中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。

2022年05月25日

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  • 研究開発

中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性および糖尿病黄斑浮腫治療薬「バビースモ硝子体内注射液120 mg/mL」発売のお知らせ

  • 眼科領域における初のバイスペシフィック抗体「バビースモ」を、中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性(nAMD)および糖尿病黄斑浮腫(DME)の治療薬として発売
  • 血管内皮増殖因子-A(VEGF-A)およびアンジオポエチン-2(Ang-2)の働きを阻害するバイスペシフィック抗体により、nAMD、DMEに関与する2つの疾患経路を阻害し、視力を改善
  • nAMD、DMEに対し、眼内注射剤の第III相臨床試験において初めて最長16週間隔の持続性を達成した治療薬

 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:奥田 修)は、本年3月28日に製造販売承認を取得した眼科用VEGF/Ang-2阻害剤 抗VEGF/抗Ang-2ヒト化二重特異性モノクローナル抗体「バビースモ®硝子体内注射液120 mg/mL」[一般名:ファリシマブ(遺伝子組換え)]について、「中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性」および「糖尿病黄斑浮腫」(DME)を効能又は効果として、本日薬価収載され、販売を開始したことをお知らせいたします。中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性は、一般的に新生血管を伴う加齢黄斑変性(nAMD)として知られています。

 代表取締役社長 CEOの奥田 修は、「中外製薬が初めて本格参入する眼科領域において、領域初のバイスペシフィック抗体 バビースモを発売できることを心より嬉しく思います。バビースモの適応症である二つの疾患は、適切な治療がなされない場合、視力の大幅な低下や失明のリスクを伴います。バビースモを眼科治療にお役立ていただけるよう、医療専門家への情報提供活動とともに、疾患啓発ウェブサイト等を通じた患者さん・ケアギバーのサポートにも注力してまいります」と語っています。

 バビースモは、血管内皮増殖因子-A(VEGF-A)およびアンジオポエチン-2(Ang-2)の働きを阻害することで、多くの網膜疾患に関与する2つの疾患経路を阻害するよう設計されています1。今回の承認は、4本のグローバル第III相臨床試験(DME: YOSEMITE試験およびRHINE試験、nAMD: TENAYA試験およびLUCERNE試験)の成績に基づいています。これらの試験を通じ、バビースモは主要評価項目である視力の改善を示すとともに、両疾患に対する眼内注射剤の第III相臨床試験で初めて最長16週間隔の持続性を達成しました。

 バビースモの情報提供活動は、エリア担当のMR(7月の営業体制再編以降はスペシャリティMR)が実施します。このほか、眼科専門MRを設置し、より専門性の高い情報へのニーズにエリア担当MRと連携して対応します。

【参考情報】

「見えるをいつまでも.jp」 nAMD、DMEの病態や診断、治療の情報提供ウェブサイト
https://mieruwoitsumademo.jp (5月25日新規公開)

眼科領域における初のバイスペシフィック抗体バビースモ、中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性および糖尿病黄斑浮腫に対し製造販売承認を取得(2022年3月28日プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20220328160002_1204.html

・YOSEMITE試験およびRHINE試験
ファリシマブが失明の主な原因のひとつである糖尿病黄斑浮腫に対する2つの第III相グローバル臨床試験で主要評価項目を達成し、良好な持続性を示す(2020年12月21日プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20201221153000_1054.html

・TENAYA試験およびLUCERNE試験
ファリシマブが新生血管を伴う加齢黄斑変性を対象とした2つの第III相グローバル臨床試験で主要評価項目を達成し、投与間隔を最長16週まで延長できる可能性を示す(2021年1月25日プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20210125153001_1066.html

電子化された添付文書情報

販売名:バビースモ®硝子体内注射液120 mg/mL

一般名:ファリシマブ(遺伝子組換え)

効能又は効果:

  • 中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性
  • 糖尿病黄斑浮腫

用法及び用量:

〈中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性〉

ファリシマブ(遺伝子組換え)として6.0 mg(0.05 mL)を4週ごとに1回、通常、連続4回(導入期)硝子体内投与するが、症状により投与回数を適宜減じる。その後の維持期においては、通常、16週ごとに1回、硝子体内投与する。なお、症状により投与間隔を適宜調節するが、8週以上あけること。

〈糖尿病黄斑浮腫〉

ファリシマブ(遺伝子組換え)として6.0 mg(0.05 mL)を4週ごとに1回、通常、連続4回硝子体内投与するが、症状により投与回数を適宜減じる。その後は、投与間隔を徐々に延長し、通常、16週ごとに1回、硝子体内投与する。なお、症状により投与間隔を適宜調節するが、4週以上あけること。

