データサイエンスを駆使して臨床開発プロセスの効率化を図るとともに、データマネジメント(DM)の観点でも、臨床開発本部全体で推進している分散型臨床試験の新規システムやソリューションの導入・評価を積極的に行うバイオメトリクス部。デジタル技術を活用した新しい臨床試験のあり方を追求しながら、医薬品開発の革新に挑むやりがいと可能性に迫る。
※中外製薬公式talentbook(https://www.talent-book.jp/chugai-pharm)より転載。記載内容・所属は2025年5月時点のものですデータサイエンスが拓く、次世代の医薬品開発
革新的な医薬品の開発を推進し、新たな治療選択肢を提供するという重要な使命を担う臨床開発本部。中でもバイオメトリクス部は、データサイエンスを駆使し、臨床開発プロセスの効率化を図るとともに、医薬品の革新を加速させる役割を果たしている。
皆川 バイオメトリクス部のミッションは、業務効率化と医薬品の価値の最大化です。データサイエンスやレギュラトリーサイエンスの視点から、試験のデザインや計画の立案、データ収集の管理、そして承認申請に必要な資料の作成を行っています。
私たちが所属するデータマネジメントグループの主な業務は、グローバルおよび国内の臨床試験のデータ収集や症例報告書の作成、各種文書のレビュー、データクリーニング管理などです。
これらに加え、近年は臨床試験の枠を超えて、中外製薬の製品価値をさらに高め、業務全体を効率化するためのデータ活用や戦略的な取り組みも進めています。
光井 臨床試験のデータマネジメント業務の主な目的は、開発から承認に至るまでのデータを取り扱い、データの品質を担保することです。一方で、製品価値の向上や業務効率化に向けた取り組みとして、収集したデータをほかの臨床試験や特定の承認申請ルート以外でも活用できる可能性を模索しています。
たとえば、過去の運用データも含め、臨床試験から生成されるデータ全般に着目し、試験をより短期間で効率的に進める方法を検討中です。こうした活動は、製薬業務の改善だけでなく、患者さんに必要な薬をより早く届けることにもつながると考えています。
皆川 ある臨床試験で収集した情報が、別の試験や新たな開発に役立つケースは珍しくありません。そうしたサイエンス面での可能性を含め、データを管理する者として試験全体を包括的にサポートすることも、私たちのバイオメトリクス部の重要な役割だと考えています。

データが導く新時代の医療。患者中心の臨床試験の実現に向けて
グローバルおよび国内の臨床試験におけるデータマネジメント業務を中心に活動する光井。患者中心の新しい臨床試験の実現に向けて、DCT(分散型臨床試験)の推進や業界活動にも取り組んでいる。
光井 近年、オンライン診療やウェアラブルデバイス、訪問看護などのテクノロジーやサービスを活用した臨床試験のデジタル化が急速に進んでいます。
患者さんの自宅や地域の医療施設など、従来の施設以外の場所で治験活動を行えるようにすることで、患者さんの負担の大幅な軽減が期待されていますが、データが分散し、管理しづらくなることが課題となっています。こうした課題に対応するため、収集したデータをどのように管理し、効率的に活用していくかを検討しています。
また、医薬品開発でのデータサイエンスの活用を推進し、革新的な医薬品の開発をめざす業界団体である「日本製薬工業協会(製薬協)医薬品評価委員会データサイエンス部会」の活動にも参加し、積極的に情報や知見の交換を行っています。
臨床試験のデータマネジメント業務と並行して、製品価値の向上や業務効率化に向けたデータ利活用に取り組む皆川。中でもとくに注力しているのが、臨床試験データの適切な管理と活用の促進だ。
皆川 社内のさまざまな部署のメンバーが、「どこにどんなデータがあるか」を把握しやすい環境を整えるために、臨床試験データの保管管理やメタデータ管理を含むData Stewardの管理・運営を担当しています。
さらに、中外製薬が自社で開発したクラウドベースのデータ管理システム「CoDaMa」の新規構築プロジェクトのビジネスメンバーとして、システムの仕様検討、CSV(コンピュータシステムバリデーション)の文書作成、テスト実施、各種運用手順の検討、手順書の作成など、さまざまな業務に取り組んでいます。
また、業界活動の一環として、他社と情報を共有し合い、そこで得た知見を社内にフィードバックする役割も担っています。
データ活用の最前線で活躍する皆川と光井。中外製薬でデータマネジメントに取り組む醍醐味をそれぞれ次のように語る。
皆川 私は開発業務受託機関(CRO)でキャリアをスタートしています。臨床試験のモニターではなく、データマネジメントの道を選んだ理由は、データの最適な収集方法を検討する過程に、ものづくりのような魅力を感じたからでした。
中外製薬への転職を決めたのは、当社がデータ利活用に積極的に取り組んでいたことが理由です。より高度な分析や戦略的な判断に関われる環境が整っていることに惹かれました。
光井 学生時代からデータの取り扱いやデータ解析に興味があり、臨床試験寄りのテーマを研究していた私にとって、データサイエンスに注力する中外製薬は理想的な環境でした。
入社前から期待していた通り、新しい挑戦を積極的に後押ししてくれる風土があります。さらに、社内ではデジタル関連の新しいアイデアが随時募集されているなど、若手社員も積極的に提案できる仕組みが整っている点も、当社ならではの魅力です。
ロシュ社との提携も、当社の大きな強みのひとつだと感じています。デジタル化や自動化の導入には時間もコストもかかりますが、すでに先駆けて実践しているロシュ社の事例を参考にしながら実装を検討できる点は、他社にはない大きなアドバンテージです。

