ治療群で高いことが示されました(アクテムラ治療群:57%、標準治療群:50%、率比:1.22、95%信頼区間:1.12ー1.33、p<0.0001)。本試験においてアクテムラ治療群がCOVID-19以外の感染症による死亡や,その他の原因による死亡を増加させたエビデンスはなく,アクテムラとの因果関係が否定できない重篤な副作用は3件(外耳炎、黄色ブドウ球菌血症、肺膿瘍)でした。アクテムラ治療による新たな安全性シグナルは認められませんでした。
アクテムラはCOVID-19治療薬として、これまでに欧州で承認され、米国およびガーナで緊急使用許可を取得し、世界保健機構(WHO)より推奨されています。
【参考情報】
アクテムラ、成人および小児のCOVID-19による入院患者に対し米国FDAより緊急使用許可を取得(2021年6月25日プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20210625153000_1121.html
COVID-19関連肺炎による重症入院患者を対象としたアクテムラの第III相COVACTA試験の最新情報について(2020年7月29日プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20200729151500_1006.html
第III相EMPACTA試験で、COVID-19関連肺炎による入院患者において、アクテムラが人工呼吸器が必要となる可能性を低下させる(2020年9月25日プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20200925153001_1025.html
新型コロナウイルス感染症に伴う肺炎を対象としたアクテムラの国内第III相臨床試験結果について(2021年2月9日プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20210209150000_1078.html
重症新型コロナウイルス感染症に伴う肺炎患者を対象としたアクテムラとレムデシビル併用の第III相REMDACTA試験の最新情報について(2021年3月11日プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20210311150000_1086.html
アクテムラについて
アクテムラは、炎症性サイトカインの一種であるIL-6の作用を阻害する働きを持つ、当社創製の国産初の抗体医薬品です。国内では2005年6月に販売を開始し、点滴静注製剤では関節リウマチをはじめ6つの適応症(キャッスルマン病、関節リウマチ、全身型若年性特発性関節炎(sJIA)、多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎(pJIA)、腫瘍特異的T細胞輸注療法に伴うサイトカイン放出症候群、成人スチル病)、皮下注製剤では3つの適応症(関節リウマチ、高安動脈炎、巨細胞性動脈炎)で承認を取得しています。現在、世界110カ国以上で承認されています。
上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。
以上
本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部
- 報道関係者の皆様
- メディアリレーションズグループ
- Tel:03-3273-0881
- mailto: pr@chugai-pharm.co.jp
- 投資家の皆様
- インベスターリレーションズグループ
- Tel:03-3273-0554
- mailto: ir@chugai-pharm.co.jp