SMART-Ig® (リサイクリング抗体®創製技術)

「リサイクリング抗体®」は、1分子の抗体が繰り返し抗原に結合できるようにデザインされた抗体です。抗体は、血管内皮細胞などの細胞に取り込まれても、胎児性Fc受容体(FcRn)に結合することにより血液中に汲み出されるため、一般的な他のたんぱく質に比べて長い血中半減期を示します。しかし、抗原が受容体などの膜型抗原である場合、「通常抗体」は膜型抗原に結合すると、結合したままライソソームに移行し、たんぱく質分解酵素によって分解されます。また抗原が可溶性の場合、抗原に結合した抗体は、複合体の状態でFcRnに結合して血液中に汲み出され、ライソソームで分解されるはずの抗原が血液中に蓄積してしまうため、抗原の作用を長期間阻害するためには大量の抗体を投与する必要があります。
 一方、「リサイクリング抗体®」は、酸性条件下で抗原から抗体が離れるように分子設計された抗体です。一度抗原に結合した抗体から抗原がpH依存的に解離するため、抗原のみがライソソームに移行・分解され、抗体は何度も血液中の別の抗原に結合し、抗体の消失を低減することができます。

膜型抗原(受容体など)に対する「リサイクリング抗体」の効果
膜型抗原(受容体など)に対する「リサイクリング抗体」の効果

この抗体技術は、トシリズマブの薬効の持続性を高めたいという考えから生まれており、トシリズマブの改変により創製されたのが「SA237」(国際共同第III相試験実施中)です。「SA237」は、非臨床試験でトシリズマブより4倍高い血中滞留性を示し、臨床第I相試験においても大幅に長い持続性を示しており、月1回以下の皮下投与*という利便性を実現できる可能性のある薬剤として視神経脊髄炎を予定適応症として開発中です。

「SA237」と「トシリズマブ」の血中滞留性比較
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