※ 記載内容は2024年12月時点のものです
スペシャリティ臨床開発部は、がん領域以外のさまざまな疾患領域の治療薬の臨床開発を手がける部門。患者中心の高度で持続可能な医療を実現するため、高いクリニカルサイエンス力を活かしながら、製品の価値最大化に挑んでいる。その1人である後根(うしろね)が、臨床開発現場に携わってきたキャリアとともに仕事の意義とやりがいを語る。

専門疾患領域で価値創造に挑む。スペシャリティ臨床開発部が描く医療の新たな可能性
臨床開発本部 スペシャリティ臨床開発部に所属する後根。中外製薬が掲げる成長戦略「TOP I 2030」の実現に向け、専門疾患領域で「世界トップレベルの臨床開発モデル」を実現し、患者さんに新たな価値を提供することがミッションだ。
「臨床開発本部は、いわゆる後期開発フェーズを担当する部門で、自社開発品やロシュ社の製品の臨床開発を進めています。具体的には、導入評価や開発計画の立案、GCP/GPSPといった安全性・有効性確保を目的とした基準に基づく臨床試験の実施、得られた臨床試験成績の評価などを行っています。
同本部には、がん領域を担う『オンコロジー臨床開発部』と、それ以外の疾患領域を担当する『スペシャリティ臨床開発部』の2部門があり、このうち私が所属するスペシャリティ臨床開発部は、オンコロジー以外のさまざまな疾患領域の治療薬の臨床開発を手がけています。
とくに臨床開発計画においては、最新の科学的知見やデジタル技術の活用を積極的に進めるとともに、患者さん視点を重視し、製品の早期上市や上市後の競合優位性確保を踏まえた戦略を立案・実行し、製品価値の最大化を図ることが私たちの使命です。
また、新たな臨床試験手法の創出や新規モダリティ、さらに新たな治療・予防体系の発掘にも取り組んでいます。研究本部やトランスレーショナルリサーチ本部、ロシュ社との連携を通じて、新たな価値創造へとつなげていくことをめざしています(後根)」。
後根が担当するのは、中外製薬が2022年に新たに参入した眼科領域だ。新たな成長分野に携われるからこそ味わえる醍醐味があると言う。
「現在、眼科領域の複数製品を担当しており、臨床試験実施・運営のリーダー(Study Leader)、開発計画の企画や立案を牽引するリーダー(Clinical Science Leader)、臨床機能を代表する臨床機能リーダーなどを務め、規制当局への対応も含めた製品の開発計画の立案や、臨床試験の実施に関わっています。
眼科領域は中外製薬にとって比較的新しい分野であり、既存の承認薬とは異なる新たなコンセプトに基づいた製品の開発も進んでいます。前例が少なく、何もないところから開拓していく難しさはありますが、新しいことに挑戦し、道を切り開いていくことにやりがいを感じています(後根)」。

臨床開発モニターのキャリアを経て、中外製薬へ。さらなるグローバル視点をめざして
薬学部を卒業後、CRO(開発業務受託機関)でキャリアをスタートした後根。当時の現場経験がいまの仕事の礎となっている。
「オンコロジー領域、とくに乳がんの臨床開発モニターを担当していました。医師や治験コーディネーターなど多くの医療従事者と密にコミュニケーションを取りながら臨床試験を進める中で、現場の視点や細やかな対応の重要性を実感しました。
試験を円滑に進めるには、モニターに正確な情報を伝え、なぜその業務が必要なのかを明確に示すことが不可欠です。自分自身がモニターとして現場に身を置いた経験があるからこそ、相手の立場に寄り添った対応ができていると思っています(後根)」。
約3年の現場経験を経て、後根は中外製薬へ。より広い視点から臨床開発に関わりたいと考えたことが理由だった。
「臨床開発の全体像を理解し、関わることのできる業務を経験してみたいと思っていました。中外製薬を選んだのは、当時携わっていたオンコロジー領域で業界をリードする存在であり、チャレンジングな機会が豊富な点に魅力を感じたからです。
さらに、ロシュ社との連携を通じてグローバルな視点を身につけられる環境があることにも強く惹かれました(後根)」。
入社後、国際共同治験のスタディマネジメントを担当した後根。視野が大きく広がり、臨床開発に関わるやりがいも一段と増したと語る。
「より広範な視野で臨床試験の推進・運営に携わる機会を得ました。社内やロシュ社のメンバーなど多彩なバックグラウンドを持つ人々との協働を通じて、日々多くのことを学び、成長していることを実感できました。
臨床開発は、多くの関係者が関わるチームプレーです。1人で進めるのではなく、チーム全員の強みが相乗効果を生み、ワンチームとしてまとまる瞬間が本当に楽しいですね(後根)」。

