かつてないほどの高齢化が進み、在宅で介護を必要とされる方の外出介助サービスのニーズは高まっています。1985年、関係機関・団体からの助言を受け、中外製薬は創立60周年記念事業の一つとして、高齢者および障がいを持つ方々への在宅福祉サービスを提供する全国の福祉団体に対し、「在宅福祉移送サービスカー」を寄贈する事業を始めました。当初、この事業は5年間行う予定でしたが、利用者が必要な福祉サービスを受けるためだけではなく、自宅での閉じこもり状態を改善するとともに、地域社会とのかかわりを深め、QOL（生活の質）を高めることにも寄与できるなど、福祉現場における強いニーズを感じ、継続を決定しました。
以降、毎年、社会福祉法人全国社会福祉協議会と社会福祉法人中央共同募金会の協力を得て選定した5つの福祉団体に1台ずつ寄贈しています。2005年の創立80周年の際には、各都道府県から選定した福祉団体に1台ずつ、合計47台を寄贈しました。27年目となる2011年末までの累計寄贈台数は188台となりました。
なお、2011年は東日本大震災での原発事故により会津若松市に一時移転している福島県大熊町をはじめとする5つの社会福祉協議会へ寄贈しました。

当社が寄贈している移送サービスカーは、前席に運転者を含む3名、後部には車いす4台を搭載できるワゴンタイプです。車いす2台と運搬台車付担架（ストレッチャー）も搭載可能な仕様となっていて、乗降時の利用者の安全確保や介護者の負担軽減のため、車いすの昇降を自動で行うリフトや車内各所に手すりも設けられています。また、中外製薬の特別仕様としてバック時に後方を確認できるカーナビも搭載するなど、「機能性」と「安全性」に配慮されています。

中外製薬さんから在宅福祉移送サービスカーをいただいたのは、今から6年前の2005年でした。私どもの施設では、会員の方から依頼があった際に貸し出しをするという利用方法をとっています。この近くには大きな病院があるので入院されている方や、併設されている訓練センターに通われている方が買い物などの外出をする際に使われることも多いようです。車窓から街を見渡したり、社会に触れたりすることが、生きがいや喜びにつながるという利用者の声を聞き、改めてこの車をいただけたことを心から感謝しています。

社会福祉法人 蓮田市社会福祉協議会
会長　佐藤　正春　様