中外製薬のニュースリリースは、当社関連の最新情報をステークホルダーの皆様にお伝えするために実施しています。医療用医薬品や開発品の情報を含む場合がありますが、報道関係者や株主・投資家の皆さまへの情報提供を目的としたものであり、これらはプロモーションや広告、医学的なアドバイス等を目的とするものではありません。

2021年04月21日

Evrysdi(リスジプラム)、乳児のI型脊髄性筋萎縮症(SMA)において継続して運動機能および生存の改善・維持を示す

News Summary

本資料は、中外製薬と戦略的アライアンスを締結しているエフ・ホフマン・ラ・ロシュ社が4月15日(バーゼル発)に発表したプレスリリースの一部を和訳・編集し、参考資料として配布するものです。正式言語が英語のため、表現や内容は英文が優先されることにご留意ください。
原文は、https://www.roche.com/media/releases/med-cor-2021-04-15.htmをご覧ください。

 ロシュ社は4月15日、I型脊髄性筋萎縮症(spinal muscular atrophy:SMA)の乳児(登録時点で月齢1~7カ月)を対象にEvrysdi(リスジプラム)を評価した、グローバル第II/III相FIREFISH試験のパート2における2年間の新たな成績を発表しました。Evrysdiは、支えなしで座位が保持できることを含め、治療開始12カ月目から24カ月目の間、継続して運動マイルストンの改善を示しました。また、生存率の改善や、経口の栄養摂取能力の向上、人工呼吸器*の永続的な使用の必要性を減少させることも継続して示されました。探索的な解析から、EvrysdiはI型SMAの自然歴と比較して嚥下能力を改善し、入院を減少させることが示唆されました。Evrysdiの安全性は、これまでに認められている安全性プロファイルと同様でした。本長期データは、FIREFISH試験のパート2における1年間の主要な結果に基づいており、第73回米国神経学会(AAN)年次総会(4月17日~22日開催)で発表されます。

 主要評価項目は、12カ月時点で支えなしで5秒以上座位を保持することができた乳児の割合でした。Evrysdiを投与した乳児は、12カ月目には、支えなしで座位を少なくとも5秒間、および30秒間保持する能力が改善されました。24カ月目のデータでは12カ月目からの継続的な改善が示され、BSID-III(Bayley Scales of Infant and Toddler Development - Third Edition)の粗大運動スケールの評価では、支えなしで座位を少なくとも5秒間保持することができた乳児の割合は、12カ月目の29%(12/41名)に対し、24カ月目で61%(25/41名)でした。支えなしで座位を少なくとも30秒間保持することができた乳児の割合は、12カ月目の17%(7/41名)に対し、24カ月目では44%(18/41名)でした。また、24カ月時点では、92%(35/38名)の乳児が経口で栄養摂取が可能な状態を維持していました。探索的な解析から、嚥下能力も同様に維持していました(95%、36/38名)。I型SMAの自然歴では通常、生後12カ月以上の乳児の食事には介助が必要です。

 治療開始24カ月時点で、93%(38/41名)の乳児が生存していました。また83%(34/41名)の乳児が人工呼吸器の永続的な使用なしに生存し、本疾患の自然歴と比較して改善が認められました。12カ月目から24カ月目までの間に死亡は認められませんでした。治療を行わなかった場合、死亡または人工呼吸器の永続的な使用が必要となる年齢(中央値)は13.5カ月です。またEvrysdiの投与2年目では、自然歴と比較して入院数が少なく、34%の乳児(14/41名)が治療の24カ月間にわたり入院を必要としませんでした。HINE-2(Hammersmith Infant Neurological Examination Module 2)の評価では、Evrysdiの投与により12カ月時点と比較して24カ月時点において継続して改善していることが示唆されました。頭部を直立させることができる(24カ月時点:63%、12カ月時点:44%)、仰向けからうつ伏せに転がることができる(44%、10%)、補助により立位を維持することができる(15%、5%)などが含まれます。また、CHOP-INTEND(Children’s Hospital of Philadelphia Infant Test of Neuromuscular Disorders)スコアにも継続的な改善が認められ、12カ月時点(56%、23/41名)と比較し、24カ月時点(76%、31/41名)では40ポイント以上を達成した乳児の割合が多くなりました。I型SMAの自然歴においては、CHOP-INTENDスコアで40ポイントを達成することは稀です。