新たな挑戦とチームワークが成長の原動力。社会を変える起点となるために
その後、2度の産休育休を経験しながら、リーダー職を任されるようになった後根。自身の成長につながった出来事について、こう振り返る。
「オンコロジー臨床開発部で、再生医療など製品の臨床開発を担当した時のことです。当時社内でも前例がなく、すべてが手探りで、毎日壁にぶつかってばかりでしたが、チーム全員で知恵を出し合い、一つひとつ乗り越えた経験は大きな財産になりました。
そしていまは、スペシャリティ臨床開発部に異動をし、新しい領域の製品や新たなコンセプトに基づく製品をゼロから生み出す挑戦を続けています。未知を切り拓くおもしろさと、仲間とともに汗をかく瞬間こそが、私がこの仕事を続けている理由だと実感しています(後根)」。
後根は、異動することでスペシャリティ臨床開発部の魅力にも気づいたと話す。
「スペシャリティ臨床開発は、実にさまざまな領域を担当しています。そのため、横断的な学びの機会が豊富で、自らの専門分野に閉じず、他領域からも新たな知見を吸収できるんです。
また、先輩・後輩を問わず尊敬できるメンバーが多く、上司も含めて活気にあふれています。皆がチャレンジングな仕事に取り組み、人材の面でも非常に刺激的な環境です(後根)」。
そんなスペシャリティ臨床開発部は、2030年の成長戦略に向けてめざす姿を掲げている。
「成功確率と製品価値の向上にこだわり、どんな領域であっても世界水準の臨床開発を立案・実行し、社会を変える起点となる──それが、スペシャリティ臨床開発部の目標です。
『成功確率と製品価値の向上にこだわる』とは、個々の領域専門性を高めるとともに、貪欲に新しい知見を吸収して、積極的にチャレンジを繰り返し、常に世界水準の価値創造を追求していくこと。
『どんな領域であっても世界水準の開発が臨床開発を立案・実行』するとは、幅広い領域でのシナジーによって、臨床開発の原理原則を深く理解し、新規領域であっても最終的には世界水準に到達するということ。
『社会を変える起点となる』とは、チャレンジを起点にさまざまなプレーヤーを惹きつけ、患者さんの健康に貢献するソリューションが連続的に生み出されていくということです。これらの姿を軸におき、私自身も挑戦を続けていきたいと思っています(後根)」。

デジタル技術で効率的な臨床開発を。フロンティア精神で切り拓く患者さん中心の医療
後根にとって中外製薬で働く魅力とは。次のように語る。
「希少疾患を含め、多くの領域の患者さんに貢献できる点に魅力を感じています。それを支えているのが、当社がコアバリューのひとつに掲げる『フロンティア精神』です。
新たな発想でイノベーションを生み出し続けていくために、自分から考え、周りを巻き込みながら行動を起こし、アイデアをかたちにしていける方にぜひ参画してもらいたいですね(後根)」。
また後根は、働きやすい環境が仕事と子育ての両立を支えてきたと続ける。
「当社ではフレックス制度が取り入れられていて、朝5時から夜10時の間で自由に働くことができます。また、出社とテレワークをハイブリッドで活用するなど、働きやすい環境が整っているんです。
夕方5時ごろに子どもを迎えに行って食事や寝かしつけを済ませ、夜にまた仕事するといった対応ができるので、仕事と子育てをストレスなく両立できています。
個人の意欲や実績に応じて配置が決まるため、自身の希望も伝えやすいです。間もなくジョブ型制度が導入されますが、今後ますます柔軟な環境になると思います(後根)」。
入社して10年の節目を迎える後根。最新のデジタル技術を積極的に取り入れ、効率的な臨床開発を推進する中外製薬のスペシャリティ臨床開発部だからこそ、描ける未来がある。
「現在、社内のDCT(分散化臨床試験)タスクフォースの活動から派生して、日本製薬工業協会のメンバーとして社外の方々とDCTの普及に取り組んでいます。
DCTは、患者さんが医療機関に来院しなくても、ITやデジタル技術を用いて臨床試験に参加できる革新的な手法です。これによって患者さんの物理的な負担を軽減し、一人ひとりにあわせた柔軟な試験設計が可能となれば、真に患者さん中心の臨床試験にまた一歩近づくことができます。
また、質の高いデータを効率的に収集できれば、新薬開発のさらなる加速や、日本の製薬業界の国際的プレゼンス向上にもつながるでしょう。私はいま、臨床機能リーダーとして臨床開発計画をリードする立場ですが、こうした活動を通じて経験を積み、臨床開発のスペシャリストとして成長していきたいです(後根)」。