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2022年07月20日

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バビースモ、新たな2年データにより、新生血管を伴う加齢黄斑変性に対し、より少ない治療頻度で視力の改善を確認

News Summary

本資料は、中外製薬と戦略的アライアンスを締結しているエフ・ホフマン・ラ・ロシュ社が7月14日(バーゼル発)に発表したプレスリリースの一部を和訳・編集し、参考資料として配布するものです。正式言語が英語のため、表現や内容は英文が優先されることにご留意ください。
原文は、https://www.roche.com/media/releases/med-cor-2022-07-14をご覧ください。

 ロシュ社は7月14日、TENAYA試験およびLUCERNE試験の2年時点における新たなデータを発表しました。本データにより、視力低下の主な原因のひとつである新生血管を伴う加齢黄斑変性(滲出型加齢黄斑変性とも呼ばれる。以下、nAMD)に対するバビースモ(ファリシマブ)の長期の有効性、安全性および持続性の可能性が改めて確認されました1,2。nAMDは世界全体で2,000万人近くが罹患し、1~2カ月ごとに眼内注射治療が必要となる場合があります2,3,4。今回の2年データは、7月14日に開催された2022 American Society of Retina Specialists Annual Scientific Meetingで発表されました1

TENAYA試験およびLUCERNE試験における2年時点の結果1

  • バビースモ群の60%以上の患者が4カ月の治療間隔を達成し、最初の1年時点における解析結果に対し15%ポイントの増加。2カ月間隔投与のアフリベルセプト群と比較し、同等の視力改善を達成
  • バビースモ群のおよそ80%の患者は、3カ月以上の治療間隔を達成
  • 2年間の投与回数の中央値はバビースモ群で10回、アフリベルセプト群で15回。バビースモが投与回数を減少できる可能性
  • バビースモ群の最長4カ月間隔投与と、2カ月間隔投与のアフリベルセプト群は、同等の中心領域網膜厚(CST)の減少を示した
  • 新たな安全性上の懸念は確認されず、バビースモは引き続き良好な忍容性を示し、良好なベネフィット・リスクプロファイルが得られた

 バビースモは眼科領域における初のバイスペシフィック抗体であり、多くの国において、最長4カ月間隔の投与が承認された唯一の眼内注射剤です4,5。バビースモは、アンジオポエチン‐2(Ang‐2)と血管内皮増殖因子‐A(VEGF‐A)を中和することにより、視力低下の恐れのある多くの網膜疾患に関与する2つの疾患経路を阻害するよう設計されています4。Ang-2とVEGF-Aは、血管構造の不安定化により、漏出を引き起こす血管を新たに形成し、炎症を起こすことで視力低下を引き起こすと考えられ、網膜疾患におけるAng-2経路の役割について、さらなる研究が行われています4

2年時点における詳細な結果1
 TENAYA試験およびLUCERNE試験では、nAMD患者にバビースモを2、3、4カ月間隔で投与、もしくはアフリベルセプトを2カ月間隔で投与しました。また、2年時点において、バビースモ群における患者の投与スケジュールは治療の反応性に基づき、投与間隔の調整が許容されていました。

 2年時点の視力改善は、両治療群で同等でした。TENAYA試験では、2年時点におけるベースラインからの平均視力改善効果は、バビースモ群で+3.7文字、アフリベルセプト群で+3.3文字でした。LUCERNE試験では、2年時点におけるベースラインからの平均視力改善効果は、バビースモ群で+5.0文字、アフリベルセプト群で+5.2文字でした。

 さらに、TENAYA試験ではバビースモ群の59%(n=160/271)、LUCERNE試験では67%(n=192/287)の患者が2年時点において4カ月間隔投与を達成しました。これは1年時点における4カ月間隔投与を達成した患者の割合、すなわちTENAYA試験の46%(n=144/315)、LUCERNE試験の45%(n=142/316)を上回るものです。さらに、バビースモ群では、TENAYA試験の15%(n=41/271)とLUCERNE試験の14%(n=41/287)が2年時点で3カ月間隔投与を達成しました。これらを合わせると、2年時点で78%以上のバビースモ投与患者が、3カ月以上の投与間隔を達成できたことになります。

 いずれの試験においても、バビースモの最長4カ月間隔投与とアフリベルセプトの2カ月間隔投与は、同等のCSTの減少を示しました。安全性の結果は試験群間で一貫しており、網膜血管炎や網膜静脈・網膜動脈閉塞を伴う眼内炎症(IOI)の報告例はありませんでした。

TENAYA試験とLUCERNE試験について1
 TENAYA試験(NCT03823287)とLUCERNE試験(NCT03823300)は、同一デザインの無作為化多施設二重遮蔽第III相グローバル臨床試験です。新生血管を伴う加齢黄斑変性患者1,329名(TENAYA試験は671例、LUCERNE試験は658例)を対象とし、ファリシマブの有効性と安全性をアフリベルセプトと比較し評価しました。両試験では、ファリシマブ6.0mgを導入期に4回連続毎月投与後、20週および24週時点における疾患活動性の客観的評価に応じて2、3もしくは4カ月の間隔で固定投与する群と、アフリベルセプト2.0mgを導入期に3回連続毎月投与後、2カ月間隔で固定投与する群の2群が設定されました。バビースモ群に無作為割付された患者は、60週時点でtreat-and-extend法による治療間隔の調整が行われ、108週目まで治療されました。treat-and-extend期間中のバビースモ群における投与スケジュールは、中心領域網膜厚(CST)および視力により決定される治療反応性に基づき調整されました。両群とも、治験責任医師や参加者の遮蔽化を維持するために、薬剤が投与されない来院日にはシャム投与(訳注:硝子体内投与の代わりに、針のないシリンジを局所麻酔下で眼球にあてる措置)がなされました。

