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2021年01月25日
ファリシマブが新生血管を伴う加齢黄斑変性を対象とした2つの第III相グローバル臨床試験で主要評価項目を達成し、投与間隔を最長16週まで延長できる可能性を示す
News Summary
本資料は、中外製薬と戦略的アライアンスを締結しているエフ・ホフマン・ラ・ロシュ社が1月25日(バーゼル発)に発表したプレスリリースの一部を和訳・編集し、参考資料として配布するものです。正式言語が英語のため、表現や内容は英文が優先されることにご留意ください。
原文は、https://www.roche.com/media/releases/med-cor-2021-01-25.htmをご覧ください。
- ファリシマブの最長16週間隔投与群がアフリベルセプトの8週間隔投与群に対し、視力改善効果において非劣性を確認、投与頻度と治療負担軽減の可能性を示す
- ファリシマブを投与された参加者の約半数が最初の1年間で16週間隔投与の治療となり、新生血管を伴う加齢黄斑変性における眼内注射剤の第III相臨床試験で初めての水準となる持続性を達成
- ファリシマブは、網膜疾患の原因となる2つの異なる経路を標的とした、眼科領域における初のアンジオポエチン-2(Ang-2)とVEGF-A のバイスペシフィック抗体
- 両試験ともにファリシマブの忍容性は概ね良好であり、新規または予期せぬ安全性上の懸念は示されず
ロシュ社は本日、新生血管を伴う加齢黄斑変性(nAMD、滲出型加齢黄斑変性(wet AMD)とも呼ばれる)に対して開発中のバイスペシフィック抗体ファリシマブを評価した同一デザインの第III相グローバル臨床試験であるTENAYA試験とLUCERNE試験の良好なトップライン結果を発表しました。両試験ともに主要評価項目を達成し、ファリシマブの最長16週間隔固定投与群において、アフリベルセプトの8週間隔投与群と比較し、非劣性が示されました。両試験において、ファリシマブで治療された参加者の約半数(45%)が最初の1年間において16週間隔で投与されました。これは、nAMDにおける眼内注射剤の第III相臨床試験で初めての水準となる持続性を達成するものです。いずれの試験でも、ファリシマブの忍容性は概ね良好であり、新規または予期せぬ安全性上の懸念は確認されませんでした。
両試験の詳細な結果は2021年2月にマイアミ・ミラー医科大学バスコム・パルマー眼科研究所で開催される医学シンポジウムAngiogenesis, Exudation and Degeneration 2021で発表されるとともに、米国食品医薬品局(FDA)および欧州医薬品庁(EMA)を含む各国の規制当局に対して承認申請が行われる予定です。
TENAYA試験とLUCERNE試験について1,2
TENAYA試験(NCT03823287)とLUCERNE試験(NCT03823300)は、同一デザインの無作為化多施設二重遮蔽第III相グローバル臨床試験です。新生血管を伴う加齢黄斑変性患者1,329名(TENAYA試験は671例、LUCERNE試験は658例)を対象とし、ファリシマブの有効性と安全性をアフリベルセプトと比較し評価しました。両試験では、ファリシマブ6.0 mgを導入期投与後、20週および24週時点に行う疾患活動性の客観的評価に応じて8、12、16週毎の間隔で固定投与する群、アフリベルセプト2.0 mgを導入期投与後8週間隔で固定投与する群の2群が設定されました。両群とも、治験責任医師や参加者の遮蔽化を維持するために、薬剤が投与されない来院日にはシャム投与(訳注:硝子体内投与の代わりに、針のないシリンジを局所麻酔下で眼球にあてる措置)がなされました。
両試験の主要評価項目は、48週までのベースラインからの最高矯正視力(BCVA、メガネ等で矯正した場合を含め、視力表の文字を読む際に達成可能な最高の状態における視力)スコアの平均変化量です。副次評価項目は、安全性、ファリシマブ群の8、12、16週間隔で投与を受けた参加者の割合、BCVAでベースラインから15文字以上の視力改善が認められた参加者の割合の経時変化、BCVAでベースラインから15文字以上の視力低下が避けられた参加者の割合の経時変化、および中心領域網膜厚のベースラインからの変化量の経時変化が含まれます。
新生血管を伴う加齢黄斑変性(nAMD)について
加齢黄斑変性(AMD)は、読書などの活動を行う際に必要とされる鮮明な中心視力に関わる眼の器官に影響を及ぼす疾患です3。滲出型加齢黄斑変性とも呼ばれる新生血管を伴う加齢黄斑変性(nAMD)は、AMDの進行型であり、急速かつ重度の視力喪失の原因となりうる疾患です4,5。異常な新生血管が黄斑下で無制御に増殖することで発症し、腫脹、出血、および/または線維化を引き起こします5。世界全体では約2,000万人がnAMDに罹患しており、60歳以上における視力喪失の主な原因となるとともに、高齢化の世界的進行による患者数の増加が見込まれています3,6,7。
ファリシマブについて
ファリシマブは眼科領域における初のバイスペシフィック抗体であり8、多くの網膜疾患の原因である、アンジオポエチン-2(Ang-2)と血管内皮増殖因子-A(VEGF-A)が関与する2つの異なる経路を標的としています8。Ang-2とVEGF-Aは血管構造の不安定化により、漏出を引き起こす血管を新たに形成し、炎症を起こすことで視力低下を引き起こす原因のひとつになっています9。ファリシマブは、これらAng-2とVEGF-Aの2つの経路を別々に遮断することで血管を安定化させ、網膜疾患を有する方の視力をより良く、より長く保てる可能性を考慮して設計されています9。
参考情報
ファリシマブの日本における開発は中外製薬が実施しており、国内からTENAYA試験に参加しています。
出典
- Clinical Trials.gov. A study to evaluate the efficacy and safety of faricimab in participants with neovascular age-related macular degeneration (TENAYA) [Internet; cited 2020 December]. Available from: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03823287.
- Clinical Trials.gov. A study to evaluate the efficacy and safety of faricimab in participants with neovascular age-related macular degeneration (LUCERNE) [Internet; cited 2020 December]. Available from: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03823300.
- Bright Focus Foundation. Age-Related Macular Degeneration: Facts & Figures. [Internet; cited December 2020]. Available from: https://www.brightfocus.org/macular/article/age-related-macular-facts-figures.
- Pennington KL, DeAngelis MM. Epidemiology of age-related macular degeneration (AMD): associations with cardiovascular disease phenotypes and lipid factors. Eye and Vision. 2016;3:34.
- Little K., et al. Myofibroblasts in macular fibrosis secondary to neovascular age-related macular degeneration-the potential sources and molecular cues for their recruitment and activation. EBioMedicine. 2018;38:283-91.
- Connolly E, et al. Prevalence of age-related macular degeneration associated genetic risk factors and 4-year progression data in the Irish population. Br J Ophthalmol. 2018;102:1691-95.
- Wong WL ,et al. Global prevalence of age-related macular degeneration and disease burden projection for 2020 and 2040: a systematic review and meta-analysis. The Lancet Global Health. 2014;2:106-16
- Khan M, et al. Targeting Angiopoietin in retinal vascular diseases: A literature review and summary of clinical trials involving faricimab. Cells. 2020;9:1869.
- Heier JS, et al. The Angiopoietin/Tie pathway in retinal vascular diseases: a review. Retina-J Ret Vit Dis. 2021;41:1-19.
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