臨床試験のデジタル化と業務効率化を推進。データの力で、医療の常識を変える
2020年に「CHUGAI DIGITAL VISION 2030」を発表し、デジタル基盤の強化を基本戦略のひとつに掲げる中外製薬。先進的なデータ活用に取り組む同社だからこそできることがあるとふたりは強調する。
皆川 「CHUGAI DIGITAL VISION 2030」では、データドリブンな意思決定によるビジネス革新を目指していますが、データドリブンな意思決定のための第一歩はデータそのものが利活用しやすい状態で管理されていることです。
私は、「CoDaMa」という臨床試験データの保管管理システムの構築と運用管理に関わっています。このシステムでは、効率的なデータ保管の仕組みづくりや、どんなデータが保管されているのか把握できる仕組みを整備することで、データを利活用しやすいように工夫しました。
まだ臨床試験データの利活用を見据えた保管管理をしていない企業も多く、中外の取り組みは先進的であると感じています。
こうした先進的な取り組みにチャレンジできるのは、実践を重視したDX推進に取り組み、「まずはやってみよう」というカルチャーが根づいている当社だからこそです。データを扱う立場として、大きなやりがいを感じています。
光井 私は、電子カルテとEDC(Electronic Data Capture: 臨床試験で得られるデータを紙ではなく電子的に収集・管理するシステム)を自動連携するプロジェクトを進めています。
これまでは、施設の方が電子カルテのデータをEDCに手作業で転記し、その後、モニターが原資料と照らし合わせて確認する必要がありました。この仕組みを自動化することで、手入力や転記作業が不要になり、データ品質の向上と業務効率化が期待できます。
ただし、電子カルテは医療機関ごとにデータのフォーマットが異なり、構造化されていないケースも多いため、連携は簡単ではありません。電子化や自動化を進める中で直面する多くの課題に対してチームで議論し、解決策を模索していく過程には大きな達成感があります。
一方、デジタル以外の領域ではこんな事例も。
皆川 現在、「バスケットトライアル」と呼ばれる、当社でも前例のない新しい試験デザインに携わっています。これは、ひとつのプロトコルで複数の疾患を同時に開発する試験です。疾患ごとに異なる評価方法があるため、収集データの種類や量が多く試験準備や運営の難易度が高いという課題もありますが、効率的に開発を進められるという大きなメリットがあります。
これまでのデータマネジャーとしての経験を活かしつつ、バスケットトライアルならではの課題や学びがたくさんあるので、楽しみながら携わっています。このような新しい試験デザインにチャレンジできるのも中外らしいと感じます。

働きやすい環境が、人を育てる。多様性を力に、次のフェーズへ
存分に力を発揮できているのは、働きやすい環境があるからだと口を揃えるふたり。中外製薬で働く魅力について次のように続ける。
皆川 新卒・キャリア入社を問わず気さくな方が多く、とても居心地が良いと感じています。とくにデータマネジメントグループのメンバーは、研究職出身やCRO出身、システムベンダー出身など、バックグラウンドが非常に多様です。専門分野に関係なく、新しいことにチャレンジしたい方、データを使っていろいろ変えていきたい方に最適な職場だと思います。
在宅勤務がしやすい環境も魅力です。必要に応じて出社し、出社した日は本社の17階に新しくオープンしたカフェテリアを皆でよく利用しています。仕事とプライベートの両立がしやすい環境には、本当に助けられてきました。
光井 人の魅力に惹かれたことも私が入社を決めた理由のひとつでしたが、その印象はいまも変わっていません。上司との距離が近かったり、新卒かキャリア入社かわからないほど分け隔てなく協力し合えたり。働きやすい職場にとても魅力を感じています。
繰り返しになりますが、若手でも意見を言いやすい環境があるのも当社ならではです。時代の変化に柔軟に対応しながら、積極的にチャレンジできる方をお待ちしています。
データサイエンスを活用して臨床開発プロセスを効率化し、革新的な医薬品の開発を推進するために。データマネジャーとしてのキャリアを歩むふたりの挑戦は、まだ始まったばかりだ。
皆川 これからも、必要な人が必要なデータを自由に扱い、意思決定に活かせる環境づくりに携わりたいと考えています。将来的には、「このデータはこう活用できますよ」と提案できる、コンサルタント的な役割を担えるよう、新たなスキルを身につけていきたいです。
光井 私はまだキャリアを模索している段階ですが、引き続きデータに関わっていきたいと考えています。データマネジメントはキャリアの幅が広い分野です。さまざまな経験を積んで可能性を広げ、目標をしっかりと見極められるようになりたいと思っています。