 両試験の主要評価項目は、40週、44週、48週におけるベースラインからの最高矯正視力(BCVA、メガネ等で矯正した場合を含め、視力表の文字を読む際に達成可能な最高の状態における視力)スコアの平均変化量の平均値です。副次評価項目は、安全性、バビースモ群の2、3、4カ月間隔で投与を受けた参加者の割合、BCVAでベースラインから15文字以上の視力改善が認められた参加者の割合の経時変化、BCVAでベースラインから15文字以上の視力低下が避けられた参加者の割合の経時変化、およびCSTのベースラインからの変化量の経時変化が含まれます。

新生血管を伴う加齢黄斑変性(nAMD)について
 加齢黄斑変性(AMD)は、読書などの活動を行う際に必要とされる鮮明な中心視力に関わる眼の器官に影響を及ぼす疾患です2,6。滲出型加齢黄斑変性とも呼ばれる新生血管を伴う加齢黄斑変性(nAMD)は、AMDの進行型であり、治療せずに放置すると、急速かつ重度の視力喪失の原因となりうる疾患です7,8。異常な新生血管が黄斑下で無制御に増殖することで発症し、腫脹、出血、および/または線維化を引き起こします8。世界全体では約2,000万人がnAMDに罹患しており、60歳以上における視力喪失の主な原因となるとともに、高齢化の世界的進行による患者数の増加が見込まれています2,3,9

バビースモ(ファリシマブ)について4
 バビースモは眼科領域において承認された初のバイスペシフィック抗体です。アンジオポエチン-2(Ang-2)と血管内皮増殖因子-A(VEGF-A)を中和することにより、視力を脅かす多くの網膜疾患の原因である2つの経路を標的とし、阻害します。Ang-2とVEGF-Aは、血管構造の不安定化により、漏出を引き起こす血管を新たに形成し、炎症を起こすことで視力低下を引き起こすとされています。バビースモはAng-2とVEGF-Aが関与する経路を遮断することで、血管を安定させるよう設計されています。

【参考情報】
ファリシマブ、視力障害の主な原因である2つの疾患において、視力を改善・維持し、治療間隔を最大4カ月まで延長した試験成績がThe Lancetに掲載(2022年2月2日プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20220202113000_1187.html

ファリシマブの新たな第III相臨床試験により、 視力障害の主な原因である2つの疾患において、初めて治療間隔を最大4カ月まで延長し、治療負担軽減の可能性がある眼内注射剤であることが示される(2021年2月16日プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20210216170000_1080.html

ファリシマブが新生血管を伴う加齢黄斑変性を対象とした2つの第III相グローバル臨床試験で主要評価項目を達成し、投与間隔を最長16週まで延長できる可能性を示す(2021年1月25日プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20210125153001_1066.html

【出典】

  1. Khanani A, et al. Faricimab in Neovascular Age-Related Macular Degeneration: Year 2 Efficacy, Safety, and Durability Results From the Phase 3 TENAYA and LUCERNE Trials. Presented at: 2022 American Society of Retina Specialists Annual Scientific Meeting; 2022 July 14.
  2. Bright Focus Foundation. Age-Related Macular Degeneration: Facts & Figures. Available from: https://www.brightfocus.org/macular/article/age-related-macular-facts-figures. Accessed July 2022.
  3. Connolly E, et al. Prevalence of age-related macular degeneration associated genetic risk factors and 4-year progression data in the Irish population. Br J Ophthalmol. 2018;102:1691–5.
  4. Heier, et al. Efficacy, durability, and safety of intravitreal faricimab up to every 16 weeks for neovascular age-related macular degeneration (TENAYA and LUCERNE): two randomised, double-masked, phase 3, non-inferiority trials. The Lancet. 2022; https://doi.org/10.1016/S0140-6736(22)00010-1. Accessed July 2022.
  5. FDA. Highlights of prescribing information, Vabysmo. 2022.
  6. All About Vision. Macula Lutea. Available from: https://www.allaboutvision.com/resources/macula. Accessed July 2022.
  7. Pennington KL, et al. Epidemiology of age-related macular degeneration (AMD): associations with cardiovascular disease phenotypes and lipid factors. Eye and Vision. 2016;3:34.
  8. Little K, et al. Myofibroblasts in macular fibrosis secondary to neovascular age-related macular degeneration-the potential sources and molecular cues for their recruitment and activation. EBioMedicine. 2018;38:283-91.
  9. Wong WL, et al. Global prevalence of age-related macular degeneration and disease burden projection for 2020 and 2040: a systematic review and meta-analysis. Lancet Glob Health. 2014;2:106–16.

以上

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