承認日:2022年3月28日

薬価基準収載日:2022年5月25日

発売開始日:2022年5月25日

薬価:バビースモ®硝子体内注射液120 mg/mL          163,894円/1瓶

バビースモ(ファリシマブ)について

 バビースモ(ファリシマブ)は眼科領域における初のバイスペシフィック抗体であり2、多くの網膜疾患の原因である、アンジオポエチン-2(Ang-2)と血管内皮増殖因子-A(VEGF-A)が関与する2つの異なる経路を標的としています3。過剰なAng-2とVEGF-Aは、血管構造の不安定化や新生血管の形成を促し、滲出液の漏出や炎症による視力低下の原因のひとつになると考えられています1。バビースモは、これら2つの経路を別々に遮断することで血管を安定化させ、網膜疾患を有する方の視力をより良く、より長く保てる可能性を考慮して設計されています1

中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性(nAMD)について

 加齢黄斑変性(AMD)は、読書などの際に必要とされる鮮明な中心視力に関わる眼の器官に影響を及ぼす疾患です4。中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性(nAMD)は、AMDの進行型であり、急速かつ重度の視力喪失の原因となりうる疾患です5,6。異常な新生血管が黄斑下で無制御に増殖することで発症し、滲出液漏出、網膜浮腫、炎症、線維化を引き起こします6。世界全体で約2,000万人がnAMDに罹患しており、60歳以上における視力喪失の主な原因となるとともに、高齢化の世界的進行による患者数の増加が見込まれています4,7,8

糖尿病黄斑浮腫(DME)について

 世界で約2,100万人が罹患しているとされる糖尿病黄斑浮腫(DME)は、糖尿病網膜症(DR)の視力低下の原因となる合併症のひとつです9。DRでは、血管の損傷および血管新生により、血液および/または血漿成分の網膜(眼から脳へ情報を伝達する視覚を司る器官のひとつ)への漏出が起こります10。これにより、網膜への血液供給が部分的に途絶えるとともに、浮腫が生じます11。DMEは、この損傷した血管からの漏出とそれに伴う浮腫が、網膜の中心領域で、読書や車の運転に必要とされる明瞭な視力を司る黄斑部に生じる疾患です10,12。糖尿病の有病率が上昇するにしたがって、DMEの患者数は増加することが予想されます 13。DMEは治療せずに放置すると失明や生活の質の低下につながります10,14。DMEは依然として大きなアンメットニーズがあり、より有効で持続性のある治療薬が求められています1

上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。

出典:

  1. Sahni J, et al. Simultaneous inhibition of angiopoietin-2 and vascular endothelial growth factor-A with faricimab in diabetic macular edema. American Academy of Ophthalmology. 2019;126:1155–70.
  2. Sharma, et al. Faricimab phase 3 DME trial significance of personalized treatment intervals (PTI) regime for future DME trials. Eye. 2021; https://doi.org/10.1038/s41433-021-01831-4.
  3. Khan M, et al. Targeting Angiopoietin in retinal vascular diseases: A literature review and summary of clinical trials involving faricimab. Cells. 2020;9(8):1869.
  4. Bright Focus Foundation. Age-Related Macular Degeneration: Facts & Figures. [Internet; cited December 2020]. Available from: https://www.brightfocus.org/macular/article/age-related-macular-facts-figures
  5. Pennington KL, DeAngelis MM. Epidemiology of age-related macular degeneration (AMD): associations with cardiovascular disease phenotypes and lipid factors. Eye and Vision. 2016;3:34.
  6. Little K., et al. Myofibroblasts in macular fibrosis secondary to neovascular age-related macular degeneration-the potential sources and molecular cues for their recruitment and activation. EBioMedicine. 2018;38:283-91.
  7. Connolly E, et al. Prevalence of age-related macular degeneration associated genetic risk factors and 4-year progression data in the Irish population. Br J Ophthalmol. 2018;102:1691-95.
  8. Wong WL ,et al. Global prevalence of age-related macular degeneration and disease burden projection for 2020 and 2040: a systematic review and meta-analysis. The Lancet Global Health. 2014;2:106-16
  9. Yau JWY, et al. Global prevalence and major risk factors of diabetic retinopathy. Diabetes Care. 2012;35:556-64.
  10. National Eye Institute. Facts about diabetic eye disease [Internet; cited 2020 November]. Available from: https://nei.nih.gov/health/diabetic/retinopathy.
  11. American Optometric Association. Diabetic retinopathy [Internet; cited 2020 November]. Available from: https://www.aoa.org/healthy-eyes/eye-and-vision-conditions/diabetic-retinopathy.
  12. All About Vision. Macula Lutea [Internet; cited 2020 November]. Available from: https://www.allaboutvision.com/resources/macula.
  13. Liu E, et al. Diabetic macular oedema: clinical risk factors and emerging genetic influences. Clinical and Experimental Optometry. 2017;100:569-76.
  14. Park SJ, et al. Extent of exacerbation of chronic health conditions by visual impairment in terms of health-related quality of life. JAMA Ophthalmol. 2015;133:1267–75.

 

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

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