 有害事象および重篤な有害事象は、これまでと同様でした。主な有害事象は、上気道感染(54%)、肺炎(46%)、発熱(44%)、便秘(29%)、上咽頭炎(17%)、気管支炎(15%)、下痢(15%)、鼻炎(12%)でした。主な重篤な有害事象は、肺炎(39%)および呼吸困難(7%)でした。休薬や治療中止に至った薬剤関連の有害事象は認められませんでした。

*気管切開を行っていないこと、1日16時間以上の人工呼吸器管理を3週間以上行っていないこと、または3週間以上継続して挿管していないこと(急性の可逆的事象がない場合、または急性の可逆的事象から回復している場合)

【参考情報】

リスジプラム、脊髄性筋萎縮症(SMA)に対する初の経口薬として国内で製造販売承認申請(2020年10月15日発表プレスリリース)
https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20201015170000_1032.html

FIREFISH試験について
 FIREFISH試験は、I型SMAの乳児を対象とした2パートからなる非盲検のピボタル試験です。パート1(21名)は乳児におけるリスジプラムの安全性プロファイルを評価し、パート2における用量の決定を主な目的とした、用量漸増試験です。パート2(41名)は、リスジプラムを2年間投与した後、非盲検下継続投与期間に移行する、ピボタルな単群試験です。パート2の登録は2018年11月に完了しました。パート2では、BSID-III(Bayley Scales of Infant and Toddler Development - Third Edition)の粗大運動スケールで評価した、投与開始12カ月時点における、最低5秒間、支えなしで座位が保持可能な乳児の割合を指標として、有効性の評価を行いました。
 ロシュ社は、SMA財団およびPTCセラピューティクス社の協力のもと、リスジプラムの臨床開発を進めています。

リスジプラムについて
 リスジプラムは、中枢神経系および全身のSMN(survival motor neuron)タンパクレベルを増加させるように創製された、経口投与が可能な臨床開発中の薬剤です。運動神経および筋肉機能をよりよくサポートするために、SMN2遺伝子から機能性のSMNタンパクの産生が増加するように設計されています。2020年8月に米国で、2021年3月に欧州で承認を取得しています。日本では2019年3月に希少疾病用医薬品指定を受け、2020年10月に承認申請を実施しています。

脊髄性筋萎縮症(SMA)について
 SMAは、遺伝性の神経筋疾患であり、脊髄の運動神経細胞の変性によって筋萎縮や筋力低下を示します1。乳幼児では最も頻度の高い致死的な遺伝性疾患です2。乳児期から小児期に発症するSMAの患者数は10万人あたり1~2人です3。SMAの原因遺伝子はSMN遺伝子で、SMN1遺伝子の機能不全に加え、SMN2遺伝子のみでは十分量の機能性のSMNタンパクが産生されないため発症する疾患です4

上記本文中に記載された製品名は、法律により保護されています。

出典:

  1. Farrar MA and Kiernan MC. The genetics of spinal muscular atrophy: progress and challenges. Neurotherapeutics. 2015;12:290-302.
  2. Cure SMA. About SMA. 2018. Available from: https://www.curesma.org/sma/about-sma/. Accessed April 2021.
  3. 難病情報センター. Available from: https://www.nanbyou.or.jp/. Accessed April 2021.
  4. Kolb SJ and Kissel JT. Spinal muscular atrophy. Neurol Clin. 2015;33:831-46.

以上

本件に関するお問い合わせ先:
中外製薬株式会社 広報IR部

  • 報道関係者の皆様
  • メディアリレーションズグループ
  • Tel:03-3273-0881
  • mailto: pr@chugai-pharm.co.jp
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  • mailto: ir@chugai-pharm.co.jp
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